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この先は、モノローグ形式が続きます。

苦手な方は、ご注意ください。


 よく妹と三人でお茶会をしたわ。あの子は発作のこともあって、学園にも行けなかったから、男性との交流もあんまりなかったし、いい機会だと思って。もともと可愛い子だけど、嬉しそうな笑顔があんまりきれいで、私も思わず見惚れちゃったくらい。

 だけど、私と二人きりだと、使用人が呼びに来るのよ。お父様がロンサール様にご用だって。あんまりしょっちゅうだったし、三人でいるとそんなことないのに。

 

 ね、おかしいでしょう?そう問うかのように、彼女は首を傾げたが、俺はなんとも答えようがなくて――――。



 だから、ある時、こっそり後をつけたの。そしたら―――――――。


 妹の寝室に近づいたら大騒ぎになっていて、開いたドアから覗いたら、ロンサール様が、発作を起こして彼の名を呼ぶあの子の手を握って、必死に名を呼んでいた。ヴィアンカって、()()()()()()()――――――。

 寝台の周りには、両親と私の婚約者、ドクター。みんな、侍女までがあの子を心配して、必死になっているのに、姉である私は、他のことに頭がいっぱいで、妹の容態なんかどうでもよかった。あんなに苦しんでいたのに――――――、かわいそうとも思わなかったのよ。本当にひどい姉よね。


 だから、罰が当たったの。

 寝台を見ていたら―――妹じゃないわ、寝台よ。あの子のことは、なんというか、――――――認識していなかった―――――?いいえ、見えているのに見えない、そんな感じかしら。

 とにかく、あの子はわたしを見たのよ。はっきりと、視線が合ったのがわかったわ。そうしたら、あの子、錯乱して悲鳴を上げたのよ。まるで、化け物でも見たようなありさまで、いきなり叫んだわ。


 ❝お姉さま、ごめんなさい❞


 そのあと?さあ?すぐに走って逃げたから、知らないわ。だって、見つかったら、発作で苦しむ妹を怯えさせたひどい姉、と言われるのは確定でしょう?

 だけど、なんとなく釈然としなくって。思えばこの時から何となく、どうして?って思うことが多くなったわ。だから、あの子にいろいろ教え込んだのよ。

 だって私は、ロンサール様の婚約者に相応しくあるように、ずっと努力してきたのよ。学業、教養、マナー、容姿―――は、平凡だから、まあ。地味だし、どうしようもないけど、その分、落ち着いた優雅さを追求したわ。優しくて人望のある、優秀な侯爵夫人目指して頑張ったのよ。 

 なのに病弱だからって、何もしないあの子が私より優先されるなんて、悔しくて、だったら、少しは努力して、私より優秀なところくらい見せてほしいと思ったのよ。


 そしたら、あの子、とても優秀なのよ。もちろん、家庭教師はついていたけど、そういう問題じゃないわ。私が三回で理解するところ二回、いいえ、ひょっとすると一回で理解しちゃうのよ。

 語学、算術、地理。どんな事でも、水が滲みこむように理解していったわ。応用も利くし、何より、華やかな美人で、儚げで可愛らしくて、たいていの人は、あの子に夢中になるの。


 私より、よっぽど侯爵夫人に相応しい。そう思ったら、気が付いてしまった。



 あ、私が邪魔なんだって。


 


 




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