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15.

「いったい、さっきのは何だったのかしら……」


 ミランダは走り去っていった。

 私も、特に彼女を引き留める理由はなかった。

 一応、自分の顔を手で触ってみた。

 さっき飲んだコーヒーが、奇跡的にとんでもない付き方をしているかもしれないと思ったからだ。

 しかし、特にそんなこともなかった。


 それじゃあ、さっきの彼女の態度は、いったい何だったのかしら……。


「今の方、お知り合いですか?」


「うーん、まあ、知り合いといえば、知り合いですね……。それよりも、レナードさん、お店はまだなんですか?」


「もう着きますよ。ほら、あそこに見えているお店です」


「あぁ、何が食べられるのか、楽しみです」


 ハンバーグ定食だった。

 

 しかも、これが絶品だった。

 今まで食べたハンバーグの中で、一番おいしいかもしれない。

 焼き加減もいいし、ソースもおいしい。

 そして、鉄板の上に乗せたまま持ってきてくれるので、食べ終わるまで熱々のまま、美味しくいただけることができた。


「それでは、私は先に駐屯所へ戻りますね。食事にいつまでも時間を割いているわけにはいきませんから。もう一つの事件である殺人未遂の方の資料を用意しておきます」


「はい、あとでまたお伺いしますね」


 駐屯所まで、レナードさんと一緒に戻ればいいのだけれど、そういうわけにもいかない。

 なぜなら、私たちはまだ食べているからだ。

 まあ、私たちというか、マッチョくんが、だけれど。


 普通は、鉄板の上にハンバーグが乗っていることはメリットしかないけれど、マッチョくんの場合はそうではなかったようだ。

 食べるスピードが、いつもにも増して遅い。

 私は暇を持て余したので、さっき会ったミランダのことについて考えていた。


 前に会った時と比べて、彼女は何かが変化していた。


 態度とかそういうことではなく、なんというか、目に見えるものだ。

 いや、まあ、彼女が私のことを嫌っている態度は見え透いていたけれど、そういうことではない。

 変化というのは、そういうことではなく、物理的なものだ。

 しかし、それが何なのかは分からなかった。


「ねえ、マッチョくん。ミランダって、前に会った時と比べて、どこか少し変わっていなかった?」


「いえ、私は今日初めてお会いしたのでわかりません」


 あ、そうか。

 前にミランダと会ったパーティの時は、彼はまだいなかったのだ。

 あの時は、私は一人でパーティに参加していたから……。

 うーん、あの時と比べて、何かが変化している気がするのだけれど……。


「ねえ、マッチョくん。ハンバーグ、おいしい?」


「ええ、おいしいです。最後の方になっても冷たくならないのがいいですね」


「……そうね」

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