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盛り上げ上手

知恵美市で、ある日突然、地域活性化事業の一環として知恵美市のカクリコゲームセンターを改築とPR告知すると発表した。

突然の市からの公式な発表に、メディアが注目する。

これまで落ち目だったゲームセンターをどうして突然改築とPRまでする経緯に至ったのか?

やり手のエリート市長の行動に皆が関心を寄せているようだ。


「海市長にお伺いします。これまで保守的だった市政運営の中で、なぜ突然に古いゲームセンターであるカクリコゲームセンターを地域活性化事業の対象として認可されたのでしょうか?これは、かなり疑問が持たれるものかと思います。もっと他の場所があったのではないかと。お答えください!」


発表から数日、海市長は現在、会見を開いていた。

地域活性化事業の発表と共に、連日メディアからの圧力があり、会見を開かざるを得なくなってしまった為だ。


「はい。説明いたします。えー、まず地域活性化の観点で、カクリコゲームセンターを市の指定ゲームセンターにした理由についてでございますが…」


会見は1時間近く行うこととなり、メディアの追求を可憐にかわしては、上手く話をまとめあげた。

その手腕は流石エリート市長と言わざるを得ないものだ。

会見が終了する間際、市長は活性化事業を行うにあたり、ゲームを普及する知恵美市ゲーム大使を紹介した。


「では、会見は以上になりますが、最後にメディアの皆様にご紹介したい人がおります。この度、地域活性化を推奨する為、知恵美市役所にて公式に認定させていただきましたゲーム大使をご紹介いたします。」


市長の紹介と共に、そこに現れた者は覆面をしている謎の人物と恐らく自作しているであろう紙吹雪を必死に降らせる、もう1人の覆面の者が現れた。


(パパの為に頑張らないと!!よいしょ!よいしょ!!お姉ちゃんの作った紙吹雪、沢山あるけど全部投げればいいのかな!?)


紙吹雪を受けながら、覆面を被り堂々と姿を表した幸は、メディアにはとても個性的な登場に映る。


「レディース・エーン・ジェントルメーン!!!皆様、お初にお目にかかります。この度ゲーム大使として任命されました、竹山光と言うものです。どうぞよろしくねぇ〜。ほれ!アシスタント!ここでクラッカーだよ!!」


「は!はい!!ここね!!」


パァーン!!!


かなりふざけたキャラクターのように見えるが、メディアにはそれが受けたようだ。

面白い人間が現れたと、その日から連日オールメディアの番組に登場するようになった。

謎の天才ゲームマスター、竹山光大使という名前で。

彼の名は、瞬く間に日本中に広がると彼の宣伝しているカクリコゲームセンターも同時に注目を浴びることとなる。


カクリコゲームセンターは即座に改築を行い、元の形を保ちつつ、階数の増築および、最新ゲームの導入、内装の見直し、公式にブレイク・ハンスルーの世界大会実施場所の登録を完了した。

世界各国からブレイク・ハンスルーを目当てにファンが集まり、竹山光の宣伝効果で徐々に顧客も増えていった。


「よし、良い調子だ。この後は、海市長に各学校への自由学習の一環でここに来るように伝えてもらう予定だ。その間に、ノノカ、紫!俺らは、カクリコゲーマーズのSMS運営を始めるぞ!!」


「「「おー!!!」」」


それから、数ヶ月が経つと普通では有り得ないことが起きる。

あれほど落ち目だったカクリコゲームセンターは、未だかつて無い程にお客様でごった返し状態へとなっていたのだ。


「ここが、竹山光のゲームセンターだよね?すごい綺麗で大きいね!!」


「カクリコゲーマーズの皆が取ってたあの商品のUFOキャッチャーってどこだろ!」


「ここに、ブレイク・ハンスルーのチャンプがいると聞いて来た。ぜひ手合わせ願いたい。」


お客様は10代から30代まで幅広く、外国人も居る。

ここまで変わり果てると、オーナーも喜びと同時に焦りを感じていた。

最初は面白半分で聞いていた内容が、ここまでの影響力を持つことになるなんて考えもしなかったからだ。


「し…信じられん…。嘘だろ…?なんなんだこれ。突然市から改築の案内が来たと思ったら、連日最高売上高を更新?しかも2倍とかそんなレベルじゃない…。なにをどうしたらこうなる!?」


オーナーの驚きもそうだが、倉持の驚きも相当な物だった。

あんな作戦が上手くいくはずがないと、目を通した瞬間に参加を放棄した作戦。それを実際に幸達が実行に移した結果、爆発的にゲームセンター自体が売れた、嬉しいが認めたくない実績が出来上がってしまっていたのだ。


「なにこれ…。竹取幸…あんな無茶な作戦を本当に成功させたと言うの…?信じられない。彼は何者なのよ!!いや…だから彼が選ばれたのかしら…?悔しいわ。ナンセンスな考えだと思っていたのに、私が間違ってたなんて。」


2人が店内の光景に衝撃を受けている時、ノノカ達が倉持の元へと走ってきた。

目を輝かせて、純粋な子供の笑顔で倉持をゲームに誘う。


「神子ちゃん!!ノノね、また上手くなったよ!はやくカクゲーやろうよ!!UFOキャッチャーもしたいなあ!」


「お姉ちゃんお姉ちゃん!!新しい音ゲーとかさ、ダンスゲームとかもやりたい!!2階の新しいところも見てみたいし!!」


2人は余程楽しみにしていたのか、倉持の両手を引っ張ってゲームに連れていこうとする。

オーナーは、それを見てノノカ達に感謝の印として、ゲームプレイ何回でも無料パスを渡した。


「嬢ちゃん達、本当にありがとう。嬢ちゃん達のお陰で、私のゲームセンターはまだまだ盛り上がりそうだよ。これは感謝の印だが、ここのゲームをいくらでも無料でプレイ出来るようになるパスカードだ。嬢ちゃん達には感謝してもしきれないからな。これで楽しんでおくれ。」


「やったー!ありがとー!!おじちゃん!!ほら!はやくはやく!!神子ちゃん!!」


パッとパスポートを受け取ると、さらに強い力で倉持をカクゲーの所に連れていこうとする。

戸惑いながらも嬉しそうに倉持は、2人を落ち着かせようとする。


「アハハ。OK,OK!でも、2人とも落ち着いて。私は、少し貴方達のパパと話したいことがあるからさ、それが終わってからでもいいかしら?」


倉持の言葉に、えぇー。と言う反応をすると、2人は「じゃあ、先にプレイして待ってるからね!!」と言ってカクゲーエリアに向かった。

その際に、紫が幸の場所を伝えた。


「神子ちゃん。パパは、屋上の休憩スペースに居るから!話すならそこ行けばいいと思うよ!!」


倉持は紫に感謝を伝えると、その足で屋上へと向かった。

屋上スペースには人がほとんどおらず、幸は缶ジュースを飲みながら疲れた様子で外を見ていた。


「竹取幸…。あんた本当に凄いやつだったのね。このゲームセンターが、ここまでになるなんて思わなかったわ。」


倉持の声を聞いた幸はゆっくりと振り返るのだった。


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