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鳥居の中の草餅

2025-8-18 誤字修正

居酒屋の扉の先は、暗闇に提灯が一定の距離で付いている道が続いていた。

道の頭上には、鳥居がずらずらと立てられており、見るからにヤバい雰囲気が漂っていた。


「ど、どこだよここ…。ショッピングモールはどこ行った…?」


幸は、恐る恐る外に出る。地面は土と砂がしっかりとあり、まるで外にいるようだった。

恐ろしすぎるほど、その場所は静かで、幸が歩く音しかしない。


”ザッザッザッ”


当たりを見回しても、暗闇が広がるばかりで、なにも見えそうにない。

後ろから、石作と癒菜がゆっくり後をつけてくる。


「ノノカ様ー!!どこですかー!?」


石作が大きな声でノノカを呼ぶと、声が周囲に響く。

癒菜は、怖すぎて外に出ると、幸の背中にくっついた。


「怖い怖い怖い…!!!なにここ!!なんでこんなに暗いの?!ショッピングモールはどこ!?」


癒菜は、軽くパニックになっているようだ。

3人全員が外に出て、すぐに異変が起きた。

今まで3人が居た居酒屋と周囲の地面が崩れはじめたのだ。


「きゃあぁぁぁあ!!?!?」


「おい!竹取!夢坂!!地面が急に崩壊しはじめたぞ!!は、走れー!!!」


「!!!?夢坂さん!!!」


石作は、走って鳥居をくぐりながら前進するも、癒菜はそうはいかなかった。

崩壊の衝撃でその場に倒れ込んだ癒菜は、足を負傷した上に、恐怖で腰が抜けて動けなくなってしまったのだ。

幸も石作と一緒に走ろうとしたが、寸前に癒菜の異変に気づく。

倒れて青ざめた顔になりつつも、涙を浮かべながら癒菜は声を振り絞って幸に伝えた。


「竹取くん…先に行って!!」


それは、癒菜の諦めであり、どうやっても自分は助からないと悟った癒菜の覚悟であった。

後方の地面がどんどん勢いよく崩壊していっており、もう癒菜のすぐ後ろにまで崩壊が進んでいた。


「あっ…」


癒菜がそういうと、癒菜の真下の地面が崩壊しはじめた。

崩壊した地面は、奈落と言えるような何も見えない闇の中に消えていく。

癒菜は、その瞬間目を力強く閉じる。


(ごめんなさい。お父さん、お母さん。私ここで死んじゃうみたい…。ノノちゃん、ママが見つけてあげられなくてごめんね…。もっと、みんなで一緒に居たかったのに…。)


癒菜の身体が後ろに倒れて行く時に、急に引き上げられる感覚があった。

ふと目を開けると、そこには幸が落ちていきそうになった癒菜を思いっきり引き上げて、その勢いのまま癒菜をおぶさって、走り始めたのだ。


「夢坂さん!!!ダメだよ!!こんな所で死なせるもんか!!諦めてたまるかよ…!!」


癒菜は、顔を赤くしながら汗だくで自分を背負って走る幸に驚く。

普段運動なんか皆無で、どちらかというと運動を苦手とするタイプの男子が、自分を背負って走っているなんてありえなかったからだ。


「竹取くん…。どうして…!?大変だよ!!このままだと2人とも落っこちちゃう…!!私は走れないから、竹取くんだけでも…。」


ゼエゼエと息も絶え絶えな状態で、必死に走っている幸を見ながら、自分を必死に救おうとしてくれる姿に、涙が零れる。

普段学級委員長として、クラスで頑張ってきた癒菜だったが、その役回りもあってか、クラスの同級生には煙たがられる時が多くあり、友達は居なくは無いが、普段孤独でいることが多かった。

その為、こんなにも必死になって自分の為に頑張ってくれる人に出会ったことがなかったのだ。


「だ…いじょ…ぶ…!!はぁはぁ…。人ってのは…ここぞってときに…とんでもない力…を…だせるんだ…。だから…だい…じょぶ…はぁはぁ。」


「竹取くん…。でも…!!」


明らかに大丈夫ではない状態の幸だったが、アドレナリンの力でなんとかダッシュができている状態のようだった。

そんな様子を知っている癒菜だからこそ、幸を心配していた。

2人で共倒れになるくらいなら、幸だけでも助かって欲しいと癒菜は考える。

幸の気持ちに嬉しさ等の色々な感情を抱きつつ、背中から無理やり降りようとすると前方から石作の声が聞こえた。


「竹取!!!ここだー!!あと少しだ頑張れ!!ここの部屋に入るんだ!!」


途方もなく続く、鳥居と暗闇の先に、障子の扉のようなものがポツリと立っていた。

障子の扉の先からは、光のようなものが差し込んでおり、明らかに現在、幸達がいる空間とは違う空間だと分かるものだ。


「うおおおぉぉぉあああぁああ

!!!」


幸は、半分発狂のような雄叫びをあげながら、

その扉まで速度を一切落とさずに駆け抜けていき、崩壊寸前の所で、扉に滑り込む形で入り込むことが出来た。


「はぁはぁはぁはぁ…。ぜぇぜぇ…。」


崩壊が止まったのを確認すると、幸は、癒菜をその場に下ろして、倒れた。

ヒューヒューと息を吸う度に、幸の肺から嫌な音が鳴る。


「竹取くん…!!ごめんね、ごめんね、私のせいで…。」


癒菜は、幸の胸をさすりつつ、幸が落ち着くのを待った。

少し時間が経つと、呼吸が安定し始める。


「夢坂さん、ちょっと俺…休む。急に全力疾走だったから、目眩がするんだ…。」


そういうと、幸はその場で目を閉じて眠るように静かに休み始めた。

癒菜は、幸が目を閉じると、自分の膝に幸の頭を乗せて、頭を撫でた。


「竹取、やるじゃないか。…ところで、また新たな場所にたどり着いたが、一体ノノカ様はどこへ…?」


石作がそう言いながら、辺りを見回す。

先程までの暗闇しかないおどろおどろしい空間とは変わり、辺り1面に無数の竹が生えており、風は吹いていないのに、風が吹いているかのように、笹の葉がなびいていた。


空には、太陽は見えないが、陽光のようなものが竹の隙間から差し込んでおり、どこか暖かな空気感がある。

石作は、幸と癒菜が少しの間動けそうになさそうだった為、1人でノノカの捜索をする事にした。


「ノノカ様ー!!ノノカ様どこですかー!!居たら返事してくださいー!!」


無数に生える竹の隙間をくぐり抜けて、とにかくまっすぐ進み続けると、すこし開けたような場所にたどり着いた。

そこには、中心にかなり古めな家が立っており、中から賑やかな女の子達の声が聞こえてきた。


石作が警戒しながら、耳をすましつつ近づくとそこからは、ノノカと思われる声が聞こえてくる。

石作は、しばらく外から様子を伺いながら、コソコソと家に近づいて、そーっと家の中をのぞきこんだ。


するとそこには、ノノカと幼い女の子が2人で仲良く話をしている姿があった。

ノノカと一緒に居るその女の子は、綺麗な着物を着ており、黒くて綺麗な髪は背丈ほどあった。見た目は、ノノカと同い歳の5歳くらいに見えるが、髪型といい、今の時代にはそぐわない見た目をしている。


「ノノカ様!!お探ししました…!!こんな所にいらっしゃったのですね!!ご無事で何よりです。お迎えに上がりました。」


石作は、2人が会話している所に、ノノカが居た安心感からか笑顔で声をかけた。

ノノカは、石作を見て「あっ!!」と気づいた様子だったが、もう1人の女の子は違った反応を示す。


「…!!不届き者!!なぜここがわかった!?ノノカ!私と一緒に来て!!」


「パンタ…!!ちょっと…!待って!!」


ノノカは、人形につけていた名前のパンタという名で、その女の子の事を呼んでいた。

ノノカの手を引っ張って後方に下がったパンタは、家の裏口のような所に飛び出して行った。


「ちょっ…!!き…さまっ!!!ノノカ様を離せ!!!待ちやがれー!!」


石作は、飛び出した2人を追って家の裏口を出ようとした瞬間、顔の目の前で何かが振りかざされた。


「は…?」


振りかざしてきた先をよく見ると、そこには、(くわ)を持った骸骨が立っていた。


その頃、少し休憩していた幸が目を覚まして身体を起こすと、そこには、30体はいるのでは無いかと思われるほどの布切れを着た骸骨が、それぞれ鍬や鎌などを手に持って、少しずつ迫ってきていた。


「…!?夢坂さん!!なにこれ!?どういう状況!?」


幸は驚いて、癒菜に尋ねた。


「わ、、わわ、わたしも、わかんない!!わかんないよお!!!!」


癒菜も突然ふと現れた骸骨達に、驚きを隠せないようだ。

2人の周囲を囲むように円を組みながら骸骨達は迫ってきている。

そんな中だ、1人の骸骨からふと声が聞こえてきた。


【あんたら、よく来たな。少し、わしらの話を聞いて行かんか?】



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