ネンネとの暮らし
2025-6-1 誤字修正
我が家に、得体の知れないバカでかい猫がやってきた。
その名は、ネンネ。
俺がこのネンネとか言うユキヒョウに、思いっきりドロップキックをキメられて、気絶している間に、色々と事情が変わったようで、ずっとノノカの近くにいるようになった。
とてもとても、はた迷惑な化け猫だ。
俺が気絶させられたあと、ネンネは、クラスの誰かによって通報された警察と衝突した。
警察に包囲をされたらしいが、なんと駆けつけた警察官全員を、ものの数秒で倒したとの事。
戦闘力は、どうやらクリオネのお墨付きのようで、地球上でもっとも強いらしい。
しかも、知性と理性を兼ね持っている為、気持ち悪いことに、人間の言葉を話し、理解することが出来るようだ。
ちなみに、警察官がその時は、全員やられてしまったので、現場は大騒動になった。
機動隊やらも来る自体になり、流石にクリオネにその事を心の中で訴えたら、運よく声が届いたようで、急にまた俺らの前に現れた。
その後に、その場にいる俺ら以外の全員の記憶やらなにやらを改造したらしい。
現在に至っては、キャトルミューティレーションされた人々は、ユキヒョウの事を可愛いペットとして認識しているようで、一緒に歩いても、可愛い〜!となるだけになっている。
又、ネンネは、幸に対して、かなり厳しい。
ユキヒョウとは言え、改造されたこの猫は教育面もしっかりしているようだ。
「幸!ノノカ様が寂しがっている!!テレビを見ずに遊んでやれ!」
最近では、俺に対してよく教育の指示をするようになりはじめた。
最初の頃は、怖がって近づかなかった癒菜も、徐々にネンネとは打ち解けていき、今では女友達のような感覚で絡んでいる。
2人でノノカとの教育の事やらなにやら、ガールズトークを笑いながらしており、
どんどんと俺は、家の中で肩身が狭くなるのを感じていた。
「俺の家なのに、どうしてこんなに肩身が狭いんだ……?」
幸は、疑問に思いながらも、今日もせっせと癒菜と育児に励む。
ノノカの世話をネンネと癒菜に見られながら、しっかりと行っていた。
どうやら、ネンネという名前は、ノノカが付けたらしい。
ネンネとノノカは、ものすごい仲良しなのにも関わらず、主従関係がすごい。
「ネンネ〜!あーそぼ!!」
「はい!ノノカ様がご希望されるのであれば、なんでもお付き合いします!何して遊びますか?!」
ネンネは、ノノカの言うことに対して、NOと言わない。全ての事に対して、しっかりと対応する。言葉遣いも他の人間の時とは明らかに違った。
「滑り台したいー!公園行きたいなあ」
「はっ!!ノノカ様の仰せのままに!!しかし…公園はどちらにあるのでしょうか?」
「ノノが知ってるよ!教えてあげるね!」
「ありがとうございます!分かりました!では、私めの背にお乗り下さい!お連れいたします!」
「うん!!よろしくね!ネンネ☆」
1人と1匹は、和気あいあいと公園で遊ぶことを決めると、家の玄関まで一緒に走って向かう。
幸と癒菜は、その様子をリビングのテーブルに膝をつきながら静かに見ていた。
ノノカが靴を履いて、外に出るとネンネは幸達の方に振り向く。
「では、ノノカ様を公園にお連れするぞ。夕暮れまでには戻るからな。」
ネンネは2人に報告すると、幸が少しからかう。
「大丈夫か〜?1人でノノカの面倒見れるのか?」
「なに!?バカにするな!!!私は貴様よりもノノカ様の安全を保証できる。今証明してやるぞ!!」
「はいはい。気をつけてな。夕方雨が降るみたいだから早く帰ってこいよー。」
毛を逆立て、シャーーッッ!!という声とともに牙をチラつかせながら幸を全力で威嚇したネンネは、玄関の扉がゆっくりと閉じるまで幸を睨み続けた。
「あーこわこわ!あの猫やっと行ったなあ、くわばらくわばら。」
「竹取くん。あんまりネンネさんの事弄らないのよ?ネンネさんはとても優しくて誇り高い女性なんだから。仲良くしないとダメ。」
幸と癒菜は、なんだかんだネンネに対しての信頼があったのでノノカを遊びに連れていくことに反対もなく心配もしなかった。ノノカ達が居なくなるとそのまま家の中でのんびりと過ごし始める。
普段育児に励む2人にとって、この時間は少しばかりの休息の時間となる為貴重なのだ。
2人がのんびりしている頃、ノノカはネンネの背に乗って風のように街中を駆け抜けていた。
驚異的な動体視力を持つネンネは車や人混みの中を一切止まることなく、合間をすり抜けるように走り続けた。
あまりの速度に、ノノカの髪は全て風で持っていかれて、スーパーサイ○人のように逆立つ。
当の本人は、それが楽しすぎるようでずっと大笑いしていた。
「うひゃー!!!ネンネはやいいい!!!ひゃひゃひゃ!!おもしろーい!!!」
嬉しそうなノノカの声を聞いたネンネは、主人をここまで喜ばせる事が出来たことが嬉しく、調子に乗ってどんどんと駆け抜けて行く。
その距離が少しづつ伸びていくと、遂にはノノカとネンネの全く知らない土地に着いてしまうこととなった。
辺りは、ビル一つ無い畑ばかりで、近くにある建物といえば古めかしい古民家のみだ。
「はぁ…はぁ…!!楽しかった…ね!ネンネ!またして欲しいな!」
満足そうな笑みを浮かべながらネンネに感謝をするノノカ。
そんなノノカを見てネンネも満足するも、不安が募っていく。
現在の時間は、14時30分。雨が降る予報の時間帯は17時頃だ。
2時間半の猶予があるとはいえ、その時間でまずノノカを公園で遊ばせないといけないというミッションと、それまでにこの知らぬ土地から抜け出して、自宅にまで無事に帰還しないといけないというミッションがあるからだ。
(私としたことが、なんという失態だ…。あまりのノノカ様の喜ぶ姿に浮かれてしまい、このような…。このままではノノカ様を危険に晒す恐れがある…。)
表情では分からないネンネの心配を、ノノカは察して、ネンネの毛をワシャワシャと触る。
驚くネンネを下から眺めながら、ワクワクした顔で遠くを指さした。
「ネンネ!冒険だよ!ここから、我々は未知の世界へ旅立つ戦士だ!さあ、行こう!共に!!」
全く見た事のない場所にも動じず、ワクワクを隠しきれてないノノカを見て、なんて自分は情けないんだ!とネンネは思う。
(どのような事態になったとしても、必ず家にお戻しする。そういう強い決意を常に持ち続けないと行けないのに!弱気になんてなってる場合じゃないぞ!!)
ネンネの目には先程とは違う強い決心の炎が宿る。
若干弱気の姿勢になっていた身体も、凛々しい姿へと様変わりした。
「我が主!!この戦士ネンネ!!いつまでもお供します!!!いざ再び私の背に!!!」
「いっくよー!!!ネンネ!!出発しんこー!!!」
2人の冒険は、輝かしい快晴の空の下、今スタートする。




