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生まれて初めての歯医者

「あんちゃん、どうするんだい?早く決めてもらわないと、その嬢ちゃんしか受けられなくなるよ。」


老婆スタッフは、幸に受けるかどうかを聞く。

急な展開で悩み出す幸だったが、虫歯がある以上治療して貰えるならした方が良いことは知っている。

それに、自分が先に行くことでノノカの怖いという気持ちを少しでも和らげられると考えた。


「…よっし。俺が先に治療を受けます。ノノカ、見とくんだぞ。俺の勇姿を!!歯医者は怖くない!!」


幸は、治療を受けることにした。

治療を承諾すると、老婆スタッフによって中の治療室に案内される。

建物の中は、廊下含めてやはり薄暗くて古い。

歩く度にギシギシと音がなり、どこへ行っても古い木の匂いがした。


「ここで横になってくださいな。少ししたら、先生が来ますから。」


治療する人が座る椅子がある部屋に着くと幸はそこに座らせられる。

ノノカ達も中まで着いてきて幸の様子を見ていた。

先程まで院内に響き渡っていた叫び声や、ドリル音は急になくなり院内は恐ろしく静かだ。

不思議なほど静かな空間に、少し不安な気持ちがよぎる。


「ママ、ここ怖いよお。さち大丈夫かな?」


「だ、大丈夫だよ!怖くなんかないよ!普通の歯医者さんなんだから。」


少し経つと、院内の廊下から機会のモーター音が鳴り響いた。

これまでの歯医者で聞いた事のない音。まるで、大きな機械が廊下を歩いているかのような音だ。

モーター音は、少しずつ幸達のいる部屋に近づいき、部屋の前でピタッと止まった。

なんで、急に止まったんだ?と3人が(?)となっていると突然物凄い勢いで部屋の扉が開く。

すると、そこには巨大で全身銀色の人型ロボットのような物が立っていた。


「「きゃああああ!!!!」」


「うおおぉおぉおおお!!!?」


3人は一同に明らかに異質なそのロボットを見て、物凄い表情をしながら叫び声をあげる。


【ミサイルシステム起動。発射準備オーライ。】


銀色の人型ロボットからアナウンスのような声が流れると、胸部の部分がガチャッと開いて赤く光る。


【ターゲット3名を確認。発射三秒前…】


キュイイイイイィィィィン


カウントダウンと同時に、先程院内に響き渡っていたドリル音のようなものが胸部から響き出す。

3人は恐怖のあまり、皆でくっついて目を閉じた。

カウントダウンはあっという間にされ、発射の合図がされるとパーン!!!と胸部からクラッカーが放たれた。

震える3人に、紙吹雪とリボンが降りかかる。


「は…?」


幸が先にそれに気づくと、ロボットの後ろから眼鏡をかけた普通の若い男性の医者がロボットをどかして入ってきた。


「よっとっと。楽しんでくれましたか?当院名物のロボットショー!」


「「「楽しめるかァー!!!(怒)」」」


どうやら、このロボットの演出はこの場所の名物のようだ。

まさかのショーだったという事に、怒りを表す3人。

喜んで貰えてないことに驚いた医者は、えっ?という反応をして、目が点になる。


「あれれ?このロボット四肢は動かないけど、すごい迫力なんだと思うんだけどなあ。高かったし。」


「いや、怖すぎだろ!!頭おかしいのかよ!?」


「怖かったぁ!!それヤ!!どっかやって!!」


楽しんでくれてないことに納得がいってない医者は、少しテンションが下がっているようだ。

医者いわく、ここの歯医者はお化け屋敷好きとロボット好きな親子が作り出したコンセプト歯科というものらしい。

もの好きな人間はここに通院しているが、最初のショーや雰囲気で普通の新しい顧客の獲得ができず、悩んでいるらしい。


「僕がロボット好きで、母さんがホラー好きなんですよ。開業するならお互いの好きを存分に使ったオリジナルの歯科を作ろうってなって…。」


「ただ、このコンセプトに着いてこれる助手や、お客さんが少ないから困ってるんです。」


(((そりゃそうだ。)))


3人は変なところに来てしまったと思う。

レビューでの評価が高かったのに、なぜこんな変な歯医者なのか。

考えると謎は深まるばかりだった。


「なんでここ、こんなんなのにレビューでの評価は高いんですか?」


「こんなんって…。まぁ、いいや。ウチは自分で言うのはなんですが、腕だけは自信があるんです。ウチの母が今日は受付してたでしょ?母も私も全国の歯科名医ランキング上位5選に入ってるんですよ。一応。」


癒菜と幸は、そんな腕が良い名医がこんな事してるなんて勿体なさすぎると感じる。

このコンセプトさえ無ければ、おそらく予約で毎日埋まるほどの歯科となっていただろう。


そんな事を考えながら、さっそく幸は先に施術を受けることとなったが、本当に腕はかなり良かった。

施術してる間も痛くも痒くもなかったのだ。

そんな幸の様子を見て、ノノカも渋々施術を受けた。

最初は緊張して表情が強ばっていたが、次第に安心してきたのかリラックスしている様子だ。


「はーい。終わりましたよ。よく頑張ったね。痛くなかったかな?」


「うん!大丈夫だった!!」


ノノカの施術も特に問題なく終わり、3人は受付に戻った。

受付では、老婆スタッフがニヤニヤしながら3人を見つめる。


「ヒッ!!!」


やはり何度観ても不気味なものは不気味だ。

老婆スタッフの顔を見て、ノノカはやっぱり怖いのか幸の後ろに隠れた。


「楽しんでもらえたかしら?嬢ちゃんも、もう痛くないようだね。よかったよかった。」


「あの…。お節介かもしれないんですけど、このコンセプトやめた方がいいんじゃ?怖いですから。普通に。」


幸は楽しそうな老婆スタッフを見て、軽くため息をつく。

3人の憔悴した様子を見て、あっひゃっひゃっひゃと笑いながら、3人の料金の精算を終わる。


「それがいいんだよ。私らは私らだ。またおいで。定期的に歯の検診は受けとくもんだよ。」


「はぁ…。ありがとうございました。」


3人は、不思議な歯医者を後にする。

それから、この歯医者に関して、なんだかんだ3人は少し癖になったのか紫も連れて4人で定期的に検診に来るようになったとの事だ。

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