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アラサーとビールはお似合いです

作者: とんととん
掲載日:2023/09/01


ある日、私は空を眺めていた。


ーこんなに空をゆっくり眺めるのは

  どのくらい振りだろうかー


入社してから忙しなく生き続けていた。

会社に認められて、大きな企画にも挑戦した。

選ばれし者しか出来ないことだ。

なのに、私はその重圧に勝てない。


ー逃げたいー


今、空を眺めながら思う。


そういえば、前に母親になった幼馴染みに幸せとは何か聞いたことがあった。幼馴染は柔らかい笑顔で言った。

ーパパと娘と一緒にいることかな!ー


私にはその幸せはわからなかった。

今もわからないまま30歳になった自分が冷たくなったと感じた。その場では頷きながら笑ったのを覚えてる。


ボーっとしながら帰り道を歩いた。

家のドアを開けた瞬間に全てが崩れた。


ただいまの後に聞こえないお帰り。


ー世界でひとりぼっちだー


私はその場に倒れた。


目が覚めると日にちが変わってい。

私は丸1日気を失っていた。


頭を打った記憶はない。

身体にも特に異常はない。


なんだか死に損ないみたいに感じてフッと

笑ってしまった。


後で面倒になるのは嫌だから病院へ行こう。

検査には異常なかった。安心したのか何なのかわからないがケーキが食べたくなった。

帰り道にコンビニへ寄ると娘を抱いた幼馴染みと会った。


ーどうしたの?もしかして…?ー

変な期待を持たれているのにすぐ気付いた。

ー違う違う!ちょっと倒れちゃって念のためにね。ー

焦るわたしに幼馴染みは笑った。

ーちょっと話さない?旦那、今日遅いの。ー

早く帰りたかったけど断れなかった。


お店に着くと幼馴染みは慣れた手付きで娘を座らせた。


ー何歳になったの?ー

興味があるのかないのかありきたりな事を聞いた。

ー1歳半だよ。ー

もう1年半経つのか…。成長していない自分が惨めだった。


ーでも、かなえはすごいね。バリバリのキャリアウーマンで!私なんてただの主婦だよ。ー

笑いながら言う幼馴染みはどこか誇らしそうだった。


私は少し冷めたコーヒーをひと口飲んだ。


ーそんなことないよ〜!結婚して子どもがいて素敵な旦那さんまでいて羨ましいぞ〜。ー


精一杯の強がりだった。


ーそろそろ帰らないと!仕事が山積みなの。ー

ここから逃げたかった。

ーそうだよね!ありがとう!またね。ー


幼馴染みは娘を大事そうに抱いて帰って行った。


私は何のためにいるのか。

好きな人もいない、目標もない。


とりあえず遠くへ行きたい。


電車に揺られながらここにたどり着いた。


青さが私を追いつめる。


涙が自然と流れる。

一粒ではない溢れてくる。

手で拭いても流れた。


私は大きな声で泣いた。

頭が痛くなるまで泣いた。


青い空だけが包んで泣き止む私を待っていた。


落ち着いた私は電車に揺られながら現実へ戻る。

電車の窓に映る私の目は赤く腫れている。

鼻も少し赤い。

恥ずかしくてどうしようもなかった。

昼間に被っていた帽子を被った。

ホッとした。


少し涼しくなった帰り道。

月は満月になっていた。


また明日からバリバリのキャリアウーマンに戻る。


泣いて笑って、笑って泣いて。


色々あるけど進むしかない。


ーアラサー女舐めんなよ〜。ー


ビールを買って帰ろう。











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