増える家族
星の子ノノカの竹取育成簿
見てくれている方々!皆様の貴重なお時間に読んでいただいて、本当にありがとうございます!!
1月18日は、7話と8話の更新になります!
どんどんと、進んでいくノノカ達の物語を一緒に楽しんで貰えると嬉しいです!
クラスで大騒動となった、竹取幸の父親騒動は、その日の間で噂が広がり続け、学校中に知れ渡ることとなった。
幸は収集のつかなくなってしまった状況をただ静かに眺めているしか無かった。
ノノカは、幸をクラスで見つけた後から、幸から離れようとせず、ずっとくっついている。
少しすると保健室の先生が後から走って教室にまでノノカを探しに来た。
「ノノカちゃん!ダメじゃない!!勝手に部屋を離れちゃったら。。皆さんごめんなさいね。先生もすいません。お忙しいときに。すぐに連れて帰りますね。」
保健室の先生がそう言ってノノカを幸から引き剥がそうとするも、接着剤でくっつけたのか?というくらい幸に密着しており、一向に離れようとしない。
「いや!!いやいやいやぁー!!離れないもん!やだあ!!」
授業だから離そうとするも、ノノカは泣き叫び続けて、埒が明かない為、幸と一緒に授業を受けることとなる。
そうして、一日ザワザワしつつも学校が終わり、放課後になった。
幸は、1日で一生分に匹敵するほどのストレスを受けて、机に伏していた。
言われのない事も言われ続けていたからだ。
「なにあいつ。あんなやつクラスにいたっけ?」
「最近、私は気づいたんだけど、なんか気持ちが悪いよね。本当にホームレスみたい!汚いし!」
「あの子が、竹取の子供?ありえなくない?見た目違いすぎるでしょ笑」
クラスのあちこちからコソコソと聞こえる幸への悪口。
幸は、絶え間なく四方八方から聞こえてくるその声で、もはや心が悲鳴をあげていた。
(こんなはずじゃなかった…。目立ちまくりじゃねーか。もはや、俺の存在感を消す事は出来ないな…。これから、イジメられる可能性まで出てきた。もう終わりだ…。)
幸は、ズーンとなりながら机に伏して動かない。
ノノカは疲れてしまったのか、最後の授業終わりには寝てしまい、幸の背中でおぶさられて、静かにしていた。
そうして、ほぼ誰も居なくなった放課後の教室で幸達2人に1人の人物が近づいてくる。
学級委員長の癒菜だ。
「さて、放課後になったわね。あなたさっきはよくもあんなデタラメを言ってくれたわね。貴方のせいで、私も変な噂を立てられて、挙句の果てに、今から先生のところに行かないと行けなくなったわ。どうしてくれるのよ!」
癒菜は、かなりのお怒りだった。
これまでの自分の完璧なキャリアを傷つけられて、言われのない噂を癒菜も巻き添えを食らう形で言われていた。
幸は、顔を上げて朧気な目で癒菜を見つめると涙を流しながら癒菜に謝った。
「悪かった。俺、あの時どうしたらいいかわからなくなって、もう自分でも何を言ったかおぼろげな記憶しかないんだ…。適当なこと言って、巻き込んだことは後悔してる。本当にごめん。」
幸の涙ながらに謝る姿を見て、癒菜は、幸に対しての怒りが少し収まる。
適当に謝ってきたりしたら、許さないと心に決めていた癒菜も、まさかの涙の謝罪で来られると、それ以上攻めることが出来なかった。
「あ、あなた男子なんだから泣かないの!もういいから!ね!でも、なんであんな事言ったの?後、この子はどうしたの?誰との子供なの?説明してくれる?先生にも言わないといけないし、教えて。」
癒菜は、幸をこれ以上刺激しないようにそっと声をかける。
幸は、癒菜にこれまでの経緯と、ノノカの事。
全てを説明することにした。
数分後、これまでの事を全て説明し終えた。
癒菜は、全てを聞いて、少し考え込む。
「そんなことありえるの…?でも、竹取さんが急にあんな状態になったのは説明つくし、ノノカちゃんは、確かに竹取さんとは全く似ていない。可能性としては、ありえなくはない。でもそれって本当だったら不味いことに巻き込まれてないかしら…?」
癒菜は、独り言を言いつつ、考える人の様なポーズになった。
幸は、そんな様子を見ながら頭の中で頷いていた。
(そうだよな。そうなるよな。普通こんな事言われて信じるはずもないよな。分かる分かる。状況整理するまでに時間が掛かるんだよな。)
幸は、癒菜が状況整理出来るのを待つことにした。
そうして、癒菜は少し考え込んだ後に立ち上がると、幸に話しかけてきた。
「つまり、ノノカちゃんは、宇宙人であなたは、変なロボットにノノカちゃんを託されている。そして、ノノカちゃんは短い期間で私達と同じ年齢になり、宇宙船が修理完了すると元の星に帰る。こういう事よね?」
癒菜は、一つ一つ丁寧に、分かりやすく幸に聞いた。
幸は、癒菜を見ながら静かに頷く。
癒菜は、頷いた事を確認すると、決心したような顔で幸を見た。
そうして、一言。幸に告げる。
「あなたも被害者なのね…。わかりました。あなたが私にしたことは、いけないことです。しかし、私も学級委員長として、あなたを放置出来ません。だから、あなたにこれから協力することに決めました。」
幸は、ポカンとした。
「え?協力って?」
幸は、癒菜に言葉の意味を聞いた。どういう事なのか確かめるためだ。
「言葉の通りです。私はこのクラスの代表として、困っている生徒を放置できません。だから、あなたの育児に協力すると言いました。短い期間だと、思いますが、ノノカちゃんのママになってあげます。」
幸は、まさかの回答に唖然とした。
その日は予想外のことだらけで、もはやそこまで驚くことも無かったが、学級委員長の飲み込みの速さと、早い判断能力には感服してしまう。
「とりあえず、先生には私から上手く説明しますから、あなたは家に帰ってもらって大丈夫ですよ。その子も疲れてるでしょうから。あと、この紙に私のメアドを書いていますので、後であなたの家の住所を書いて送ってください。」
そう言うと、メアドの書いた紙を渡して、癒菜は教室を後にした。
幸は、癒菜の行動力と言葉に、少し尊敬の念を抱く。
(これが、学級委員長か。すごい…。しっかりし過ぎてて、こちらが惨めに思える。学級委員長もああ言ってたし、今日はもう帰るか。)
そして、幸も、机から立ち上がり、ノノカと共に家に帰るのだった。
家に帰りつくと、幸は、ノノカをベッドに寝かせて、ソファに倒れ込んだ。
ふと、学級委員長にもらったメアドの紙を思い出し、書いてあるメアドに、家の住所を送る。
すると、数分後にピロンと携帯の着信が鳴った。
ソファに、座っていた幸は誰からだ?と携帯を見ると、学級委員長からのメールの返信だった。
(ありがとう。これから伺います。よろしくお願いします。)
メールの内容は、至ってシンプルで一言だけだった。
幸は、頭にはてなが浮かんだ。そうして、ドンドンと冷や汗がでてくる。
(え、え!!来るってこと!?俺の家に!?どうして!!?協力ってまさか!?)
幸は、ガタガタと慌てて、部屋全体の掃除をした。
すると、ピンポーンと家のチャイムが鳴り響く。
覗き穴を覗くと、そこには私服姿の学級委員長がキャリーケースを持って立っていた。
幸は、生唾をゴクっと飲み込みながら、玄関の扉を開く。
「こんばんわ。竹取さん。これから、1部屋お借りします。短い間だけど、よろしくね。」
幸が何かを言う前に癒菜は幸を押しのけて、家に入り込んで来ると、家全体を見回して、1つの空き部屋を指さしながら幸に笑顔で伝える。
「ここ空いてるわよね?じゃあ、今日からここが私の部屋ね!ママの部屋って書いとこうかしら。」
そう言うと、部屋をガチャんと締めて、ガタガタと部屋の中で何かをしており、1時間も立たない間に、誰もが想像する女子の部屋へと進化させてしまう。
「なんなんだ、今日は…。」
そんな姿を見た幸は、拒否する気力もなく、甘んじて状況を飲み込んでいた。
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