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染みた傷は、成長の証へ

「や、やろぅ…!!ゴァァア!!ゲップ!!たけ…とりぃ!!うっぷ!!」


大きなゲップとオナラをしながら、懸命に叫ぶ石作。

もはや、誰の目に映ってもその光景は滑稽だ。

幸と石作を囲んでいた周囲のクラスメイトは、そんな見たこともない石作の不格好さに笑いが込み上げていた。


幸は、アザだらけになった身体の痛みが次第に強くなり、その場に座り込んだ。


「無様だな…!石作さんよ。さぁ、もう喧嘩できる状態じゃないだろ?お前の負けなんだから、謝ってもらうぞ。」


幸は、苦しむ石作に対して謝罪するように求めた。

もはや誰の目にも幸の作戦勝ちとして映っている。言い逃れは出来ない状況だ。

しかし、石作は許せなかった。


(こんな陰キャレベルMAXのクズ野郎に負ける?謝罪?ありえねぇだろ!!俺は負けてねぇ!!)


石作は、敗北を認めずに炭酸で膨れ上がったお腹を抑えながら、2人の取り巻きに大声で叫んだ。


「工藤!江藤!!お前ら!!何やってんだ!!…ゲップ!!…このクソ野郎を…うっ…殺せよ!!」


2人の取り巻きが、石作からの急な指示に驚く。

なにもしない予定だった2人だが、ここで従っておかないと後が怖かったので、石作の命令通りに幸に向かっていった。


「おいおいおい…!!待てって!!もう終わりだろ!!お前らそれでも男かよ!?」


幸は、2人を止めようとするも2人の勢いは止まらず、2人は座っている幸を蹴ったり、殴ったりした。

意識が遠のいていく幸。


(ここまでか…。)


そう思っていると、遠くから泣き叫ぶ声が聞こえた。

それは、幸にとって聞き覚えのある声だった。



「竹取くん!!!」

「さちぃ!!!いやあああ!!やめて!!やめてよ!!さちをいじめないでよ!!」


ノノカと癒菜だ。

2人は急いで幸の元に駆け寄った。

癒菜におぶさられていたノノカは、癒菜から降りると、すぐに幸に抱きついて、2人の取り巻きを睨んだ。


「ごめんな…。ノノカ。それに夢坂さんも…。あいつを…2人に謝らせようとしたんだけど…。俺…強くないから…無理だった…。」


幸は遠のく意識の中で、2人に謝ると意識を失った。

ノノカは、その瞬間大声で泣いた。


「さち!?さちぃ!!!いやあああああ!!!!!」


まだ、幼い状態のノノカは、幸を失うかもしれない恐怖でいっぱいになる。

すると、その泣き声は音波のようなものを引き起こし、幸と癒菜の周囲の人間を1m程吹き飛ばした。


「きゃあああああ!!」


「うああ!!な、なんだよこれ!?」


吹き飛ばされたクラスメイトはみんなその場に倒れ込む。

その時、ノノカの頭上に突如小さく光り輝く何かが現れた。太陽のような小さな光は現れると、ゆっくりと降りてきているようだ。


「え、なに…あれ…?」


癒菜が空に浮かぶ小さな光を見つめる。

光は音もなく突然現れ、見つめ続けるとかなり眩しさを感じる輝きを放ちながら近づいてきていた。光る姿は神々しさすら感じるもので、徐々に距離が近くなると、その姿をハッキリと表し始める。

その姿は青色と白色が混ざりあった、まるでクリオネのような形のロボット(?)のようだった。


(星の記録データ解析)

クリオネロボットから何か声が聞こえると、目を光らせて周囲を見渡しはじめる。

数秒間見渡した後に、ノノカに向き直った。


「ご主人様のエネルギーを感知して来てみれば、野蛮な事をしているようだな。」


クリオネは、泣き叫ぶノノカに触れた。

ノノカは、その瞬間動きが止まり、幸にもたれかかるように倒れる。


「ノノちゃん!!大丈夫!?」


癒菜は、倒れ込んだノノカを抱き抱える。

何が起こっているのか分からない癒菜は、クリオネに向かって怒りをぶつける。



「あ、あなた一体なんなの!?竹取くんが言ってたノノちゃんを連れてきたロボット!?ノノちゃんになにしたのよ!?」



癒菜は、クリオネに問いかける。

クリオネは、癒菜を見ると呟いた。



「そこに居る竹取という少年に、ノノカ様を託したのだが、そなたもノノカ様の元に加わったのだな。感謝する。」



クリオネは、癒菜に対して感謝を示すと、さらに続ける。


「ノノカ様に眠りの暗示を掛けている。あのお身体で消耗するべきではないエネルギーが出てしまっていた。あの状態では、魂体(こんたい)自体に負荷が掛かってしまうのだ。」


クリオネはノノカに近づいて、手でノノカの頭にそっと触れた。



「ご主人様。見ない間に随分と、この星の生命体に染まってしまっているようですね。幼体となり、魂体(こんたい)もかなり影響を受けているよう………ん…?いや、これは…。」


クリオネロボットの思考回路を読み取ることは出来ないが、癒菜にはその時クリオネロボットがノノカを見ながら驚いているように感じた。


少しすると、クリオネロボットは、その場を離れて石作達の元へ飛んで行く。

石作は、目が見えず状況が掴めていなかった。

ただただノノカに吹き飛ばされて、倒れていた。


「なんだ、何が起こってる!お前ら!!何があったんだ!?」


石作は、取り巻き2人に問いかける。

2人の取り巻きは、恐る恐る問いかけに答えた。


「が、、ガキが泣いて、周囲の全員が吹き飛ばされて、、なんか、、変な白いヤツがこっちに近づいて来てるんだよ…!」


「こ、これ現実かよ!?」


石作は、2人が何を言ってるのか分からない。

意味不明な事を言う2人に対して苛立っていると、無機質な声が脳内に響いてきた。


(私の主人を傷つける野蛮者たちよ。そなたらの魂体を少し弄らせてもらうぞ。二度とこのような事を起こさないようにな。)


声が響いたと同時に、クリオネが両手を左右に開く。

すると、その手が輝き始めた。

その輝きは、石作達や、クラスメイト、ノノカ達を取り込んだ。


そして、その夜、幸は自分の家のベッドの上で目覚める。

全身に傷の処置がされており、包帯や絆創膏で傷という傷は見えなくなっていた。


「なんで俺はここに…?石作達にボコられて…」


幸は意識を失ってからの記憶が全くなかった。

最後にノノカを見た記憶で終わっている。

自分の家に、自力で帰れる状態では無かったのに、どうやって帰ったのか不思議だった。


(まさか、夢坂さんが…?いやいやそんなわけないだろ!?いやまて…。意外とああ見えて筋肉ムキムキなのかもしれないな…。)


筋肉ムキムキな癒菜の姿を想像しながら、考え込んでいると、同じベッドの隣側の布団がモゾモゾと動き出した。

幸は驚きつつも、何か小動物でも入ってきたのかと思い、ゆっくりと布団をめくる。

すると、隣には、いつの間にか、また少し成長したであろうノノカが寝ていた。


(ノノカ…!?無事だったのか…!よかった。というか、いつの間にか大きくなったな!?)


見た目は、髪が少し伸びて、おかっぱくらいの髪になっており、背丈も若干大きくなっている。

よく見ると歯も以前と比べて、しっかりと生え揃っていて、見た目は5歳程になっているようだ。

成長したノノカを見つめていると、眩しかったのか、ノノカが起きてしまう。


「うみゃぁぁ…。ん…。さち…?…さちだあ!!よかったあ!!無事で!!心配してたんだよお!!」


ノノカは、幸を見るやいなや、幸に思い切り飛びついてきた。

幸は、喜んでいるノノカに対して、少し悪戯心がでる。特に傷は痛みがなかったが、痛そうにしてみようと考えた。


「ぐあぁあ!!傷があああ!!!」


幸が、傷が痛むような動作を少し大袈裟にリアクションすると、ノノカはパッと離れて、「ごめんね!?大丈夫…?」と心配そうにした。

幸はそんな姿が面白くなって、つい吹き出してしまう。


「ぷっ…!あはは!!ごめんごめん。全然大丈夫だよ。ノノカが無事でよかった!俺ノノカ達に会ったあとから記憶がなくてさ、無事で安心したよ」


幸がホッとした表情で、そう話すと、

ノノカは、幸の元気そうな姿に安心して、またくっついてきて、スリスリと頬擦りをした。


「さち…!!大好き!!よかったあ!!!」


そんなノノカの可愛らしい姿に、幸も嬉しくなって頭をなでる。

すると、奥の部屋のドアがギィーと音を立ててゆっくりと開いた。

そこには、癒菜がおり、幸達の様子を伺いに来たようだ。


癒菜は、2人の元気そうな姿を見ると、幸に嬉しそうに話しかける。


「竹取くん、この前はごめんなさい。石作との事、色々聞いたよ。どうやら一矢報いたみたいだね。すごくかっこよかった。」


2人は、その後、目を合わせると、お互いに手でグッドサインをあげた。




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