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恐怖のやり取り

2025-10-12 誤字修正

(なんという事じゃ…!!なんて事を…!!)


大事件の起こっている村は混沌と化している。

1人の村娘によって引き起こされた大事件に、村長は混乱していた。

貴公子達の後ろに控えていた述べ5000人の武装した兵士が村娘達に向かって走ると、刀を一斉に抜いたのだ。

一部の村娘も最初に前に出た村娘と一緒に貴公子への侮辱行為に加担した為、処罰対象となる。


「全員その場で跪け!!!貴公子様への侮辱!!到底見過ごせぬぞ!!」


全方位から刀を目の前に突きつけられ、村娘達全員に戦慄が走る。

恐る恐る跪くと、最初に動いた村娘に刀を突きつけた状態で将軍が全軍に司令を出した。


「咲命の国及び貴公子様方への背信行為!こやつら全員を逆賊と見なす!!我が名の元、全軍に命ずる。この場にいる全ての女を処刑せよ!!!」


処刑の命令は、村娘全員の斬首となる。

逆賊の末路はいつも残酷なものだった。

これまで逆賊は皆、その場で必ず斬首となり、飛んだ首は咲命の国の広場に腐敗するまで公開され続けるという結末を追う。

生きている全ての民にとって、それは耐え難い物なのだ。

村娘の大半が、自分のこれから置かれる未来に恐怖し、失禁する者や、泣きじゃくりながら貴公子達に命乞いをする者で溢れた。


「き、貴公子様!!!村の一部の女が大変おぞましい行為を行い、申し訳ございませんでした!!!私どもの大半は、あの娘のように侮辱するような思想は抱いておりませぬ!!どうかお命だけは…!!」


「あぁ……仏様……私をお助けくださいませ…どうかどうか……お命だけは。」


突然の村の危機に村長も動いた。

このままでは、村の壊滅を招く結果になりかねない緊迫した状況だ。


「貴公子様…!!ワシらの村の女共がしてしまった愚かな行為、到底許されるものではございませぬ。しかし、皆処刑というのはご容赦願いませぬか。村の存続に関わることでございます。」


村長が貴公子達へ投げかけるも反応は無い。

このままでは、直ぐに殺されてしまうと理解した村長は、全軍の指揮権を持つであろう将軍の前に跪く。


「しょ、将軍様!!どうかご容赦くださいませ。女共を全員処刑しては、わしらの村が崩壊してしまいまする!!お考え直しくださいませ。どうか…どうか!!」


なんとか極刑を免れようと皆必死になるも、

彼らの懇願も虚しく散ることとなる。


「フン…。貴様らの村などどうでもよいわ。」


将軍は聞く耳を全く持たない。残酷な指示に村娘達は覚悟を決める。

兵士達の刀が空高く振り上げられた時、貴公子の前にいた村娘は貴公子に投げかけた。


「良いんだね?あたいら全員殺しても構わないが、目的は果たされないよ。」


このような状況にしたのにも関わらず、全く動じる様子のない村娘は貴公子に問う。

この状況下でも、自分の方が優勢だと確信しているのだ。

先程からずっと静観している黄色の貴公子は、自らが帯刀している刀を抜く。

勢いよくそのまま刀身を将軍の刀に並ぶように村娘の首元へとやり、村娘の反応を見ながらゆっくりと話しかけた。


「面白いな、小娘。ここまでの状況にも関わらず、動じぬのか?貴様含め女達が皆殺され、さらし首にされる未来しかないと言うのに。」


貴公子達にとって単純な疑問だった。

これまで、死を恐れぬ者を見たことがなければ、ここまでの横柄な態度を自分達に対して取れる者も皆無だった。

なのにも関わらず、この目の前の小汚い娘は恐れもせず、態度も改めない。

そんな娘の事を理解出来ず、不思議で仕方がないのだ。

興味が湧く貴公子を見て、村娘はここぞとばかりに言葉で翻弄していく。


「あたいには、その未来以外の未来が見えているもの。あたいの見える未来はね、この場で皆が解放されて、あんたらに感謝される未来よ。」


「ほう…?」


「あたいと村の娘を皆解放しな。話はそれからよ。知りたいんでしょ?噂の女子について。別に知りたくないのであればいいわ。この場で死んでやるから。」


「…。」


せっかく自らの時間を削ってまで来た辺鄙な村。

目的の美女が本当に居るとするのであれば、それは是が非でも確認したい。

黄色の貴公子が少し考えていると、後ろから戻ってきた青色の貴公子が会話に入る。


「こやつ…本当に面白い奴よ。では、そなたの持ち得る情報が偽りであった時、どうしてくれる?我々のこの憂さはどうすればよい?」


村娘と貴公子はしばらく見つめ合うと、村娘が口を開いた。


「女だけじゃない、村に住む村人全員を殺したって、なにしたってかまわないよ。」


その言葉を聞くと、青色の貴公子は村娘に向けられていた刀を納めさせる。

将軍や兵士達にも刀を納めるように指示し、軍は貴公子達の後ろに引いていった。


「貴様の覚悟、気に入った。約束通り、貴様のいうことが本当だと分かれば、貴様と村人の罪を全て許そう。みな、それでも良いですかな?」


「よい。」


「構わんぞ。」


貴公子達は、青色の貴公子の判断に賛同する。

しかし黄色の貴公子だけは、腑に落ちない表情をしていた。

直接コケにされてしまったことが、すごく屈辱だったようだ。

村娘達が状況が落ち着いたことに安堵していると、青色の貴公子は最後に村人全体を脅すような言葉を笑顔で放つ。


「そなたら。もし、あの小娘の放った言葉が嘘であったのならば、村の者全員拷問の末、生きたまま獣に臓物を喰ろうて貰う事になるからな?ゆめゆめ忘れるでないぞ?」


村人達の命の危険が無くなった訳では無い。

あくまで延長されているだけの事と言うのを村人は全員自覚するのだった。

村長は、村崩壊の危機を前に月夜をもう守ることができなくなる。

月夜の小さな頃からも知っている村長は罪悪感を感じてしまう。

村長としての立場と友人としての立場がある彼にとっては、とても辛いことだった。


(すまない…すまない…。上手くゆくと思っていたのに…。ワシは友の家族を見捨てることになってしまう。)


村長は、静かに自らの拳を強く握りしめた。


貴公子達は、各々自分の牛車に戻る。

将軍を筆頭に村娘を拘束しながら月夜のいる場所に向かい始めた。


「さぁ、我々をしっかりと案内するがいい。少しでも変な行動を取ってみろ?その場で即処刑するからな。」


将軍の気迫は皆を震えさせる程の物だ。

先頭に立たされている先程の生意気な村娘は、そんな将軍の気迫すらものともせずにそのまま黙って案内をする。

村娘の心中は、現在恐怖よりも喜びの方が強かったのだ。

ムカつく貴公子に恥をかかせて、ムカつく女を村から追い出すことができる。

こんなに一石二鳥なのだから当然だった。


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