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シュタイナー伯爵 セルマンとアマンダ 5

前話で色々と不備な点があり、書き直した結果、長くなってしまったので、2話に分けました。

よろしかったら、読み直してくださいませ。

あまり本筋に関係のない話なので、飛ばしてしまっても問題はないのですが、・・・。


 メリッサは、乳母として、また、当主の乳姉弟として、そんな不幸が伯爵家に降りかかるのを、見過ごすわけにはいかなかった。アマンダは、人の言うことを、ただ大人しく聞くような子供ではない。反抗的ではないが、()()()納得できないと、意識から抜け落ちてしまう、ある意味大変厄介なタイプなのだ。

 どうあっても、今、伯爵夫人に気付かれてはならない――――だから、心を鬼にして、5才の子供には、酷な言葉を言い聞かせる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「アマンダ様。ヴィアンカ様がよくなってほしいとお思いなら、奥様にご負担をかけるようなことは、しないでください」


 いつも優しい乳母の、厳しい言葉に、見開いたアマンダの目から、大粒の涙がこぼれる。それでも大声をあげて泣きわめいたり、乳母を責めたり、駆けだしたりはしない。アマンダは、小さいながらも、決して逃げたりはしない子供だった。

 メリッサは、大切なお嬢さまを抱き寄せると、優しい声で言い聞かせる。

「お嬢さま。ずっと会えないわけではありません。少しの間、ヴィアンカ様が良くなって、奥様のお気持ちが落ち着くまでのことです。それまでは、ずうっと私が、お側にいますから」

 しばらくしゃくりあげていたアマンダは、乳母の、いつもの優しい声に落ち着きを取り戻した。

「エレナも、ずっと一緒にいてくれる?ご飯や、湯あみの時も?寝る時も一緒?」

 本来、ただの乳姉妹であるエレナは、食事や入浴をお嬢さまと一緒にすることは無い。それでも、メリッサは頷いた。これは、緊急事態だ。それでアマンダが黙っていてくれるなら――――おそらく奥様は、しばらくアマンダ様に構う余裕はないはずだ。湯あみはともかく、食事を共にして眠るまでの間、一緒に過ごすことくらいは了承してもらえるはず。

 そして、後のことは、数日後にお帰りになるはずの、伯爵に決めてもらおう。そう決心した。

 いくら当主の乳姉弟で、お嬢さまの乳母という間柄でも、メリッサの立場は使用人だ。家族の問題に、これ以上踏み込むことはできなかった。


「もちろんです。だから、お嬢さまも、私がいいと言うまでは、奥様にもヴィアンカ様にも、()()()謝ったり、カーテシーのお話をしないと約束してくださいね」 

 ヴィアンカは、十日ほど高熱を出した後回復し、メリッサの危惧は杞憂に終わった。

 アマンダは、両親からヴィアンカの病気についての詳細を知らされ、衝撃を受けたが、誤魔化したりはせずに、正直に話して謝った。この時、父にこんこんとお説教され、❝理由がわからなくても、従う必要がある❞❝知らなかったでは済まないことがある❞ということを、散々言い聞かされた。


 その後、母や家庭教師の言葉に耳を傾け、考えた結果、きちんと及第点をもらえるまで、ヴィアンカには会わない、と自分なりの結論を出したのだった。


 それから約2年。注意されることは減ったが、それでも及第点にはまだまだ、という状況の時に、ロンサール侯爵家のガーデンパーティで、アマンダは、セルマンと出会った。




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