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こわいよ、歯医者さん

「いたぁあぁ!!!!うわぁぁぁん!!!!」


朝の朝食の時間に、幼児の叫び声が天高く響き渡る。

幼児は、朝食を食べようと1口目を口に入れたところだったようだ。

突如叫び声をあげると、大泣きしはじめてスプーンを投げ捨てて暴れ始めた。


「うわぁぁぁん!!痛いよお!!あぁぁぁ!!!」


ノノカは口の中が痛いようで、右頬を抑える。

ただならぬ様子に幸と癒菜はノノカに駆け寄り、幸はノノカを抱きかかえて、癒菜はノノカの抑えている口内を確認する。


「あ…」


癒菜は、ノノカの口内を確認すると目を閉じて、真剣な面持ちでノノカと幸に伝える。


「ノノちゃん…あなたの痛みはズバリ…虫歯でしょう!!!!」


やっぱりかと幸は自分の予想通りな展開だった様子。

当の本人は、虫歯?なにそれ?状態で、一瞬ポカーンとなるが、痛みでまた泣き出してしまう。


「痛いよな…ノノカ、分かるぞ…。夢坂さん、これは今すぐノノカを歯医者に連れてくべきだよね?」


「うん。このままほっとけないね。ご飯も食べられないだろうから。ノノちゃん、歯医者さん行くよ。私から学校には連絡いれとくから。」


「お姉ちゃん、歯医者さんってどこなんだろうね?」


「うぅぅ…。はいしゃさん…?」


その後、癒菜がすぐに歯医者と学校に連絡を入れて、午前のみ特別に授業を休めた2人は、ノノカを歯医者に連れていくことになった。

近くにある評判の良い歯医者に到着すると、ノノカの表情が強ばる。

先程まで、痛みで泣いていたノノカだったが、歯医者の雰囲気を見て反射的に警戒しているようだ。

そこの歯医者は、腕はとても評価が高い名医らしいが、建物の雰囲気が少し怖いのだ。

なんというか、古い建物あるあるの独特な雰囲気がある。


3人で中に入り込むと、受付の奥の方から叫び声とともにドリルで削られるキィィィンという独特の聞こえてきた。


「ぎゃああああ!!!あああああ!!!」


キィィィン!!!!ギィン!!ギィィィ!!!!


中で拷問でも行われてるんじゃないかと思われるくらいの衝撃的な音だ。

ノノカの顔が怖さからか、ドリル音が聞こえる度にどんどんとイカつい顔つきになっていく。

それから、3人が受付に向かうと奥の方から、これまた恐ろしいナマハゲのような老婆の受付スタッフがノソノソと歩いてきた。


もはや、ワザとやってるんじゃないかと思うくらいの見た目で、幸と癒菜にも緊張が走る。

ノノカはというと、そのスタッフを見た途端、恐怖値が頂点に達したのか、抱いていた幸の腕を振りほどいて逃げようとする。


「いやああぁぁぁ!!!おばけえ!!!!!」


「あっ!こら!!ノノカ!!!逃げようとしたらダメだっての!!」


「ノノちゃん落ち着いて!!!あ、あの!!すいません。初めてこちらにお伺いしたんですが、この子が虫歯でご飯も食べられなくなってしまいまして…。今治療って出来ますでしょうか?」


老婆スタッフは、静かにじーっとノノカを見つめると「お待ちくだされ。」と受付のノートをパラパラと指に唾をつけてめくり始めた。

ノノカはその間も幸から逃げようともがいており、幸とノノカは取っ組み合いのような状態になっている。


「さッちいいいい!!!離してー!!!やあああ!!!」


「ノッッノカぁあ!!落ち着け!!大丈夫だから、痛くないから!!!」


2人が取っ組み合いをしている間も、奥の方からは叫び声とドリルの音が聞こえてくる。

そして、それを聞いたノノカは更に必死に逃げようと抵抗した。

老婆スタッフがペラペラとノートをめくり終わると、癒菜の方に向き直す。

どうやら、この後のスケジュール的に治療することが可能という事だった。


「ノノちゃん!お口の痛いの治してもらえるってよ!!受けようよ!このままだとお菓子も食べられないよ?」


ノノカは癒菜に促されながら、老婆スタッフを再度見る。

老婆スタッフは、ノノカと目が合うとニヤっと子供が凍りつくような笑顔を作った。本人はそのつもりがないのだと思うが、ノノカにとっては、そのニヤッが更に背筋を凍らせた。

もはや、治療が困難になるほどの拒否を見せたノノカに2人が困り果てていると、老婆スタッフからある提案された。


「困った嬢ちゃんだね。んじゃ、時間あるから、そこのあんちゃんも一緒に受けるというのはどうだい?あんちゃんの口の中にも、虫歯あるのがさっき見えましたから。丁度いいんでは?」


「えっ!?」


驚くことに、その老婆は幸がノノカと話していた一瞬の間に、幸の虫歯を遠目から視認していたのだ。


(え…おれ?俺虫歯あんの?!ていうか、なんで俺の虫歯があの一瞬でわかるんだよ!?…こわ!!!)


幸は確かに最近、歯の一部がたまに染みると感じていた。

あながち、この老婆スタッフの虫歯がある発言も心当たりがないわけではなかった。


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