現実世界 三度異世界へ
ー翌日ー
寝坊した。
そして会社に遅刻した。
茜との再会で気が大きくなって久しぶりにビールを
飲んでしまったが最後。
記憶を無くしてしまった。
朝起きたら出社時刻の15分前。
久しぶりの1時間以上の遅刻をかました。
当然部長は俺が出社するなり烈火のごとく俺に
怒りをぶつけた。
当然部長のメモを確認する暇もなかったので、今日の俺はディアルフォートに行く前と変わらなかった。
「調子に乗りすぎ… ということかな?」
よく考えると秘石をペンダントに取り込んでからいいことが続いていた。
だから知らず知らずのうちに心が浮かれていたのだろう。
今後もディアルフォートにはいくつもりだし、
秘石も当然勝ち取りに行くつもりだ。
だからこそ秘石があるという慢心がこの2日で
出てしまわないよう今後は用心する
必要がある。
「秘石って他にどんなのあるのかな?」
茜は緑色の秘石を見てすぐにこれが「健康」に
関するものだと気付いていたし、
プレイヤーハントについても詳しかった。
おそらく前にも遭遇したことがあるのだろう。
(前回行った時も思ってたけど、ディアルフォートについて何も知らなさすぎるな…)
「…あっ!」
ふと思い立ってあの爺さんが行っていた漢方屋に
寄ってみることにした。
夜になる前にできる事はしておきたかった。
ー漢方屋・異ー
(久しぶりに来たけど、やっぱ不気味…)
この前は入り口までしか来なかったが、
今回は店内に入ってみる。
意を決して店内に入ると中央奥に店主らしき
人が一人いるだけで店内はしんとしていた。
「何の御用ですか?」
突然店主から話しかけられ動揺。
しかし、ここで怯んだら元も子もない。
「あの… よくここにくるお爺さんのことで」
「あぁ 常連の
もしかしてこの前、案内してあげていた方ですか?」
「え?」
「聞いた事のある声だと思っていたんですよ。
店先での話し声はここだとよく聞こえますからね。
あの方たまに若者を試すんですよ。
この店にたどり着けるかどうかをね。」
あの爺さんわざとやってたのかよ。
普通に腹が立ってきた。
「なんでそんなことを?」
「さぁ? もしかして何か貰いましたか?」
「……え?」
「なるほど 貰ったんですね」
「……何か知ってるんですか?」
「詳しくは ただ…」
店主は一拍置いて
「あの方からもしワシのことを尋ねられたら
【自分がどこに行きたいか強く願え】
と伝えるよう申し付けられております」
「はぁ…」
「申し訳ございません
あの方、名前も存じ上げませんし、それ以外は
知らないんです」
これ以上は迷惑と考え、店主に礼を言い
帰ろうとする。
「お客様!」
急に店主に呼び止められびっくりしてしまった。
「こちら試してみてください。
疲労回復の効果があります」
試供品を店主から頂き、ありがとうございましたと
言ってから俺は店を出て帰路についた。
ー同日 夜ー
寝る支度を整えて、ペンダントを首にかける。
「自分がどこに行きたいか強く願え… だったな」
俺が異世界で行きたい場所。
最初に行ったときの町に行きたい。
(あそこなら、情報もつかめるだろうし)
とりあえず秘石の種類を知りたいし、ディアル
フォートについて知らないことも多すぎる。
(最初に行った町… 最初に行った町…)
そう強く想いながら眠りについた。
しばらくして何だか騒がしい。
人の声が聞こえる。 しかも一人二人ではない。
目を開けると、最初に健康の秘石を手に入れた
店の真ん前にいた。
「本当に町に行けた…!」
俺は急いで、店の店主に秘石のことを聞いた。
「あの、この前プレイヤーと秘石の交換を
していましたよね?
あれどうしたらやってくれますか?」
「は? あそこにある依頼場に行けはいいん
じゃないのか?」
店主が指差した先には古めかしいが荘厳な雰囲気の
ある大きな建物。
俺は店主に礼を言い、その建物に向かう。
「あんたプレイヤー?」
急に声をかけられた。
振り返ると背が海老のように曲がった
お婆さんが立っていた。
「えぇ そうです…」
「依頼するわ! はい!」
何か書かれた紙を渡すと老人は足早に
去って行った。
「モジェーク様 お待ち下さい」
行こうと思っていた建物内から女性が出てくる。
「あの もしかしてあの方から依頼証を受け取り
ました?」
「あ これですか?」
「あ… あの」
気まずそうに女性はこちらを見た。
「大変申し上げにくいのですか…
貴方は依頼証を受け取ってしまったので、
この依頼を受けなければなりません」
「は…はぁ」
「そしてこの依頼なんですが、 その…」
「本当に仕事として成立しないものなんです」
次の話からディアルフォートでの仕事の話になります。
秘石を手に入れるために何をすべきなのか?
これから触れていきます。




