シュタイナー伯爵 オスカー 7
今回、オスカーの過去が少し披露されます。
年齢の割に、人を食った態度と、熟れた思考回路、人間観察が得意な彼の、意外な(?)一面が出てきます。
繊細な少年は拗らせると、チャラ男になる可能性が高いかも。 ← 偏見です。すみません (;^_^A
オスカーは、裕福だが、歴史の浅い子爵家の次男として生まれた。
ラドクリフ家は、もともと裕福な商家で、数代前に男爵位を授かった新興貴族であり、その三男が騎士としての功績をあげ、自身の叙爵より実家の陞爵を願ったため、子爵となったに過ぎない、いわば成り上がりの家系だ。
金だけはある、歴史の浅い下位貴族の次男という立場は、貴族社会の理不尽さを、嫌というほどオスカーに叩きつけた。
少年の頃は、裕福な子爵家の令息で、そこそこの容姿に親しみやすい性格のオスカーは、下位貴族のみならず、伯爵家の二女三女という令嬢たちにも、結構な人気があった。そのまま天狗になれればまた違ったのだろうが、感情に敏感なオスカーは思春期を迎える頃には、既に悟っていた。自分に言い寄る令嬢たちのほとんどは、嫡男である兄が目当てである、ということを。
それは、本気で好きになりかけた相手が、兄に言い寄ったことで決定的になる。彼女は、容姿や性格はオスカーの方が好みだと言いながら❝平民になりたくない❞から、❝物足りないけど❞兄で我慢する、と。オスカーと親しくするのは、兄に近づくのが目的だ、と友人たちに話していたのだ。
幸い兄は、弟と親しくしていた令嬢と、積極的に関わるタイプではなかったため、オスカーの傷はそれ以上広がらなかったが、この出来事は、その後の異性関係に大きく影響した。
学生時代から現在に至るまで、オスカーの意識に、婚約や婚姻という単語は存在しない。真面目だが、少々融通の利かない堅い兄を、生涯に渡って補佐するのが自分の役目、と決めていて、家族もそれで構わないと言っているからだ。
そのため、来るもの拒まず去る者追わずが基本であり、関わるのは後腐れがないタイプ。同時進行こそしないものの、成人した今では、相手が積極的なら深い関係も珍しくないと、華々しく、かつチャラいとも言われる恋愛遍歴を繰り返してきた。
よって、お世辞にも品行方正とは言えない自覚があるオスカーにとって、シュタイナー伯爵の提案はまさに青天の霹靂。情報通のはずなのに、実は俗な噂には疎いのか、長女を人身御供にするほどの価値が自分にあるのかと、アマンダ自身を知らなければ、ろくでもない妄想をするところだ。
実のところ、若干女性不信気味のオスカーにとって、アマンダは、全く新しい女性像だった。多感な思春期の体験は強烈で、そんな女性ばかりではないと頭では理解できても、深層心理に刻まれた印象は、なかなか拭い去れない。アマンダは、その無意識の思い込みを完全に払拭した。オスカーは意識していなかったが、アマンダが強烈な行動を見せつけたおかげで、彼のそれまでの女性観は、見事に吹き飛んだのだ。
シュタイナー伯爵は、世の父親の常として、娘には一般的な女性の幸福を得てほしい、と考えてはいたが、何しろ自分さえ出し抜こうなどと考える、とんでもない娘だ。❝完璧な令嬢❞などという仮面に騙されている男では、翻弄されて終わるのが目に見えている。セルマンは、様々な意味で規格外だったのだ。
その、規格外な元婚約者の代わりに目をつけた候補者は、今、目の前でそれとわかるほど思い悩んでいる。これは、少しばかり予想外だった。
オスカー、実は、チャラ男でした。
学院の頃から軽い恋人関係を繰り広げてきましたが、不思議と揉めたことはありません。
家格が低め・窮乏気味の侯爵家や伯爵家の跡取り娘からもアプローチされていますが、キレイに付き合って、キレイに別れています。
最後は、恋愛相談などにも乗ってやったり、そこそこ有望な次、三男を紹介したりして、なかなかマメだったりするのが原因かも。
アフターケアまで万全に、がトラブル防止、と商人魂が染みついていて、そこを伯爵やアマンダは嗅ぎ取っているのかもしれません。
優秀なうえに、カンも良ければ無敵ですね!
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また、誤字・脱字報告ありがとうございます。
何だか、なかなか中庭に出られなくて、作者自身ちょっとストレスです。すみません。
最後までお付き合いいただけると、大変嬉しいです。
よろしくお願いいたします <m(__)m>




