シュタイナー伯爵 幕引きの後に残るもの 14
長々と書いてきましたが、シュタイナー伯爵編終了です。
今回は短めな上、若干尻切れトンボ感が・・・。
❝誰もが納得する結果❞と❝家族円満❞に向けて、奮闘中ですが、結果や如何に?
はっきりするのは、最後の後日談になる予定です。
「いや。西棟ではなく。ヴィアンカの体調も整ってきたから主棟に移して、君の部屋を東棟に整えようと思っている」
「ヴィアンカの部屋――――わかりました」
客間の方が、今の立場を明確にするためにもいいと思ったが、ヴィアンカの部屋は、遠方の親族が滞在するための、東棟の端。今まで使っていた部屋だから、使用人たちも混乱なく対応できるため、それはそれで適当と言える。
それでも。やはり、明確にしておきたいことはあるものなのだ。
シアーシャは、すう、と息を吸い込むと、しっかりと夫を見据え、一息に言った。
「だけど、アーネスト。私はもう、貴方をノアル、と呼ぶことはできないわ」
ノアル。それは、シアーシャだけが呼ぶことのできる、シュタイナー伯爵のミドルネームだ。ごく親しい者同士で呼び合う、所謂愛称のようなもの。
アマンダの行動が、彼女自身を第一に考えての末であっても、あの日が最後の一押しだったことは間違いない。なのに元凶である自分が、のうのうと元に納まるなど、金輪際あり得ない。
だが、親愛の情を表すことはできない、と告げられた相手は思いのほか冷静だった。顔色一つ変えずに、答える。
「ああ、構わない。だが、僕は変えるつもりはないから、そのつもりで」
既に幕引きは終わった。長年の隠し事が顕わになり、崩壊した後は、脆弱な土台だけが残った。だが、それが何だというのか。
残ったものが脆弱ならば、補強すればよいだけだ。上に何も残らなかった分だけ、楽になるだろう。それに、補強するには格好の材料が、既に用意されている。
「アマンダは、❝家族円満が理想❞だそうだ」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
家族円満――――既に崩れ去って、もう二度と叶わないと思っていたのに、アマンダが、それを願っている―――――?
「・・・・・・貴方は、それが、可能だと思っているの」
冷静に問いかけようとしたが、声がかすれ、涙が出そうになる。
自嘲するかのように、引き攣った顔に、なけなしの笑顔で問いかける妻を見ながら、アーネストは宥めるかのように、答えた。
「元通りとはいかないだろうし、もちろん、僕一人では無理だが」
そこで言葉を切ると、だけど、と自分にも言い聞かせるかのようにその先を続ける。
「時間をかければ、新しく築けるものがある。そうは思わないか?」
シアーシャは、暫く無言で夫を見つめる。こんな時、決して急かしたりしない夫は、
「返事はいらない。ゆっくり考えてくれ」
そう言うと、すっかり陽が落ちた部屋を出て行った。
この後、エピローグとして、ヴィアンカの結婚式、披露宴のシーンがあります。
此方は、アマンダ登場! クセモノぶりが顕著になります。
作者にとっては、このお話は全てに於いてアマンダがヒロイン!なのです。
何と言っても、彼女の存在と行動が過去の因縁さえ暴き立てるのですから、本人登場しなくても、十分にヒロインの資格あり、と考えている次第です。←独断と偏見です。(;^_^A




