表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/15

異世界 仕事始め

「グォォォォ…」


唸り声をあげる怪物に足音を殺して近づく。

近づいてきたら今度は鼻息も殺す。


「…………!」


砂漠トカゲの尻尾がブンと動く。

気付かれたと思い、体が硬直する。


「…………」


動かなくなった。

どうやら気付かれなかったようだ。


(俺…… なにしてんだよ…)



ー1時間前ー


「砂漠トカゲはよくあそこのオアシスに水を飲みに来ます」


職員さんが指さす方向には乾燥した周囲に似合わない湖。

水面はまるでサファイアのような輝きを放っている。


「砂漠トカゲがきたらゆっくり近づいて巾着袋の中にある興奮剤を鼻の穴に入れて、急いでここまで気付かれずに戻って来てください」


「そして砂漠トカゲがひとしきり暴れて疲れ切ったところで体のウロコをその剣で剥がして何枚か取って来てください」



ー現在ー


(さすがに作戦無茶すぎるだろ!)


俺は心の底からそう思ったが、内容をよく聞かずに引き受けてしまったことや、これ以上いい案が浮かぶ可能性はないだろうという観点からこの無茶な作戦に乗るしかなかった。


(こ……怖い)


近くで見るとよりデカく感じる。

一瞬の隙が命取りになることを肌で感じながら、

なんとか砂漠トカゲのそばまでたどり着いた。


「…………よし!」


意を決する。

砂漠トカゲの鼻の穴の中に興奮剤を入れる。

あとは……


(ただただ逃げるッ!)


ただがむしゃらに岩陰を目指してただただ走った。


なんとか岩陰まではたどり着くことができたが職員さんの車まではまだ距離がある。


(うぅ~ やっぱり体力落ちてるな)


学生時代に比べてどうしても体力が落ちてしまっている。

ちょっと過信してたな。


「ギャァァァァァァ~」


砂漠トカゲが叫びだし、暴れだした。

かなり苦しそうにしていて、四方八方に突進しまくっている。

突進した先の木は軒並みへし折られている。


(なんだか… 悪いことしたな)


仕事とはいえ、罪悪感がないわけではない。

俺は申し訳ない気持ちになった。


(ウロコだけ取って、さっさと帰ろう……)


砂漠トカゲがこちらに気付かないうちに職員さんの車のところまで戻り、あとはただひたすら砂漠トカゲがおとなしなるのを待った。


ー数時間後ー


「あ! 見てください!

大人しくなりました!」


「……やっとか」


衝撃音が聞こえなくなった。

落ち着いてくれたようだ。


(今のうちに!)


はやる気持ちを抑えて砂漠トカゲに近づく。

寝息が聞こえる。どうやら暴れ疲れて寝てしまった

みたいだ。


ゆっくりと剣を抜く。

黒い光沢のあるウロコが体を覆っている。

出来るだけ綺麗で傷のないうろこを採取するよう

職員さんに伝えられた。


全神経を集中させ、ウロコを一枚剥がす。

そこまで力を入れずとも剥がせた。


(急がなきゃだけど 少し多めにとろう)


十数枚程取ったところで俺は退散。

車に戻る途中で砂漠トカゲは起きたが。

こちかに気付いてはいなかった。


その後、職員さんと合流。町へと戻った。

職員さんがうろこをチェック。

何枚かはひび割れているものもあるが、成果としては十分すぎるらしい。

これなら大丈夫だろう…


「あの…」


「………? なんですか?」


「貴方いつもディアルフォートから現実世界に何日おきに戻っていますか?」


「えっ? まぁ1日経ったら戻っています」


「……!」


突然車を止め、タブレット端末をとりだす。

高速で何やら操作をしている。


「よし! 間に合う!」


職員さんは突然俺の肩を強く掴んだ。


「時間がないので端的に説明します」


「貴方はこのままだと今日の仕事が全て無駄になって

しまいます」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ