特殊軍事作戦
ソメリカ軍特別軍事作戦執行部
ここには、ソメリカ軍の上層部が集合していた。
円を描くように席が並べられており、中央の椅子以外の席は上層部の人間が全て座っている。
全員が静かにその席の主を待っていると、彼らのいる部屋の扉が大きく開いた。
「諸君、久しぶりだな。早速作戦の実行に入ろう。各部隊や状況の共有を頼む。」
「「はっ!!!」」
登場したのはマック・カーター長官と倉持神子、ソメリカ大使の3人だ。
マック・カーター長官の指示を受けた、軍の上層部である人達は、すぐさま状況の共有を始めた。
彼らとマック・カーター長官は旧知の仲であり、元上官と部下といった関係性だ。
「…以上が現在の状況です。作戦の開始の指示を!」
「まさか、またあなたに導いてもらえる時が来るとは。この作戦かならず成功させましょう。」
マック・カーター長官に伝えられた現在の状況は全てが準備万端な状態だった。
時間は午後16:30。ソメリカによるクロノア人の捕縛+母船回収任務が始まる。
倉持神子は、隣に座るマック・カーター長官を見ながら、ただ願い続けた。
倉持神子にとって大切な友人となったノノカ達がどうか無事である事を。
「全軍に告ぐ。特殊軍事作戦の開始を命じる!!まずは、クロノア人の母船の回収に入れ!!」
「「はっ!!!」」
高らかに宣言された作戦開始の指示と共に、母船周囲に展開していたソメリカ軍はクリオネロボットの居る母船前に進軍を始めた。
展開していた軍が動いたことにいち早く気づいたクリオネロボットは母船から少し離れた位置で上空に舞い上がる。
(動き出したか。母船の防衛任務を開始。)
【連結操作シールド起動…5%…23%…48%……展開完了】
ノノカ達の母船は一部の機能を残して、修理は完了していた。現在修理された機能のうちの1つである、防衛シールドがクリオネロボットによって起動された。
展開しているシールドは、母船の周囲1mを無色透明なもので覆い、1度触れると触れた対象物を感電させ、ノックバックさせる効果のあるものだ。
ガキィィィン!!!!ガガガガガガッッッ!!!
【…!!?】
クリオネロボットが宙を舞いながら様子を伺おうとすると、クリオネの胴体右横から金属の衝撃音が鳴り響く。
その衝撃は凄まじく、クリオネロボットの身体は大きく傾いた。
「チッ!!装甲をぶち抜くBarrett M82だぞ!?傷1つ付かねぇとは。なんてクレイジーな野郎だ。噂に聞いた通りだぜ」
「撃て撃て撃てー!!!」
ガギィィン!!バキンッッ!!ドゴオオオォン!!!キンキンキンキンッッ!!ガガガガガガ!!!
1つ目の衝撃音と同時に四方八方から、一斉射撃が始まった。
ソメリカ軍兵士達は、辺りの林を利用して、木々に隠れながら各々が持つ銃やロケットランチャーをクリオネロボットに対して放ち続ける。
【何だ!?これが人間の兵器か!?ここまで進化しているとは。我々の情報と大きく異なる。兵器解析を開始する。身体損傷率10%…】
クリオネに打ち込まれた武器類を解析している間にも、無数の弾丸がクリオネロボットに降り注ぐ。
全くの無傷に見えていた身体も、徐々に視認できる傷が付き始めていった。
咄嗟に、さらに上空へと飛翔すると、次はミサイルが次々とクリオネロボットを補足して発射される。
何とか空中にて回避しようとするも、ミサイルは正確にクリオネロボットを追尾し、最後には被弾してしまう。
【避けられぬだと!?私の速度に匹敵する速さで…。このようなものまであるのか!!】
空中での爆煙と炎の中、クリオネロボットには決定的なダメージにはならないものの、姿を隠しながら高度な武器達を解析する事を急速に進めた。
「この化け物がああ!!!とっととくたばりやがれぇ!!!」
【…武器解析完了。データを母船内データへ共有…共有完了。クロノアへの武力行使に対する迎撃を開始する。ブラス・アー起動。】
クリオネロボットが最初は命中していた無数の弾丸を全て回避するようになるが、ソメリカ軍兵士は負けじと銃撃を打ち込んでいく。攻勢はソメリカ優勢に思えた。しかし、銃弾を避けているだけだったクリオネロボットが両手をソメリカ軍に向けて突き出すと、その状況は一変する。
キュィィィィン!!!バギャアアアアッッッ!!!!
クリオネロボットの両手から、未知のエネルギー物質のビームのような物が放たれ、ソメリカ軍兵士達に命中した。
「「ぐああああッッ!!!」」
優勢だったソメリカ軍第1部隊は、瞬く間に壊滅へと追いやられる。
命中した場所は、激しく炎が燃え盛り、その場にいたソメリカ軍の兵士は全員消滅してしまう事態となった。
「報告!報告!!現在、敵対勢力の攻撃により第1部隊壊滅!!繰り返す!第1部隊壊滅!!」
第1部隊の壊滅に軍の上層部は動揺する。
しかし、マック・カーター長官は、第1部隊の壊滅の報告を受けるとすぐさま次の指示を出した。
「一瞬でか…。以前のヤツとは違うようだな。では第2部隊!全方位に広がりながら進軍し、設置してあるクレーシュを放て!!」
「了解!!」
命令を受けた第2部隊は、すぐさま命令の通りに全方位に兵士を展開し、攻撃を続ける。
激しい銃撃を避けながら全方位に広がる敵を一人一人倒していくクリオネロボットは、自分を中心に異なる3箇所の方向から何かを検知する。
【高エネルギー体の発生を確認。危機感知確認。退避行動に…】
(きゃあああああ!!!)
【…!!?】
戦闘をしていたクリオネロボットの脳内に、叫び声が響き渡る。
そして、その声は、自らの主であるノノカだと瞬時に理解した。
【ッッ!…ノノカ様!!!】
クリオネロボットは、ノノカの叫び声により一瞬ソメリカへの注意がそれる。
その瞬間、3方向からクリオネに向けて新兵器が放たれた。
「「「クレーシュ、ターゲット確認!!発射!!!」」」
【!!!!!】
クレーシュは、見事にクリオネロボットへ命中してしまう。
少し時を遡り、ノノカ達の方でもソメリカ軍の進行が始まっていた。
逃げきれていたと思っていた幸達の前に、突如としてソメリカ軍第4部隊とNACCUの2名が現れたのだ。
「SOC(特別軍事作戦本部)!!こちら、第4部隊及びNACCU。現地に到着した。任務対象確認できず、バーベキューをしていた形跡を確認。周囲の捜索に入る。」
ノノカ捕縛任務の第4部隊は、3名ずつで別れ、それぞれがノノカ捜索に茂みに入っていく。
続けて、NACCUの2名は、周囲の細かな状態を確認しながら、独自に捜索に入った。
幸達は、その頃ソメリカ軍が来たことを知り慌てて茂みに身を隠しながら、ソメリカと距離を取ろうとしていた。
「や、やつら何で俺らの場所が!?まさか、ずっと付けられてたのか!?クソッ!!!」
逃げきれたと思っていた矢先に想定外の事が起きて、焦る幸。
ノノカにもその焦りは伝わり、顔が青ざめていた。
「竹取くん!落ち着きなさい!まだ見つかってないからとにかく今は逃げよう?今いちばん怖い思いをしているのはノノちゃんなんだよ?だから、竹取くんがそんな焦ってたらダメ!!」
幸は振り返る。幸と手を繋いでいたノノカの表情には暗くどんよりとした物があり、気づいていなかったが手が震えていた。
幸は自分のことしか考えられなくなっていた状況を後悔すると、ノノカを抱っこする。
「…!…ごめん。ノノカ、俺ちょっと焦っててさ。でも大丈夫だから!俺らがノノカに手を出させるもんか!だから、怖くないからな!」
「…うん!」
幸はノノカに心配させまいと笑顔を作る。
何かを察したのか、ノノカも幸に笑顔を作った。
すると、その瞬間突如、目の前から2人の人間が現れて、幸とノノカに大きく拳を振りかぶった。
「ターゲット確認。捕縛行動に入る。」
「ッッッ!!?」




