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シュタイナー伯爵 セルマンとアマンダ 7

セルマンとアマンダ、打算と妥協と未来志向で結ばれた婚約関係のお話です。

セルマンが地味なせいか、地味目な話が続きます。

一応、社交界では超人気な貴公子、の設定なんですけどねぇ・・・。

作者の書く優等生って、力不足なのか、優等生に対する認識不足なのか、どうしても地味目になりがちです。








「この石がいいわ」

 アマンダの選択に、店主は、困惑した顔をセルマンに向ける。言いたいことはわかる。二人は、王都でそこそこ高級な店が連なる一画の、そこそこ高級な宝飾店に来ていた。

 正式な婚約は、アマンダが15才になってからだが、社交界では、ロンサール家とシュタイナー家が、長男長女を婚約させることは、既定路線と認知されている。今日は、セルマンが、婚約内定の記念に贈り物したいと言うので、選びに来ているのだ。それなのに、何故かアマンダは、くすんだ緑色の大きな原石を選んだ。原石といはいえ研磨済みなので、透明感があり、このレベルの店で出すには、まあ合格と言ったところだ。

「お嬢さま。これは、正式な場で、着けられるような品物ではございません。珍しい色で大きさもある原石なので展示してありますが、貴石、というにも怪しいくらいですが」

「いいのよ。セルマンの個人的な贈り物だから、そんなに立派である必要はないわ。そうでしょう?」

 こちらを向いて、悪戯気味に問いかけられて、ああ、そうか、と合点がいく。こういう場合のアマンダは、セルマンを試しているのだ。


 ほんの子供の頃から交際を始め、アマンダは、2年前に念願の(ヴィアンカ)との再会を果たした。今の彼女は、家庭での教育はもちろん、セルマンの助言も受け入れた結果、以前とは見違えるほど令嬢然としている。

 アマンダはセルマンとの婚約を受け入れているが、それは、どちらかと言えば、謝礼の意味合いが強かった。一方、セルマンとしては、できれば彼女とは、恋愛は難しいかもしれないが、愛情による信頼関係を築いていきたい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 アマンダは、他の令嬢たちとは全く違う、独自の視点と発想を持っていた。彼女となら、()()()()()()()()、未来を思い描くことができる。だから、セルマンは、いつでもアマンダの問いかけには、真摯に応えることにしていた。自分の価値を、彼女に認識してもらうために。


 普通なら、選ばないような、価値のない品物。だけど、彼女に()()は、価値がある。これを、何に使うつもりなのだろう――――想像するだけでも面白い。こんな感情を持たせてくれるのも、彼女だけだ。

「君の瞳の色だね。それなら、僕の色も一緒にどう?」

「――――だったら、黒水晶がいいかしら」

「どのように加工いたしますか?」

「黒水晶を親骨にして、扇を作って、これを嵌めたいの。オーバルか、ティアドロップがいいわ」

「黒の扇?」

「親骨だけね。他は象牙に白地のふつうの扇よ。お茶会用に」 

 アマンダが考えた親骨だけ色の違う扇は、お互いの色を取り入れたため、婚約の贈り物としても爆発的な人気を博した。彼女のセンスは斬新だが、品を損なうことは無いので、その後も流行を作り出し、両家の事業は大いに潤った。

 二人の仲は、恋愛とはほど遠かったが、人生のパートナーとしては申し分なかったため、この上なく順調に育まれていった。本人たちはもちろん、周囲にも、このまま何事もなく婚姻を結び、更に、両家の絆は強くなる―――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()―――――そう考えられていた。


 それからさらに2年後、アマンダが、ヴィアンカを紹介するまでは――――――。





次話は、ロンサール侯爵家の内情です。

過去繋がりで、若干の問題を抱えています。

問題のない家庭は稀と思うので、(貴族ならなおさら)それほどではないのですが、このお話の裏設定くらいで考えてくださいませ。


モヤモヤする行動の裏には、こんな事情があったのか!くらいな感じです。

さらにモヤモヤするかもしれませんが・・・(;^_^A


ご感想いただけると、嬉しいです。よろしくお願いいたします。


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