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シュタイナー伯爵 ロンサール侯爵夫人 8

侯爵夫人の話、最終話です。

あまり関係はないのですが、裏事情があるんだ~、くらいで呼んでいただければと思い、投稿しましたが、

長くなってしまい、大変失礼しました。<m(__)m>




 やはり、その話か――――侯爵夫人は、覚悟を決めて、振り返る。こうなった以上、いずれその話が出てくるだろうと思ってはいたが、それでも。

「それは、貴方に関係ないでしょう」

「そうですか?結構重要だと思いますけどね。例えば、弟たちの今後とか。勝手に決めていいんですか?」

「侯爵様とお決めなさい」

「その結果、母上が出奔では困ります。どこまでが許容範囲かくらい、教えてもらえませんか」

「そうねえ・・・。なら、セルマン、わたくしの質問に答えてもらえて?」

「・・・・?私に答えられることなら」

 セルマンが訝し気に聞き返し、侯爵夫人は、答えられるものなら、ね、と内心呟きながら、口に出してはこう言った。


「貴方は、()()()()()()()()()()()のかしら」


 陽が翳りはじめた部屋に、沈黙が落ちる。黙り込んでしまった息子に、侯爵夫人は、冷淡に告げた。

「以前、わたくしは貴方に言ったはず。愛とは、いつまでも変わらないものではないし、ある日いきなり失くなってしまうこともある、と。だけど逆の場合もある」

「アマンダ嬢の才覚があれば、侯爵家の将来は栄光に包まれたでしょう。でも、それは不必要なものとなり、貴方は愛する娘(ヴィアンカ嬢)と婚約した。今でも、初めと同じ愛情を感じているなら、アマンダ嬢への感情は無くなってしまった?あれほど婚約解消に抵抗したのに?もし、まだ彼女への気持ちがあるなら、それは、ロマンスと呼べるもの?貴方は、わたくしの質問に納得のいく答えが出せて?」

「・・・・・・」

「人の感情とは、それほど割り切れるものではないでしょう。それなら、感情を抜きに考えてみれば、答えは簡単に出るはず」

「感情を抜きに?」

「そう。自分の感情も、相手の感情も考えずに、ただ事実のみを考慮する」

「・・・・・・乱暴ですね」

 侯爵夫人は、息子の答えを聞くとひと際低い声で、囁くように告げた。

「それが、相反する感情を持つ両者が納得できる、ただひとつの方法。少なくとも、自分で采配する能力のない者に、力量以上のモノを与えて一生支援するなどありえない」

「貴方は、身内に甘すぎる。()()()()()()()()()()()()()


 自室へ戻ったセルマンは、母との会話を反芻する。

 母は、異腹の息子たちを嫡出子として受け入れ、誰もが疑わないほどに分け隔てなく接した。少なくとも、兄弟のうち誰一人、母が違うなど考えたこともないくらい、幼い頃の弟達は母に懐き、成長した今となっては誰よりも敬愛している。

 赦せなかったのは、父が約束を守らなかったことか、母の労力を顧みなかったことなのか。若しくは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。おそらく、その全てなのだろう。

 ❝ただ事実のみを考慮して、答えを導き出す❞

 なるほど、自分は甘いと言われるわけだ。その視点で身内を見ることが出来なかったから、掴めるはずだった未来は、この手をすり抜けていった。

 それでも、既に事は決したのだ。これ以上失うことの無いように進むしかない。そうすれば、いつか、この喪失感が満たされる時が来るだろうか――――。


 ❝カビの生えたロマンス❞母はそう評した。それは、文字通り古臭い終わった話なのか、カビが生えて変質したという意味なのか。もし後者ならば、それが風化した時何が残るのか。

 愛しているから、離れたい。アマンダはそう言った。母は、何と言い、父はそれを受け入れるのか。

 

 セルマンは、知らず知らずに拳を握る。もう、二度と同じ過ちは繰り返さない。残ったものだけでも守り通して見せる――――そう強く決心した。



 




侯爵夫妻にもいろいろと事情があるのですが、全く関係ないので、仄めかすだけで終了となってしまいました。

そのうち、独立したお話で書いてみたいな~とは思っているのですが、やっぱりちょっとしたざまあ、となりそうなので、考え中です。似たような話になってしまいそうで・・・(;^_^A

次からは、シュタイナー伯爵夫妻のお話です。

伯爵は、どれだけのことを知っていて、どんな結論を出すのか、ちょっと気になります。

何しろ、❝納得できるように❞と宿題を出されているので( ^ω^)・・・



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