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緊急事態

「ーー幸さんを…殺したのですか!!!」


ノノカから怒りの滲んだ声が発せられると、兵士たちの構えていた銃火器は突然謎の爆発を起こし、彼女から放たれた周囲の空気が爆ぜるような力が兵士たちと隊長を襲う。


「ぐああああッッ!!!」


その衝撃の威力は近場にいた兵士たちの肋骨にヒビを入れるほどで、ノノカの目の前にいた隊長や兵士たちは痛みに悶えた。

ノノカはさらに輝きを増しながら隊長たちに近づいていく。


「緊急事態発生!ぜ、全軍、装備を持ち第1拠点に速やかに集結しろ…!急げ!!」


無線で全軍に命令を出す総隊長ロビン。

ノノカの異常な力は、迅速に対応しなければならない危険な存在だと判断したのだ。


軍内部は突然の緊急事態宣言に慌ただしくなるが、即座に装備を整えると、全方位から兵士たちがノノカたちのいる第1拠点に集まり始めた。


(ノノカ様…なのか?あれは…まるで別人のようだ…。)


石作はノノカの様子を見て困惑していた。これまでの彼女とはあまりにも違いすぎ、人間とは異なる異質な力を感じ取っていたからだ。


「隊長…!!一体何が…!」


「我々のことはいい!奴を撃て!早く!!」


駆けつけた兵士たちが隊長の指示でノノカに銃口を向け、射撃を始めようとする。


「撃て撃て撃てー!!!」


しかし、銃弾は放たれなかった。

どれだけ引き金を引いても、カチカチと軽い音が鳴るだけで弾は出ない。


「あ、あれ?弾が出な…」


バァンッッ!!


またしても、兵士たちの銃火器はその場で爆発してしまう。

驚愕した兵士たちは銃火器を失ったため、手持ちのサバイバルナイフでノノカに応戦しようとした。


「私に近づくことは許しません。消えなさい!」


ノノカが放った衝撃波によって、兵士たちは再び地に伏した。

次々と押し寄せる兵士を、ノノカは衝撃波で制圧していく。途中、サバイバルナイフを投げつける者もいたが、ノノカは空中でそれを止め、まるで意に介さなかった。


「幸さんはどこですか!彼に何かあれば、私はあなたたち人類を許しません!」


ノノカによって徐々に制圧されていく各部隊。

この異常事態はすぐにマック・カーターたちのいる特殊軍事作戦司令部に報告された。


【緊急事態発生!緊急事態発生!!司令部に報告!】


作戦の無事終了を本国に報告していた司令部に、突然の無線が響きわたる。

安堵していた上層部は一瞬で凍りついた。


「「マック・カーター長官!!!」」


「一体なんだ!?何が起きた!続けろ!!」


顔を引きつらせた上層部は、緊急連絡と同時に長官の名を叫んだ。

マック・カーター長官は通信兵とのやり取りを続ける。


【現在、意識不明だったターゲットの宇宙人の子供が目を覚まし、駆けつけた全部隊の兵士と交戦中!負傷者多数です!】


「なんだと!?NACCUはどうした!」


【彼らは任務完了と同時に長官の元へ向かいました。先程緊急通知を出しましたが、到着にはまだ時間がかかるかと…。】


「Shit!!!NACCUが戻るまで持ち堪えられるか?!」


【全部隊の大半が戦闘不能状態…。銃火器も破壊されており、持ち堪えられるかどうか…。】


「くそ!!ここで失敗は許されん!追加情報は?ターゲットはただ暴れているのか?」


【いえ!幸という人間を殺されたと思っているようで、『どこにいる?』と叫んでいます。さらに現在のターゲットは肉体が成長・変異している模様。】


「変異…?幸という人間は、宇宙人と共にいた小僧だったな?今どこにいる?」


第4部隊を統率している上層部の人間が報告する。


「長官、竹取幸という少年と一緒にいた少女は、現在我々第4部隊で保護しています。出血多量で生死をさまよっていますが、まだ生きています。」


幸の傷は太ももに一発撃たれただけだったが、そこから出血が止まらず、下水から出た後に応急処置を受けていた。


「生きているなら好都合だ。その小僧をターゲットの元へ連れていけ。今の暴走が彼を引き金としたものなら、人質にして大人しくさせられるかもしれん。急げ!」


【で、ですが彼の傷は深刻で、このままでは本当に死ぬ可能性が…。】


「私の命令だ!今すぐ実行に移せ!隊員全員の命に関わる事態だぞ!」


【は、はいっ!】


下水から脱出した幸と紫は第4部隊に拘束され、現在は救急医療テントで治療を受けていた。


「はぁ…はぁ……。」


「パパ!パパ…!!しっかりして!血が止まらない!」


紫は軽傷だったため処置がすぐ終わり、自分の治療が済むと幸に付きっきりになった。

高熱を出し、まともに話せない幸の手を、紫は離さず祈り続ける。


「血が止まらないようね。この子はあなたと違って重症よ。でも安心しなさい。私たちが持ち堪えさせるから。」


医療テントの責任者である女医が、止血や消毒、抗生剤を与えながら応急処置をしていた。


「安心?そんなの出来るわけない!元はアンタらのせいでこうなってるのに!!」


女医は紫を安心させようと肩に手を置くが、紫は勢いよく振り払って彼女を軽蔑の目で見つめた。

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