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18.疑惑②〈メイシー&シンシアside〉

本日5話目です。

〈メイシー&シンシアside〉




 グイド情報によれば、その大会でブラッドリーはステファニーの婚約者候補を正々堂々と多数打ち負かしたらしい。


 ただ、学生の部も、一般の部も、直接デニスと対決は叶わなかった。


 だからあの決闘(デュエル)は、ブラッドリーにとっては願ってもないチャンスだったとも言える。


 しかも剣技大会と違って、流派やルール関係なしの何でも有り。


 ブラッドリーのために用意されたような、絶好の機会であった事をあの場にいた誰も知らなかっただろう。




「それに、ブラッドリーは『最初に会った時から好きだった』ってステファニーに言ったみたいだけど、その時期がどうも怪しいのよ」


「どういう事ですの?」


「グイドが私を彼の友だちに紹介してくれたのは入学してすぐなの。それでその時にはもう、私はステファニーとお友だちだったし、何回か私と遭遇して話をした時に、二人はきっと話はしなくても会ったと思うのよ」


「という事は『一目惚れ』だったら、その時にしてるはずよね? でも『最初に会った時』なら初めて話した時とも取れるわ」


「そこなのよ……」




 二人はしばし考え込んでしまった。


 もしこの仮説が本当なら、ブラッドリーがステファニーに一目惚れしたと言う出会いは、デニスの浮気の後ではなく、ずっと前だった可能性が高い。




 まさかと思うが、その時にもう好きになっていたら?




 その時ステファニーには婚約者が居た。




 ブラッドリーは大人しく諦めたのだろうか?




 二人の背中には、嫌な汗が流れたのだった。



 家同士の約束で、ほぼ結婚は決まっているが、正式な婚約の手続きはまだされていない。


 そして本人たちも恋愛感情がなさそうな、幼馴染(おさななじ)みの二人。




 ブラッドリーはそんなデニスとステファニーをどう思っただろう?




「ブリトニーは……? 彼女はなぜデニスと付き合い始めましたの?」


「え?」


「勘違いとはいえ、デニスが辺境伯を継げると思ってらしたのですよね?」


「それがどうかしたの?」


「彼女はそれまで、結婚しても王都に住めるような、王都から近い領地のご子息狙いでしたでしょう?」


「うーん。そう言われるとそうね。でも辺境伯なら、逆に遠過ぎてシーズン中はずっとタウンハウスに居られるんじゃない?」


「彼女は『一年中王都で暮らしたい』と言っていたと、そう聞きましたけど……」




 納得いかないシンシアにメイシーが怪訝(けげん)そうな顔をする。




「そう言えばヘンね。……誰かに何か言われたとか?」




 その言葉にシンシアは思わずメイシーを凝視(ぎょうし)した。




「誰かに何かって……何ですの?」




 聞かれたメイシーの目が泳ぎ、シンシアと目が合って二人はどちらとも無く目を()らした。




「それは分からないけど……でも、デニスも爵位を継げるって知ったら、あの見た目と剣の腕よ? ブリトニーが他の人よりデニスのほうが良いかもって思っても不思議じゃ無い……かも?」


「そうですわね……。ステファニーとデニスの関係性なら、デニスと結婚できなくてもそれほどステファニーが落ち込まないって、よく見てたら分かりそうですしね」


「じゃあ……誰かが二人を出会わせた、とか?」


「……だだ会わせただけで、付き合うように()き付けられます?」


「それは……ブリトニーは玉の輿狙いだし……面食(めんく)いだし……」


「そうなると、可能性は高いかしら?」


「それで無いなら、二人がくっつくような事を直接されたんじゃない? デニスに『ブリトニーがあなたに気があるみたい』とか言ったとか?」


「さすがにそれは……()が言いますの?」


「違うわよ。誰かに言わせるの。そうしたらデニスだもの、信じるわよ」


「そこまで浅はかかしら? いえ……でもデニスですものね」


「有り得なくも……無さそうな……」




 二人の脳裏には、黒髪に蒼い瞳で酷薄(こくはく)そうに笑む青年の姿が浮かんでいたが、慌ててぐちゃぐちゃにして消した。




「まさか……さすがに考え過ぎよね?」


「えぇ、ただの妄想ですわ」




 二人は無言で深く頷き合った。


お読みいただき、ありがとうございました。

よろしければブックマークや下の【☆☆☆☆☆】をタップして、応援いただけたら嬉しく思います。

今後もみな様に気に入っていただける作品作りを心がけようと思っていますので、よろしくお願いします。


本日は複数回投稿を行なっていますので、話数をお間違えの無いようにお願いします。

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