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エリア354a

ソメリカ合衆国オクトーマ州、国際宇宙ステーションNASU。このNASUという組織は、表向きには宇宙開拓や星の観察といった宇宙事業の最前線を行く組織だとされている。

しかし、実際にはNASUという組織は、宇宙事業は勿論なのだが、ソメリカ軍との癒着が深く、宇宙技術を用いた最新の兵器等の開発及び地球外生命体の調査・捕獲をしているとされている。


現在、ソメリカ合衆国による特殊軍事作戦の実行から1週間程経過していた。


「クロノア人は、まだ目を覚まさないのか。もう本国に連行して1週間が経つぞ。」


NASUのウェリアム州支部にある極秘エリア"エリア354a"という場所に、ノノカは連行されていた。

エリア354aは、広大な施設となっており、過去に飛来してきた宇宙生物達を収容している場所だった。

施設内には幾つもの部屋があり、ノノカはその部屋の1つに収容されている。

服は実験体のような服を着せられ、厚さが10cmもある特殊ガラスで作られた何も無い空間に閉じ込められている状態だ。

作戦終了直後、連行されていたノノカは即座に意識を失い、人間の姿へと戻っている。

人間の姿のノノカは、かつての幼さを無くし、クロノア人として動いていた時の姿のまま、人間へと変貌していた。

作戦終了後、視察に来ていたマック・カーターは、初めてノノカの姿を見る事になる。


「コイツが俺達の探していたクロノア人…。実際に見てみると、本当に人間と大差がないな。」


「これまでの()()()()()()()()と比べても、ここまで精巧な人間の姿を出来る存在はこれまで居ませんでした…。やはり、クロノア人という存在は、この宇宙の中でも特殊な高度知的生命体だと言えると思います。」


エリア354aの職員は、マック・カーターと共にノノカを見つめる。


コツ…コツ…コツ…コツ……


遠くの方から早足で歩く音が聞こえてくる。

そこには、鼻息を荒くしながら早歩きで歩く女性が居た。

彼女の名前は、ペイラ・パー二ー(23)

彼女はNASUにおいても、特殊とされる宇宙事業本部の統括を任されている。


「ふんふんふんふん…!カーター!!」


マック・カーター達のいる監視ルームの自動ドアが開かれると、扉の前には興奮気味なペイラが立っていた。

ペイラはマック・カーター長官を見ると、頭からマック・カーター長官の背中に向けて飛び込んでいく。


「カァァァタァァァ!!!!」


勢いよく飛び込んできたペイラを、見向きもせずに避けるマック・カーター長官。


「あわあわあわあわッッ…!!!」


ドシャァァァンッッ!!


避けられた拍子に、そのまま頭から防弾ガラスに突っ込んでしまった彼女は、小さく唸りながら頭を抑えている。


「ペイラ、お前俺に向かって突っ込んでくるのやめろと以前にも言ったはずだが…?俺はこの組織のトップだぞ。」


マック・カーター長官は腕を組みながら、ペイラに向かって、ため息混じりに注意する。

ペイラはそんな事はお構い無しに、頭にタンコブができていないか確認しながら、涙目で怒った表情を浮かべた。


「なんで避けんの!このバカカーター!頭ハゲるかと思ったんですけど!このアホカーター!」


半分泣きながら、マック・カーターを怒るペイラ。

そんなペイラにマック・カーターは手を伸ばす。

倒れている自分に優しく手を伸ばしてくれたと思ったペイラは感動した顔をしながら、その手を掴もうとする。しかし、掴もうとしたペイラの手を残酷にも振り払うと、ペイラが持っていた書類に手を伸ばした。


「違う、資料を渡せ。お前はガキか。俺にクロノア人の身体調査報告を見せに来たんだろ?いちいち喚くんじゃない。」


ペイラはその言葉を受け、唖然として目が点になった。

目が点になったまま固まったペイラを、また見向きもせずに資料に目を通しはじめた。

資料を読み進めるにつれて、めくるページ速度が早まる。

しまいには、信じられないといった表情でペイラの方を、マック・カーター長官は初めてしっかりと見たのだった。


「ペイラ、お前ちゃんと調べたのか?職務怠慢してるなら、即刻解雇だぞ。」


「むかぁー!!なんなのぉ!この私が調べあげた調査に文句でもあるのぉ?組織から細胞一つ一つ全てこ・ま・か・く!調査したのにさぁ〜?カーターの為にさぁぁ??」


マック・カーター長官が目を通した資料の中には、彼の望んだ内容の物は一切書いていなかった。

その内容は、クロノア人であるノノカの身体組織の全ては地球人と全く同じもので構成されており、地球人と相違のある点は無いという結果であった。


「ありえない。お前の優秀さは知っている。だがな、こんな研究結果はありえん!こいつが人間だと?こいつが変異して我が軍に壊滅的なダメージを与えた事だって報告で上がっている!人間な訳があるか!!」


「だってだって本当に人と一緒なんだもん!!この子の遺伝子検査から、X線やMRI、生体試料分析、分子生物学的分析…もう惜しむことなく全て私がやったんだよ?その結果がそれなの。今のこの子は人間と言える。まぁ、現時点ではの話だけどね!更に細かく調べるには、私でも最低2ヶ月はかかる!1週間程度で全部調べろなんて無理!!」


ペイラは、今回の検査について全て一人でこなしていた。その理由は、宇宙人の身体検査権限について、彼女が他の職員にされる事を嫌がり、権限を独占しているからだ。


「2ヶ月…。もっと早くならんのか?お前一人では無く、他の職員にも分担すれば早く終わるんではないか?ここには優秀な者達が集まっているのだから。」


ペイラの権限独占について、マック・カーター長官はこれまで黙認していた。

彼女の優秀さは、他の職員とは比べ物にならない物であり、彼女と仮に争って、その技術を失ってしまうと、NASUにとっての影響が計り知れないものだからだ。

しかし、時間のかかる事となれば、早く調査報告を知りたい彼にとってそれは障害となる。

彼女を何とか納得させて、効率的に進めたいと考えていた。

しかし、彼女はその権限を他に共有するつもりは無いらしい。

回答は至ってシンプルなものだった。


「やーーだ。」



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