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いよいよ最終話ですが、これだけでは消化不良かもしれません・・・・・・。




「やっぱり、バレちゃうものね」

 拍子抜けするほど、あっさりと認めたアマンダに、オスカーは思わず脱力する。

 令嬢の顔の傷など、とんでもなくデリケートな問題だと思って、いろいろ気を揉んだ自分が馬鹿らしくなってくる。

「不自然なことが多すぎる」

「他にも気づいた人がいるかしら」

 まるで、内緒話がバレたら困るわ、と言わんばかりに気軽な口調。

「安心しろ。自分自身を切り刻むような変態がいるとは、誰も思わん」

「随分な言われようねえ」

 何がおかしいのか、くすくすと笑いだす。得体のしれない女だ。

「何を考えてアンタに執着したのか、俺には全く理解できない」

 思わず本音が漏れた。すうっと、アマンダの笑いが消える。


「そうよね、愛してもいないくせに」


 ぞっとするほど冷淡な言い様に、オスカーは、思わずまじまじと見返した。

 これまでどれほど愛している、と言っても、どこか空虚に感じた言葉が、ずしり、と重みをもったように感じられた。



「だけど、この傷があったから、婚約解消ができたのよ。ロンサール様が私との婚約にこだわる以上、スキャンダルだけじゃもみ消されるのはわかっていたから」

 そして、また微笑みながら続ける。


「酷い姉、酷い婚約者よね」

「そうなのか?」

「酷いわよ」

「・・・・・・・・・」

「発作で苦しむ妹を、見捨てられないのが気に入らないからって、婚約解消を企む姉よ。相談どころか言い訳すら許さず、結果だけを突き付けるなんて、どれだけ我儘で傲慢なのかしらね」

 そういう女だって、言ったでしょう?

 問いかけるようにこちらを見るが、オスカーは、答えることができなかった。


 それに構わず、アマンダは、言葉を続ける。

 でも、そうね。ずっと考えていたことがあるの。


 私が、ロンサール様を愛していなかったら、

 侯爵夫人の地位に魅力を感じていたら、

 それとも、病気なのが私だったら、

 ロンサール様が、あの子を愛していなかったら、

 あの子がロンサール様を愛していなかったら・・・。


 どれか一つでも当て嵌まっていたら、こんなことにはならなかった。


 でも侯爵夫人の地位は、私にとっては、ただのおまけみたいなもの、というか、ついてくるから仕方がない、そんなくらいにしか思えなかった。他は、どうにかできることでもないし。


 愛しているから、必死だった。だけど、今は・・・。



  ――――――愛しているから、離れたいの――――――




主題としては、これで終わりですが、この後エピローグとして、二人の会話を盗み聞きしてしまった、元婚約者との会話、彼視点の話、アマンダ父の話、があります。

エピローグは、投稿する予定ですが、あとの二話は、まだ固まっていないので、時間がかかるかもしれません。

お付き合いいただいている方、すみませんが、よろしくお願いします。

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