シュタイナー伯爵 侍女エレナ
アマンダの侍女、エレナです。
腹心の侍女は、主人が画策すると、色々巻き込まれて大変です。
それも、デキる故なんでしょうけれど、胃が悪くなりそうですね~
「忙しいところ、済まないねエレナ」
「とんでもないことでございます」
「大体の要件は、メアリから聞いていると思うが、アマンダ付きでもある君からも訊いておきたいのでね」
どうやらメアリに会うのは、予測済みだったらしい。アマンダが、キツネ親父と言うのが理解できた瞬間だ。
エレナの母は、アマンダの乳母だが、同時にシュタイナー伯爵の乳姉弟でもある。代々、と言うほどではないが、ここ三代続けて伯爵家の乳母を勤めている。実家は、由緒ある男爵家で、堅実な領地経営で評価され、それなりに裕福でもある。
アマンダと共に教育を受けたエレナは、望めば中位の伯爵家くらいなら、無理なく嫁げる程度の教養があるのだ。当然、伯爵家に対する忠誠はかなり高いが、それでも、ともに育ったお嬢様に対する思い入れは、それとはまた別だった。
「お嬢様から、知っていることはお答えするように、と言われております」
その大切な、アマンダお嬢様からの指示。何でも話していいから、疑問に感じたことは、それとなく聞いてくること。
疑問と言うより、常々憤りを感じていることが多々あるけれど、取り敢えず今は、引っ込めておく。お嬢様曰く、爪は、必要な時のみ、覗かせること。だけど・・・・。
「君は、カーライル卿が、ヴィアンカに思いを寄せていると思うかい?」
この質問は、なんなんだろう――――――?そんなの、この屋敷では公然の秘密、ってやつじゃないの?何をいまさら・・・だって、そのせいでアマンダ様がどれほど傷ついたか!思わず、目つきが悪くなるのを自覚した。
だけど、次の言葉を聞いたエレナは、一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
「メアリ―――さっきのヴィアンカの侍女は、ヴィアンカは、カーライル卿に片思いをして、いつも泣いていた、と言っている」
なんですってぇ――――⁉そんなバカな‼思わず、大声で叫び出しそうになるのを、辛うじて抑え込む。
婚約者の心変わり、というか、他の女への愛を嘆いていたのは、アマンダ様なのに。当の横恋慕女が、何をふざけたことを!いくらお嬢様と言えど、許せない――――――‼ 心の中で、ありとあらゆる悪口雑言罵詈雑言を喚き散らしながら、澄まし顔で次の言葉を待つ。
この辺りは、アマンダの薫陶のおかげだ。
不穏な空気を感じたのか、伯爵は無理に回答を求めなかったが、代わりに具体的な質問を投げかけてきた。
「アマンダは、二人は愛し合っていると断言したが、私は、今までその話を誰からも聞いていない。念のため、メアリに確認したが、答えはさっき言った通りだ」
伯爵は、そこで言葉を切ると、エレナを正面から見つめ、再度質問する。
「君から見たカーライル卿は、ヴィアンカを愛しているような素振りを、見せていたのか?」
―――――ヴィアンカ様を、愛しているような素振り――――――?
何話か書いたので、続けて投稿する予定です。
そのあとは、少し開いてしまうかも。年度末、年度初めは、バタバタしていて・・・。
気長にお待ちいただけると、嬉しいです。
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