後日談 あなたと合理的なロマンスを プロローグ
長い間、更新が止まってしまい、申し訳ありませんでした。
アマンダのロマンス、書き出しのシーンに迷ってしまい、何とか決まったので投稿しました。
以前ほどサクサクとはいかないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
「わたくしたち、仲が良かったでしょう。貴方は、いつもわたくしを大切にしてくれたわ」
さり気なさを装いながらも、緊張をはらんだ雰囲気で訪問され、何か仕事上で問題があったかと思って応接室で対応した判断を、彼は早くも後悔していた。
マズい。こんなところで、昔の話を蒸し返されるとは。おまけに、言い回しが微妙に誤解を招く仕様となっている。わざとなのか。
「まあ、前の話ではあるけれど、間違ってはいないね」
結構な経験を経てきて彼は、恋愛の機微を学んでいる。ここで曖昧な態度をとると後々面倒なことになると熟知しているから、やんわりと既に過去のことだと告げた。
「だけど、この話、貴方にも利はあるはずよ」
「わたくしは跡取りとなったし、貴方の家とはお互いに利害関係が一致しているわ」
「だからって、何でここでそんな話が出る?それは家同士の話だろう」
「正式に打診したら、貴方は断るでしょう!わたくしは、貴方にわたくしの気持ちを知ってほしくて――――」
女性が些か感情的になってきたところで、大きな衝立から、こっそりと隣室に移動する人影があった。
「結婚――――跡取り」
応接室から自室の大きなソファに納まり、合点したように呟く。
「そうね――――私にも、切実な問題ね」
時間が前に進む以上、いつかは向き合わなくてはならないことだと、漠然と思ってはいた。それが、まさかこんな形で突き付けられるとは。
結婚して家督を継いだら、次は次期当主即ち子ども。人生五十年が普通の昨今、自分と両親の年齢を考えると、いつまでものんびりと構えてはいられない。さっきの話に、結構な衝撃を受けたことを自覚して、己の身勝手さに暫し自己嫌悪に陥った。
いずれにしろ、そう遠くない未来に訪れるであろう事態を予想して、備えなければならない。
その話が出た時に完璧に対処し、できることなら、一矢報いることができたなら。
少しはこの、長年の靄が晴れるかもしれない――――。
ご感想いただき、ありがとうございます!
伯爵とセルマンについて(特に伯爵)スパダリかと思ったら、結構ヘタレだったというのがあって、つい笑ってしまいました。
事業に関しては結構なやり手なんですが、なんというか、女心の機微が理解できていない、その割に気遣いはそれなりにできるから、なかなかわからないという隠れヘタレ設定なのです。
ヤキモキさせられる男どもではありますが、そのおかげで、女性陣の卓袱台返しが鮮やかになるという利点がありますね(笑)




