20.
「あ、そういえば……、さっき食事に行く前に、窃盗事件の方のことで何か気になることがあると言っていませんでした?」
「ああ、そういえば、言いましたね。そもそも犯人は、何のためにあんな偽装をしたのか、気になったのです」
私はレナードさんの質問に答えた。
「何のために、ですか……」
「ええ、盗まれたものは、少しの小物だけです。これだけ盗んでも、何の得にもなりませんよね? これらを盗むことが目的だったとは思えません。ということは、盗みをしたのも、外部から侵入した窃盗犯の仕業に見せかける偽装の一環と考えられます。しかし、それではなぜ、犯人はそんなことをしたのでしょう? そもそもの目的が、わからないのです」
「なるほど。確かにそうですね。偽装をしたのはわかりましたが、そもそも何のために営業終了後の店に侵入したのか、それがわかりませんね……。おっと……」
レナードさんが、テーブルの上にあった資料を自分の方に引き寄せようとして、うっかり手前にある資料を床に落としてしまった。
私は、その光景をじっと見ていた。
「えぇっと、ああ、ありました」
レナードさんは床に落ちた資料を拾い上げた。
その時、何かが、私の中で閃いた。
あれ?
今のは何?
レナードさんは、うっかりしているなぁと思って、そのあとに、何かを連想した。
さっき見た光景が、連想のけっかけだった……。
えっと……、資料が、テーブルの上から、床に……。
……ああ、そうか。
そういうことね。
だから、凶器にレンガを使用した。
「レナードさん、わかりましたよ。窃盗犯の目的と、殺人未遂犯がどうして凶器にレンガを使用した理由が」
「え……、一気に二つともわかったのですか!? それはすごい! ぜひ、お聞かせください!」
「私たちは勘違いしていました。この二つの事件は、地理的にはとても近くで起きましたが、これらは無関係だと考えていました。片方はただの窃盗だと思われていましたからね。しかし、そうではありませんでした。この二つの事件は、実は繋がっていたのです」




