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無力な自分

さて、更新日ですね!!

いつも読んでくださっている皆様、日々感謝です。

では、今日もこれからも楽しいひとときを!

パァンッ!!


閉ざされた下水道に銃声が反響し、轟いた。


近くに居なくても、恐らくその音だけは聞こえるだろう。

癒奈とノノカは2人で後ろを振り返らずに走り続けていたが、流石に突然の発砲音に驚き、立ち止まってしまう。


「ママ…!なにいまの。さち達大丈夫だよね?!」


(…銃声…?まさか、そんなはずない…)


癒奈は嫌な想像を一瞬してしまいそうになるが、余計な事は考えないように、思考を極力停止していた。とにかく今は逃げないと行けない。それが幸との約束だから。

それだけの為に癒奈は前だけを向いていた。

しかし、心配そうなノノカは後ろを振り返り、動こうとしなかった。


「大丈夫だよ!ノノちゃん。今は先を急ごう?竹取くん達が来た時に隠れられる場所を探さないとね!」


一切微動だにしないノノカを説得して、服を引っ張りながら進もうとした時、幸達が居た方向の道から大人数の足音が近づいて来ていることに気づく。


「第3班右へ第2班左へ、俺達は真っ直ぐ行く。必ず見つけ出すぞ!!」


「了解!!!」


少し後ろの分かれ道の所で部隊は別れたようで、少し人数は減ったが、五人ほどの兵士が、ノノカたちのいる通路へ駆け込んできた。


(まずい!あの足音の速度、ノノちゃんを連れて逃げ切れるものじゃない!隠れられる場所もないし…。ならもうこうするしかないわ!!)


「ノノちゃん、ごめん!ちょっと冷たいよ!」


「え!!ママ!やだ!!なにするの!?」


流石に逃げ切れない察した癒奈は、ノノカを突然抱き抱えると、そのまま下水道の水路に身を投げる。

この下水道は舗装された道の隣に水路が流れており、水路は深さが3m程。

水は濁っており、潜れば身を隠せる――そう癒奈は判断した。


(うぅ…ノノちゃん大丈夫かな。ごめんね、こんな思いさせて)


ノノカを抱き抱えたままの癒奈は下水道水路を泳いでいく。

壁に触れると苔のようにざらつく感触、泳ぐ度に体にまとわりつくようなヌルリとした感触が2人の不快度をあげる。

それでも真っ暗な中、手探りで下水道を進んでおり、兵士が来る度に水中内に潜って身を隠した。


「プハッ!!はぁはぁ。ノノちゃん、大丈夫?」


「カハッ…びっくりしたあ!大丈夫だよ!ママは平気?」


「大丈夫だよ!ごめんね、ちょっと水で隠れながら進むから、もう少し頑張ってね。必ずここから出よう!」


癒奈とノノカは兵士達の目を掻い潜り、逃げ続ける。

あまりにも見つからない兵士達には、次第に焦りがではじめていた。


「第2第3班!!状況はどうだ?見つかったか!?」


「第2班、未だ見つかっておりません。人が通った形跡すら無い状況です。」


「第3班、第2に続き同じ状況です。」


「了解。我々第1班も同じだ。引き続き捜索にあたれ。ネズミ一匹足りとも見逃すな!」


「「了解!!!」」


兵士たちは隈なく捜索を続け、隙間という隙間まで目を光らせた。

しかし、それでもどれだけ探しても見つからない彼女達。

次第には、マック・カーター長官に捜査の難航の報告を受ける事となる。


「クロノア人ノノカが見つからないだと!?ふざけるな!何をしている。幼子だぞ!?なぜ見つからないんだ!」


バンッ!!


長官は机を激しく叩きつけた。


最終目的対象であるノノカが見つからないと、これまでの作戦も意味が無くなってしまうからだ。

イライラしているマック・カーター長官を隣で見ていた倉持は少しホッとしている。


(さすがね、竹取幸……。このまま逃げ切りなさい。もう少しで、あなたの国の支配者が抗議に来るはず。それまで持ち堪えれば……!)


大切な友達であるノノカを何としても、ソメリカに渡す訳には行かない倉持は、この国の政府要人に作戦の概要等の情報を秘密裏に全てリークしていた。


「他の部隊の作戦進捗状況はどうなってる!?まだ戦闘継続中か?」


明らかに焦りと怒りを滲ませているマック・カーター長官。

各々が長官の顔色を伺いながら報告を進めた。


「報告します。母船周囲の戦闘状況に関しましては、我が軍のクレーシュがターゲットに着弾しており、戦闘不能状態を確認しているとの事。しかし、未だ母船に張られている正体不明のシールドの影響により、母船の回収は困難な状況です。」


「ふむ。よくやった。クレーシュの有効性はこれで証明されたな。引き続き、母船のシールドの解析等を進めてくれ。」


「は!!」


「報告します。ターゲット周囲の状況ですが、猛獣の雪豹との戦闘をNACCUが現在も継続しており、未だ成果は上げられていないとの事。戦況は五分五分のようです。」


「わかった。NACCUの戦闘員2名で掛かっても制圧出来ないのか。まったく…どうなってやがる。では、戦力の追加投入を指示する。近くで待機させていたNACCUの戦闘員2名を追加しろ。やつは必ず脅威になる。確実に息の根を止めるんだ!」


「了解。直ちに実行します。」


ノノカ捕縛以外の状況は悪くない。これで、確実にノノカさえ捕らえることが出来れば、作戦は大成功と言えるだろう。

そこで彼は大胆な指示を出しはじめた。


「作戦は残り、最終目標の捕縛のみだ。……第4部隊に命じろ。地下下水道全体に可燃剤を流し込み、着火せよ。防護服を着用し、着火後ただちに内部を調査しろ。」


((!!?))


指示を受けた上層部も倉持もその指示に驚く。

それは、かなり危険な指示であり、兵士側にもノノカ側にも命の危険を伴うものだからだ。


「カーター!!あなた、何を言っているの?!そんな事をすれば、ターゲットの命に関わるわ!?軍の可燃剤なんて一般のレベルのそれではない!もし彼女達が居れば燃え移る危険もあるし、一酸化炭素中毒や窒息死にだってなりかねない!!死んでしまえば意味が無いんじゃないの!?」


「長官、我々も同意見です。その指示には我が軍にも危険が伴う可能性があります。お考え直ください!」


倉持と軍の上層部は支持の撤回を求めた。双方に死のリスクがある命令を今する必要性が見えないからだ。

しかし、マック・カーター長官がその意見を曲げることはなかった。

再度同じ命令を下し、命令の実行を進めさせた。


「我がソメリカ軍は、それほどやわでは無い。とにかく今すぐやれ。下水道からもし逃げられでもしたら、我々は追えなくなる可能性がある。」


「し、しかし…!!」


「これは命令だ!!やれ!!!」


「は…はいっ!!!」


下水内部全体に展開していた第4部隊は、全員下水道から撤収すると、数分後に大量の可燃剤を下水内部全体に流し込み、火炎放射器で火をつけはじめた。


「ゴッホ!!ゴッホ!!!パパ!パパ!!起きて!お願い!!アイツら下水道に火をつけてる!!出なきゃ死んじゃうよ!!パパ!!」


「ぐっ…ノ…ノ…」


「ほら立って!!私に掴まって!!うっぐ…!!ゴッホッッ!!紫、頑張れ!アンタならいける!パパを助けるのよ!!頑張れ!!」


幸は意識朦朧としながら、紫に担がれて出口を目指して歩き出す。

やがて、下水道全体が轟々と燃え上がった。


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