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スーパー スペシャル スペース シャトル  作者: 城塚崇はだいぶいい
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最終話 潮汐ロックデイズ

『やぁ皆!潮汐ロックラジオの時間だぜっ!今日はこのあとお仕事かい?それともお疲れ様ってところかい?いろいろあると思うけど、今日の天気はこのまま良好、全国的に晴れ所により超曇りだとさ、こないだまですごく暑かったのに、もう涼しくなってきたねぇ。でも過ごしやすいのは今日までで、どんどん寒くなるらしいよ。この星の公転周期は21.8日だからね。5日とちょっとで次の季節になっちまう。地球から来て間もない人は特に、風邪ひかない様に気を付けてね!毎日が季節の変わり目みたいなもんだから・・・』


 ラジオを聞きながら簡単な朝食をとり、髭をそって髪を整える。いつもと同じ毎日が今日も始まった。朝起きて、朝働いて、朝眠る。この星でのサラリーマン生活にもずいぶんと慣れてきた。


『今日の最初のトピックだ。長年続けられていた丑三つ村の開拓作業だが、ついに掘り当てた!なんと温泉!どうもこの温泉、なかなか具合がいいらしい。温泉宿なんかも配備され、本格的に観光地として動き出すことが決まったとのことだ。そこで、今日は『丑三つ村お客様第一号 温泉ツアー1泊2日ご招待券』を抽選で10組20名様にプレゼント!応募方法は・・・』


 丑三つ村は地熱を使ったインフラ設備が整い始め、村興しが盛んになってきた。あの科学者集団の生活も少し楽になったんじゃないだろうか?新しい生物や物質が出てきたってニュースは聞かないけど・・・元気にやっているといいなぁ。


『続いて、本日のゲストはグリーゼ887cに彗星のごとく現れた謎のアーティスト松崎エースさんだ!』

『潮汐ロックラジオをお聞きの皆さん!おはよう!こんにちは!こんばんは!松崎エースです!』

『元気があっていいね!さて、改めまして紹介させていただきます。松崎エースさん 22歳、先月動画配信サイトに投稿した曲が見事にバズってすごいことに!動画再生回数は驚異の一月で1000万回、これはこの星の人口を考えるとすごい数字だ!なんでも遥か彼方、故郷の地球へ後悔や未練を残してきちまった我々先行移民達の心に刺さりまくりなんだとか。どうよ松崎エース!今の気持ちを率直に言っちゃって』

『今でも信じられないです。ほんと頑張ってきてよかったなぁ・・・て』

『よかったねぇ。俺さぁ君がゲストに来るって聞いたから、バズった新曲の他の動画も何個か見てみたんだよね。・・・なんていうか暗かったよね。同じ人間が作った曲とは思えなかったんだけど、何か心境の変化とかあったの?』

『はい、私が変われた一番の理由は、この星に来たことですね。地球にいたときは・・・なんていうか、社会に批判的でマイナス思考で・・・場になじめない感じを歌にして発散していたんですよ。昼の喧騒が大嫌いでずっと夜の世界を求めてここへ来たんです。ですけどね、いざ夜の世界へ来て見ると夜には夜の社会が待っていて、ただ単に日の光を失っただけで、何も変わらないや。っといった感じで腐っていました』

『ほぅほぅ・・・っでいったいどうやって変われたの』

『時計です。地球にいたころはこの時計というやつが大嫌いで、時間に縛られて生きる窮屈さから逃れたくて仕方なかったんですよ。でもね、この星で社会生活を営むにあたって、どうしても時計は必要でした。外の明るさで時間が解らないので人々が足並みをそろえるためにはこれを使うしかなかったんです。つまり、便利だったんですね。そこでちょっと思ったんですよ。初めて時計を発明した科学者は、きっと『すごく便利なものができたぞ!』って思ったと思うんですよ。それが現代では、便利なはずの時計が自由を縛るものの代名詞になってしまった。この星に来て、改めて時計というものと対峙し、時計がとても便利であるという事に気付かされたんですよ。時計は何も縛っていない。そう思ったら、時計の針に追われる人生から、時計を扱う側の人間になれた気がしました。自分の考えが180度反転した瞬間でした。あとは、その感動に身を任せただけです。』

『はっはっは・・・面白いね。考え方だけで時計は束縛にも便利ツールにもなる。地球に住んでいたら、時計という当たり前な道具をいちいち【便利ツール】なんて呼ぶ人はいないもんな』

『そうですね。このラジオを聴いている人の中にもし科学者がいましたら、心からありがとうと言いたいです。時計を作ってくれてありがとう。そしてこれからも新たな発明をして感動を与えてください。』

『聞いたかい全国の科学者の皆!あんたのおかげでこの新曲は生まれたんだってさ。それじゃ、その曲を聞かせてもらおうか』

『はい、時計から着想し、惑星間高速移動を体験したことで地球時間から置いていかれてしまった全ての移民達へ。タイトルは スーパー スペシャル スペース シャトル』


♪~~


 この星で夢を叶えた奴が歌っている。

 そういえば、幼いころの夢について、思い出したんだった。

 世界を守るスーパーマンになりたい。

 幼稚な夢だと笑うかい?

 そんなことはないだろ?誰だって一度は夢見るものだろ?

 そして・・・サラリーマンになった。

 夢は潰えたのか?

 違うだろ!俺達サラリーマンは日々社会を円滑に回し、人々の生活を豊かにするために汗水を流している。

 宇宙怪獣や秘密結社とのバトルシーンは無いけれど、俺達の仕事は世界の平和を守っていると思わないか?


 企業戦士サラリーマン


 つまり、夢は叶ったといっても過言ではないんじゃないだろうか?

 そうだろ?

 それじゃ、今日もちょっと世界を救ってくるよ


 行ってきます

無事最後まで書ききることができました。

短い間ですが、最後までお付き合いいただけた方へ

本当にありがとうございます。

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