12.アトリエ入手と初めての調合
ミリスさんに案内してもらったアトリエは、公爵家本邸の敷地の片隅に建てられた、小さな洋館のような場所だった。
別館のような形で、本館とも渡り廊下で繋がっている。
私達が現在いるのは、その別館の玄関ホールみたいな場所――の、二階部分。見渡してみれば、吹き抜けになっている場所を囲うような感じの回廊になっている。
「こちらの別館が、エリリアーナお嬢様がご使用なさっていたアトリエ棟になります」
「え? アトリエ棟って、この建物全部がそうなの?」
「そうですね。といっても、アトリエ自体はこの別館の中にある一室になります。他は、素材などを保管しておくための倉庫が一室と、こちらで寝泊まりすることになった時用の各種設備で数部屋あるくらいですね」
「居住設備完備とか最強すぎる……」
やばい……これだけ至れり尽くせりだと、なにが代償になっているのかが怖すぎる。
ミリスさんと共に、そのアトリエの中に入ってみる。
アトリエの中も思ったよりも広いね……。
部屋には窓がなく、部屋を照らすのは天井にぶら下げられたいくつかの照明。
正面には調合スペースとして使われていたのだろう、様々な調合機材が丁寧に並べられていた。
調合スペースは壁際ではなく中央に存在しており、その向こう側には大鍋もあった。
同じ種類のポーションを大量に調合したいときには有用なのだろう。
右側の壁と、今私達が立っている、廊下側の壁には薬品棚。
棚の中には少しばかりの空の薬瓶が並んでいるし、最初のいくらかはこの薬瓶を使えばいいかもしれない。
そして左側の壁にも棚。この棚の中には、少しばかりの素材が並べられていたし、一角にはコンテナもいくつか置かれていたので、おそらくは素材置き場として使われていたのだろう。
「お嬢様が昼間に採取された素材も、後ほどこの部屋に運び入れておきましょう。この部屋であれば、適切に保管ができますからね」
「おぉ~、ありがとう」
それじゃ、早速調合試してみよう。
「ミリスさん、早速だけど、調合について教えてもらってもいいかな」
「大丈夫ですよ。では、こちらへどうぞ。鈴様はいかがなさいますか?」
「……私も、いいの?」
「お嬢様さえよければ構いませんが……」
「大丈夫だよ」
「では問題ありませんね。【調合】系統のスキルがなければ眺めるだけになるかと思いますが」
「……実は、メインクラスが『薬師』。だから問題ない」
ちょっ、マジで!?
私の『ヴェグガナルデ公爵令嬢』のクラススキルに、エリリアーナさんの記憶の断片って言う設定で【調合】スキルが紛れてて? トモカちゃんがテイマーで餌調達のためなのか同じくクラススキルで【調合】を持っていて?? それでさらに、鈴までもが『薬師』だなんて!
「私の周り、【調合】スキル持ち密集しすぎじゃない?」
「私がVRMMMOで薬師ムーブするのはいつものこと。別におかしいことじゃない」
「……偶然って、こんなに恐ろしい物なんだね……」
とりま、部屋の入り口でもたついていても何も始まらないので、ミリスさんに促されるままに作業スペースへと向かった。
「最終確認いたしますが、私に薬師として師事するということは、これ以降私以外の誰かに薬師として師事することができなくなるということでもあります。特に私がこれから教えるのはモルガン家が積み重ねてきた技術ですからね。他者に師事することは絶対に許されません」
「わかりました」
「私は、元よりミリスさん以外に弟子入りできそうにないしなぁ」
クラス特性のことがあるからなぁ。私を弟子にしてくれそうな人が、まずミリスさん以外だと、ミリスさんの口ぶりからモルガン家の関係者くらいしか思い当たらない。
ミリスさんは、私達の答えに満足したのか、一つ頷いてからこう言ってきた。
「まずは、お二人の適性についてみていきましょうか。これから、実際に調合しながらVTポーションのレシピを教えますので、お嬢様はそれを再現して見せてください。完全にではなくて大丈夫です。できる範囲で構いません」
「わかった」
「では始めます」
どこに隠し持っていたのか薬草類をいくつか取り出し、さらに『ピュア・クエリア』と唱えて水差しに水を生成。それを作業スペースに並べていくミリスさん。
説明しながらでもよどみがないその動作は、熟達した腕前を感じさせる。
「ポーション類の調合に必要そうな素材を並べ終わりました。今から、この中から調合に使う素材を『選別』していきます。よく見ていてくださいね」
ミリスさんが薬草類に手を伸ばそうとした瞬間、彼女の手元に一つのウインドウが表示された。
『調合素材選別【未完成のポーション】』とタイトルが付いたそのウインドウには、他に『付与効果候補一覧』と『選択済み材料』という二つのリストが付随している。
「VTポーションに必要な材料は、素材特性に『VT回復』が付いたものになります。ただし、VT回復が付いていても、同時に『毒素』が付いている場合などもありますので、素材はよく厳選する必要があります」
「なるほど、後でよく確認しておかないといけないね」
「薬草なら何でもいいわけじゃなかったんだね」
「そうですね。毒素入りのポーションを飲んで『腹痛』になりたくないのであれば、極力そうしていただくのが一番です。では、一緒に見ていてくださいね」
ミリスさんの横に並んで、その調合の手順を一緒に確認していく。
ミリスさんは、まず素材に一つ一つ触れていくと、その中からいくつかを抜き取って、それ以外は作業スペースの端っ子に追いやった。最後に水差しにも触れてから、再び私に向き直る。
「選別が終わりました。この時点で、才覚が目覚めつつある人、すなわち【調合】系のスキルを持つ者であれば、すでにこれから作るポーションがどのような効果になるのかが、大体わかってしまいます。お嬢様はどうでしょうか」
ミリスさんがそう聞いてきたけど、私にも大体どのようなポーションができるかがすでにウインドウに表示されて、一目でわかるようになっていた。
調合素材選別【完成予測:VTポーション】
付与効果候補:VT回復(小)、MP回復(微)、満腹度回復(微)、お腹に響く副作用、ごくごく飲める
使用素材:エード草、エード草、オレンの実、純水
予測消費CP:10/999
うん、大体理解できる効果ばかりだった。
お腹に響く副作用も、チュートリアルの時にあったもんね。お腹が弱っているときにポーション飲むと『腹痛』状態になってペナルティを受けるって。
ヘルプでも見てみたけど、デスペナと同じ倍率だっていう話だから、あまり無視もできない。心得ておかないと。
あと、は――なにかな、このバカみたいな効果は。
鈴も同じことを思ったらしく、首を傾げながらミリスさんに確認していた。
「『ごくごく飲める』って言うのは?」
「飲みやすいように味を変えた、ということです。これ自体は薬効事態に影響を与えませんが――同じポーションでも、えぐみしかないポーションと、えぐみは最小限に抑えられているけどおいしくもないポーション。それから若干の甘みがあるポーション。どれが一番飲みたいですか?」
「……確かに必要でした」
「わかればよいのです。良薬は口に苦しとは言いますが、本当に必要な時に、苦いからと口にできないようでは困りますから。それに、オレンの実にも若干ですがVT回復の特性を強める効果がありますから、ご自身の技量と相談して、加える余地があれば加えるのが良いかと。あと気をつけるべきは、やはりCPでしょうか。健全な状態での器用さが優れていても、実際のところはCP――集中力によって大きく左右されますからね」
「なるほど」
つまり、CPっていうのは集中力の略だったわけね。
これが足りていないと、多分だけど完成品の品質がすごく下がってしまったり、失敗しやすくなってしまったりといったペナルティを受けてしまうのだろう。
「では、実際に調合していきますよ」
言いながら、ミリスさんはまず小鍋を用意し、大きな三脚の上にそれをセット。ついで先程選別したばかりの素材の中から、まずは水差しを手に取ると、それを鍋の中に注ぎ入れた。
さらに、アルコールランプのような物体をその直下にセットして、マッチなどの着火道具を使用せずに火を灯した。
アルコールランプのようなモノにはつまみが付いており、それを操作することで、簡単に火が付くようになっていたのだ。
「調合には、ものにもよりますがたいていの場合加熱が必要となります。そのための火は、このマナランプを用いるのが一般的です。火力調整も簡単に行えるので便利ですし、値段も数十万Gとかなり手ごろな価格ですからね。水は【調合】か【水魔法】のスキルを持っているのであれば、私が先ほど使用した『ピュア・クエリア』が使えるはずです。よかったら使ってみてください」
「うん、わかった」
鈴が軽く流してしまったけど、今とんでもない言葉が紛れ込んでなかった!?
気のせいじゃないよね、数十万Gって!?
思わず糾弾したくなってしまったけど、心の中だけにしておく。
それよりも重要なこともあるしね。
無論、それは『ピュア・クエリア』のことだ。
早速【調合】のアビリティを確認してみれば、なるほど確かにその魔法がそこには存在していた。
いちいち水を汲みに行かなくて済むのは便利な仕様だなぁ。他のゲームだと、水も自分で組まないといけないゲームがあったり、酷いものだと水そのものにも良し悪しが設定されてたりしたからね。
「ただ、こだわるのなら魔法に頼らず、ご自身で水を用意する手もあります。特殊な特性を持った水などもありますしね」
「……楽だと思った私が浅はかだったわ」
「他のゲームでも、即応性に優れる場合、それだけで他の優れている何かを切り落としている場合が多いですからね」
鈴の言葉にミリスさんはクスリと笑って、時には妥協も大事ですよ、と補足を入れた。
「先ほども申し上げました通り、最初にお教えいたしますのは『VTポーション』です。昼間の探索中にお嬢様やトモカ様がお世話になった、『始まり』シリーズのポーションのワンランク上にあたるものですね」
「おぉ……早速、プレイヤーたちの需要が高そうなポーションのレシピが来た」
「まぁ、異邦人の方が急に多数現れたことで、市場が混乱し始めていますからね。お嬢様のポーションも市場に流せば、混乱を納める手助けにはなるかもしれませんが」
「ま、そのあたりは頑張り過ぎない程度に、かな。私も冒険したいしね~」
「であればよいのですが」
話をしている間にも、ミリスさんの手は留まらない。
ミリスさんの目は今、真剣なまなざしで鍋の中の水を見つめている――いや、睨んでいる。
「『VTポーション』は、これらの選別した素材を加熱したお湯の中に投入し、魔力を注ぐことで完成します」
「魔力を注ぐ?」
「はい。このように手をかざせば、後は簡単に魔力を注ぐことができますよ。そうですね――完成間近になったら、実際にハンナ様にやってみてもらいましょうか」
「わかった」
どうやら、魔力の注入? については、実際にやらせてもらえるらしい。
ミリスさんは相も変わらず、水を注意深く観察している。
なにか決まりのようなモノでもあるのだろうか。と思っていたら、それはとても重要なことだったようで、チラリ、と横目で私の様子を確認してから、こう説明してくれた。
「料理でも同じですが、材料は何も沸騰させたお湯であれば何でもいいというわけではありません。場合によっては沸騰しない程度に熱いお湯がちょうどいい、ということもありますし、ぬるま湯に長時間着けて置くのが最適、ということもあります。今回の場合は、沸騰少し手前の状態を維持していきます」
なるほど……!
確かに、出汁を取る時とか、温度管理は重要だもんね。
料理に例えてもらえたから、すぐにわかったよ。
それからほどなくして、ちょうどいい温度に達したのか、ミリスさんは手早くマナランプの火力を落とすと、そのままオレンの実以外の素材をすべてお湯の中に放り込んだ。
そしてそのまま、棒でぐるぐるとかき回しながら入れた素材を茹でていった。
「…………ふむ。そろそろ頃合いですね。ハンナ様、お分かりになりますか?」
「え~っと……」
ミリスさんに聞かれて、私は鍋の中の液体をジーっと眺めてみる。
すると、【調合】スキルでも反応したのか、その液体がなんであるかの鑑定結果が目の前に表示された。
【未完成のVTポーション】×5
VPを微量回復、満腹度+3%、胃弱体時に腹痛付与
敵の攻撃や、毒などにより減少したVTを回復できるポーション。
類稀な職人の手により、素材自体の選別もさることながら、素材の下処理、調合ともにとても丁寧に行われたため、同じ効果を持つVTポーションの中でも非常に高い効能を誇る。が、魔力注入が行われておらず未完成なため、このままでは十全に効果を発揮できない。
品質指数:1280/500
おぉ……すごそうなのができちゃった……。
「このように、下処理を怠らず、手間暇かけて丁寧に加熱を行えば高品質のものが出来上がります。逆に下処理を怠ったり、いい加減な加熱処理だったりすると質の悪いポーションしかできません」
コツは、加熱するときに沸騰させないことだ、とミリスさんは力強くそう言って締めた。
「では、お嬢様。最後の仕上げをやってみましょうか。こちらのオレンの実を今から切りますので、お嬢様はそれを絞って果汁を鍋に入れてください」
「わかった。その後は?」
「その後は、鈴様にお願いいたしましょう。といっても、やることは簡単です。魔力を注ぐために、片手で構いませんので手をかざしてください。それで魔力は込められます」
「それだけ?」
「それだけで問題ありませんね。もっと上位の、それこそリカバーポーションやマキシマムポーションなどのランクになりますと、錬金術師が錬成するような、特別な加工を施した魔石を触媒として使うこともありますが。ハイポーションまでなら、MPさえ十分に足りていれば魔石は不要でしょう」
ふ~ん。意外とあっさりしてるね。
ちなみに、ハイポーションと今やってる普通のポーションの間には、ミドルポーションというランクが入るらしく、作れるようになるのはまだまだ先の話とのこと。
ハイポーションくらいになってくると、MP事情によっては魔石が必要になることもあるかもしれないが、冒険をするならまず必要になることはないだろうとミリスさんは太鼓判を押してくれた。
「私はこれでも温室育ちですので、ハイポーションでも友人の令嬢に送る際などは魔石が必須なんですよ。でも……今後は、お嬢様と冒険に出かけることも多くなりそうですから、そのうち必要なくなるかもしれませんがね」
などと冗談めかして微笑まれて、私は笑うしかなかった。
ミリスさんに先ほど言われたように、彼女が用意してくれたオレンの実を絞る。
全部絞ってしまって問題ないとのことだったので、四等分に切られたオレンの実を、四切れすべて絞ってしまう。
そして、視線で鈴に合図を送ると――鈴が、手をかざして魔力を注入する。
おぉ、鍋の中身のポーションが光り輝いた!
【VTポーション】×5
VPを少量回復、MPを微量回復、満腹度+3%、お腹に響く副作用、酸味のある甘さ
敵の攻撃や、毒などにより減少したVTを回復できるポーション。
類稀な職人の手により、素材自体の品質もさることながら、素材の下処理、調合ともにとても丁寧に行われたが、最後の仕上げが素人作業だったため大きく品質が下がってしまった。
街中で広く普及している一般的な品質のものの中では高品質で、効果が高い。
品質指数:200/500
生産者:ミリス・モルガン(NPC)、Mtn.ハンナ・ヴェグガナルデ、山田鈴
備考:最低限必要な材料を伝授されました:【水】、【治療薬素材】
「できた……」
「完成しましたね」
「回復量的には、どれくらいなんだろう」
「今のお二人の実力であれば、このポーションのランクと品質ならば、瀕死でもない限りは十分かと思います。もう少し成長されると、瀕死でなくても二本以上要するかと」
なるほど、よくわからん指標だ。
いずれにせよ、よりよく効くポーションを作りたいのなら、品質を高める努力をすることだ、とミリスさんは語る。
まぁ確かに、この手のゲームだとアイテムの品質とか、結構効果に影響及ぼすもんね。
早く高い品質のものを作れるようにならないと。
――ただ、レシピを確認してみたら、なんかランクごとに品質指数の最大値が違うみたい?
始まりのポーションは、初期状態でレシピ自体は発見済みとなっているのだが、品質最大値がVTもMPもそれぞれ最大値が250になっていた。
今教えてもらった、無印のポーションは500が最大だったのに。
おそらく、ランクによってこの最大値も上昇していくのだろう。
ミリスさんは、出来上がったポーションを薬瓶に移し替えてから、『それでは次はお嬢様が』といいつつ、再びどこからともなく今使ったのとまったく同じ材料を差し出してきた。
私は、それらを受け取ると、まずはマナランプに火を灯して十分温まるまで待った。
「水の温度を確かめるなら、【調合】スキルや【料理】スキルを育て上げることで習得できる『温度管理』のアビリティがあれば便利です。いいポーションを作りたいなら、まずはそのアビリティを習得するところから始めてください」
「はい」
それから、私達はじっと鍋の様子を眺めつづけた。
やがて、鍋の底に小さな泡ができ始めたところで一旦マナランプを離し、若干時間をおいてから火力をおさえた状態で再びセットする。
そうして、しばらく時間をおいていると、やがて水の色が先ほどミリスさんが見せてくれた時と同じような色合いに染まってきた。
このタイミングで、私はいつの間にか用意されていたオレンの実(カット済み)を絞って鍋の中に垂らし込み、そして鍋の上に手をかざして魔力を注いだ。
結果は上々で、ミリスさんのものよりも効果は劣るものの、無事に『VTポーション(品質300強)』を作り上げることができた。
【VTポーション】×5
VPを少量回復、MPを微量回復、満腹度+3%、お腹に響く副作用、酸味のある甘み
敵の攻撃や、毒などにより減少したVTを回復できるポーション。
素人作業だが知識と同伴者の持ち込み材料に助けられた一品。
職人が作ったVTポーションの中ではよく見かける品質。
品質指数:414/500
生産者:Mtn.ハンナ・ヴェグガナルデ
ただ――私が作ったポーションのテキスト見てみたら、ミリスさんが用意した材料に救われた感が大きかったけどね……。
ちなみにこの後、MPポーションの作り方も教えてもらったんだけど、作り方はほとんど一緒だった。
しいて言えば、【治療薬素材】が【魔力の源泉】に変わったことくらいかな。
その後は、【調合】スキルを上げるために、私と鈴の二人でただひたすらポーションを作り続けた。
――なんだけど。
なぜか、私が作ったポーションと鈴が作ったポーションとでは、(ゲーム開始直後にしても)品質に妙に大きな差が生じてしまう。
……まぁ、理由は大体察しがつくんだけどね。
「ハンナ、品質良すぎない? それに、品質が200どころか倍の400超えって、どうやったの?」
「ん~、品質の高さについては、多分公爵令嬢のレベルアップ時のDEX成長値が高いからじゃないかな。品質100超えについては【博識】っていうスキルの効果だね」
レベルが1回上昇した時の成長値と、PPtを1ポイント割り振った時の上昇値は常に一緒。
そして私の場合、DEXにPPtを割り振ると、1ポイントに付き5上昇する。
つまり、そういうことなのである。
「ずるい……」
鈴の口を尖らせた表情が、なんともほっこりできる可愛さだった。
こうして、ゲーム初日の夜は、双子で調合三昧の一時を過ごして終わるのであった。