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残り49日

「ねぇ…。竹取くん。造さんが言ってるツフィア…いや月夜さんって、まるで…」


急に現れた骸骨姿の造の話を聞いていた2人は長話にも関わらず、ものすごい集中して話を聞いていた。

幸と癒菜は話を聞いていくうちに月夜と造の話が自分達の現在置かれている状況に酷似している事に気づく。

そして、月夜の本名【ツフィア・リリアル・ファレ・クロノア】という名前。

ノノカの最初の頃に出会って名乗っていた【ノノカ・リリアル・ファレ・クロノア】とほとんど同じだということも関係性を示唆していた。

幸の頬には一滴の汗が滴る。

なぜ造が自分達をここに呼んでまでこの話をしてくるのか、なぜ造の魂と意思は何100年の月日をたってなおこの謎の空間にパンタと一緒に居るのか。

謎は謎を呼ぶ。


「お前さんらは今不思議な事だらけであろう?わけも分からずこんな所に来て、こんな化け物みたいな姿の奴にこんな話されてな。すまねぇなぁ。」


目の前の骸骨は、頭をポリポリと掻きながら申し訳なさそうにしている。

幸は冷静に造の状態やこの状況を分析して、原因を探っていた。なぜこうなってしまっているのかを。

そして、少し考えた後に1つの予想を立てた。


「少し考えたんだが…もしかして、パンタの正体は月夜…?そしてあんたは月夜を守る為にここに…?でもそうだとしたら…なんで、あんな古い人形の中に2人の魂が…。いや、そこに沢山いるゾンビ共もか?もしかして、そいつらは、かつての村人だったりして…?わっかんねぇ…。」


幸の予想した内容を聞いて、骸骨は固まる。

その様子は驚いているといった状態だった。ふたたび頭をポリポリと掻き出すと、立ち上がって後ろに数歩下がり、土下座をしはじめた。


「え!造さん!!急に何を…?」


「なんで土下座!?」


造は、頭を下げたまま2人に申し訳なさそうに答えた。


「若いの。あんたすごいな。あんたの予想は全て合っておる。なぜあんたらが選ばれたのかは分からないが、ここにあんたらを呼んだ理由は、勝手ながらワシはあんたらに月夜を助けて欲しいと考えているからじゃ。」


それは、造の心からの願いとも捉えられる言葉だった。

どうやら造曰く、これまでの数百年間の間にこのように実体化して生きた人間と話すことなど出来なかったらしい。

ずっと現実の歴史の流れを人形の目を通して造は見ることが出来ていたが、月夜の魂は眠り続けていた。

なにをしてもその意識が再び動き出すことは無かったがノノカと出会った途端に覚醒し目覚めた。

これを造は運命に導かれていると感じているようだった。

そして、造は更に続けた。こうなってしまった理由と原因について話し始めたのだ。


「長くなってすまんが、もう少し…。もう少しだけ時間をくれ。お前さんらも娘の事が心配じゃろうが、こうなってしまった要因と理由があるんじゃ!!それを聞いた上で助けてくれるかどうかを判断してくれんか…。」


造の強い訴えを受け、2人はもう少し話を聞く事にする。

恐らくこの話の先に、ここから出るための鍵が見つかると思っているからだ。

ノノカについては、ノノカを助ける為に石作が向かっていった為、石作を少し信じる事にした。


「よし。爺さん、あんたの話を最後まで聞くよ。教えてくれ、あんたと月夜の事をもっと。」


「私も聞きます!!」


そして、2人は造と月夜の紫を失ったあとの話を聞くこととなる。

話は数百年前に戻り、紫が殺される事件のあった日の翌日まで遡る。


その日の昼頃に、造の家の近くにある墓地には造を含めた村人達の半数が集まっていた。

その日は、昨日殺されてしまった紫と村娘の葬儀を行っていたからだ。

貴公子達と軍が村から立ち去った後に、村長と村の男達数名が造の家に駆けつけていた。

あの後、どうなったのか事の顛末を知るために。

残念ながら造の家の周囲は悲惨なことになっていた。

血があちこちに飛び散り、村娘と紫は無惨な姿で冷たくなって倒れている。

そして、その場に力無く座り込んでいる、呆然とした造。

村長と村の男達はその悲惨な有様を目の当たりにし、驚嘆し、その場で嘔吐する者も居た。


「な…なんという…。こんなのあんまりじゃ…!!ワシらが何をしたと言うんじゃ!!あのお方達は悪魔かなにかか!?造…!!造!!しっかりせえ!!すまんかった。ワシがもっとしっかりしておればこんな事には!!本当にすまんかった!!力のないワシを恨んでくれ。」


「おいおい…ひでえなこりゃ。みんな!動けるもんは、遺体を火葬場に運ぶぞ!!村のもんをこんな状態にしてちゃ、お天道様に叱られちまう!!」


村の男達が村娘と紫の遺体を村の火葬場に運び始める。

そんな中、呆然とする造の元に村長が行くと、涙を流しながら強く抱き締めた。

しばらくして、座り込んだ造を支えながら立たせると火葬場にて2人の葬儀を行いにいった。

参列した村の住人は村の男達と紫と親交のあった者と村娘の家族数名だ。


造と村長が紫が火葬されているのを眺めていると、村の男の一人が村長になにやら耳打ちをした。

村の男いわく造の家の周囲を片付けていたとの事だが、どこを探しても造の娘である月夜が見当たらないというのだ。

男共で周囲の林などを捜索したが見当たらず、報告に来たとのこと。

村長は事情を知らなかった為、月夜が貴公子達に連れ去られて行ったと考える。

造に月夜がどこにも居ないと伝えるか迷ったが、娘の事なので伝えた方がいいと考え、伝えることにした。


「造や。恐らくお前は知ってると思うが、、その……。月夜がどこにも見つからんらしい。もしかして、貴公子達に連れていかれたんか…?あやつらの目的は月夜じゃった。」


呆然と火葬場を眺めていた造は、村長を見ると、村長の家のある方へ指を指した。

村長はそれがどういう意味か分からなかったが、また別の村の男が村長の元に焦りながら走ってきた。

村長が何事かと尋ねると、村長の家が月夜と咲命の国の兵士数名に占拠されたという話だった。


「はぁ!?なんじゃと!?造!どういう事じゃ?!月夜はなぜそのような…!?母を失っておかしくなったのか!?」


あまりにも意味不明な事態に村長は理解ができなかった。月夜と咲命の兵士が、なぜ一緒にいて自分の家を占拠するのか。

村長が困惑していると造は、力無く答えた。


「月夜はおかしくなった。もうあれは、月夜ではない。月夜の姿をした何かじゃ…。ワシは家族を皆失ってしまったんじゃ。」


その頃、月夜は村長の家の住人を追い出して占拠すると、村長が家で村の管理を行う際に座る大イスに座り、咲命の国の兵士を村長の家の周囲に散らばせて配置をした。


「時間が無い。私が出来る事は限られている。早く取り掛からないと。お父様…。」


大イスに座りながら目の前の机の上で作業を始めていた月夜だった。


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