表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/94

シュタイナー伯爵 ロンサール侯爵夫人 2

強者、ロンサール侯爵夫人との対決です。

身内には何かと甘いセルマン、頑張っています!

たまにはヘタレでない姿を見せて、優秀なことを証明してほしい!←作者の願望です。


「突然何を言い出すのかと思ったら・・・なぜそんなことを?」

 母は、社交界の女王に相応しく、鷹揚に問いかける。その態度は、後ろ暗いことなど何一つないとでも言いたげに、むしろ、おかしなことを言うなと無言の圧を感じるほどだ。

 だけど、セルマンは、こういう態度をとる人種の扱いに長けていた。

「質問に質問で答えるのは、疚しい事情を隠す場合と相場が決まっていますよ」

「それは邪推というモノね」

「それはともかく、質問に答えてください」

「わたくしは、彼女(アマンダ)を気に入っていたわ。貴方も知っているでしょう?」

「また質問ですか。それほど答えたくない、と」

 母と息子は、どちらからともなくお互いにっこりと、麗しく微笑みあった。

 しばしの沈黙の後、先攻を切ったのは侯爵夫人。


「あらまあ、つまり、貴方はこう思っているのね?あなたが振られたのはわたくしのせい、と」

 夫人はおっとりと優雅な口調で、しかし、どこか愉し気に、なんて不甲斐ない息子なのかしら、と容赦なく辛辣な言葉を投げつける。

 しかし、このくらいは予想済みだ。

「まさか。自分の失敗を母上のせいになどしませんよ」

 セルマンは、負けずに、余裕たっぷりに言い返す。どれほど嫌味を言われようが、今、この時を逃したら真相は闇の中。息子の人生、ひいては侯爵家の未来を覆すほどの理由だ。ここで聞いておかねば、安心できないではないか。

「父上が私を責めた時、母上はこう言いました。❝元々の約束は守られるのですから、別に構わないではありませんか❞」

 ぴくり、と美しく彩られた侯爵夫人の指先が震えたのを確かめて、更に言葉を続ける。

「元々の約束。シュタイナー伯爵家との婚約は守られるという意味かと思っていましたが、そうじゃない。あれは、母上と父上お二人の間で交わされた約束、ですね」

「・・・・・・黙り、ですか?別に構いませんよ。ここから先は、私の想像ですから、そのまま黙って聞いてください」

 そして、セルマンは、自分の仮説を語りだす。


「以前、私が母上に不満はないのかと訊いた時。望むものが与えられていれば構わないと、愛情が自分だけにあることが条件だ、と貴女は答えました。私は、それを言葉通り解釈したけれど、実際は違っていた」

 ここでセルマンは、母の反応を窺う。意図的に呼び方を母上、から貴女に変えてみたが、特に変化はない。母の完璧な鎧には、この程度ではかすり傷ひとつつけられないらしい。

「貴女の言う愛情とは事業がらみのことで、それは、貴女がすべて把握できる規模、つまり貴女が全権を握るという意味だった―――――違いますか?」

「それでは、まるでわたくしが、利益にしか興味がないような言い方ね」

「そうですね。もともと、父上は、カーライル家の薬業利益と、貴女の事業手腕をシュタイナー伯爵と結びつけ、侯爵家との婚約での更なる発展が目的。貴女は、どちらかと言えば弱小の伯爵家の一人娘。やっと軌道に乗せた家業を抱えて、既に年齢的にも好条件のお相手を見つけるのは難しい。そこへ降ってわいた、宰相でもある若き侯爵―――つまり、父上からの申し込み」

「貴女は、ちょうどいい、と思ったはずだ。だけど、政略結婚が当たり前の貴族社会と言えど、仮にもロンサール侯爵夫人が、箸にも棒にも引っかからない伯爵家の出身で、野心満々の事業家となったら、流石に社交界のご婦人方の反発は必至。事業を展開するにも、外聞が悪ければ支障をきたす。だから、貴女は考えた。求婚を受けた、ちょっと頭がいいだけの田舎令嬢は、一方的に侯爵に熱を上げ、何もかもを差し出したことにすれば、彼らの留飲も下がり、積極的に邪魔されることもないだろう」


 母は、相変わらず表情一つ変えず、ゆったりと扇をとると、宣った。

「カビの生えたロマンスね。面白いわ」

 


セルマン、攻勢頑張りました。

次は、侯爵夫人の防御です。攻撃するのか、専守に走るのか?

イメージ的には、侯爵夫人とアマンダは攻撃派、セルマンは攻守両方、伯爵は両方だけど若干攻撃派、オスカーは攻撃もできるけど、基本防御派。

ヴィアンカと伯爵夫人は専守派でしょうかね。少なくとも、攻撃は下手そうです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ