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17.疑惑①〈ステファニーサイド▶︎メイシー&シンシアside〉

本日4話目です。

 王都に戻った私たちは秋休みを終えて学園に戻り日常を取り戻していた。


 ブラッドと私の婚約は夏の終わりには調っていたけど、正式なお披露目が終わり多くの人に知れ渡ったようだ。


 そのせいか、もうデニスが婚約者だったことは綺麗さっぱり無かったことになっていた。


 ただ、どういうわけかデニスの姿を見かけない。


 最初は気にしていなかったけど、やっぱり弟のような存在の幼なじみの姿が見えないのは何となく気になってしまう。




「ねぇ、デニスって学園に来てるわよね?」


「「え?」」




 私の問いかけに、シンシアとメイシーは目を(またた)いた。


 私はそんな反応が返ってくるとは思ってみなくて小首を傾げると、二人も揃って首を傾げた。




「デニスは学園に戻って無いって、皆さんご存知よ?」


「は?」


「辺境伯領に残っているって聞いたけど、違うの?」


「え?」


「何も聞いてない……ようですわね」


「……だね」


「き、聞いてないわ。え? なに? それってどういう事?」




 驚く私を不審そうに見て、二人は互いに顔を見合わせている。




「私たちも噂を聞いただけなので、本当かどうか分かりませんのよ?」




 そう前置きしてシンシアが教えてくれた内容は……。




 どうやらデニスは狩猟祭以降王都には戻っていないようだった。


 そして噂では、おじい様がデニスに特訓しているらしい。


 何でも辺境伯領で一番厳しい、辺境騎士団(ウチの)士官学校に実習生として在籍して、卒業までの期間をそこで過ごすのだとか。




「えっ! だって辺境騎士団(ウチの)士官学校って、平民のほうが多いし、実力主義で文武両道のスパルタ学校よ? 実技がどんなに良くても、勉強もできないとダメなのに、デニスがやっていけるわけないじゃない!」


「そうらしいですわね。でも辺境伯を相当に怒らせたそうですから、仕方ないのではなくて?」


「自業自得なんじゃない? それであの甘ったれた性根が治るかっていうと怪しいけど、多少はマシになるかもしれないし」


「大丈夫かしらデニス……」




 休み中の辺境伯領でのあれこれを聞いた二人に、最低の烙印を押されたデニスは、私の心配には値しないそうで、私の呟きはスルーされてしまった。




「ステフィー?」


「あら、もうお迎えがいらしたわよ」


「ホラホラ、くだらないこと考えてないで行った行った」


「あ、うん。またね」




 私はブラッドとの約束のためにその場を離れたのだった。




 * * * * *



〈メイシー&シンシアside〉




 婚約発表が済んでからも、ブラッドリーはステファニーを絶対一人にしないようにしていた。


 ただでさえ男子に人気のあるステファニー。


 特に騎士科の生徒から見れば辺境騎士団を抱える辺境伯に婿入りなど、喉から手が出るほどの好物件だ。


 ステファニーと同じ一族の子爵家で幼なじみ、尚且(なおか)つ学園一の剣技を誇るデニスだったから、今まで誰も手出ししなかったのに……。


 まさか婚約目前で破局。


 しかも次は騎士伯の長男、ブラッドリーが婚約者である。


 これなら血縁関係がなくてもある程度剣が強くて勉強もできるなら、誰でも婿になれると誤解されては(かな)わない。


 ステファニーを一人にして、もし襲われでもしたら大変だと、警戒しているのだろう。


 ブラッドリーがこれだけ警戒をしているのを一番よく分かっているのは、ここに居るシンシアとメイシーだった。




「全く、あの過保護っぷりはスゴイわね。グイドやサミュエルもだけど、従兄弟(いとこ)とか再従兄弟(はとこ)まで使って、牽制(けんせい)してるみたいよ」


「それはまた……みなさん学園で強いと噂されている方々ですわね」


「その従兄弟(いとこ)たちだけど、ブラッドリーはその人たち全員潰して、ステファニーの婚約者になったって言ってたみたいだし、グイドが言うには、他家のご子息にも圧力掛けまくったらしいわよ?」


「あらあら……でも彼より格上の家はどうしたのかしら?」


「それは簡単よ。辺境伯の婿候補だもの、全員学園に通っているか、卒業生でしょう?」




 そこでメイシーは意味ありげな視線をシンシアに向ける。




「ステファニーの婚約者を決めていた時期は、夏でしたしら? あの頃に何かありました?」


「夏は毎年恒例の剣技大会があるでしょ?」


「そう言えば……ありましたね。確かあれは騎士や士官学校の生徒が出るのでしたか?」


「あの時のブラットリーは学生の部で三位に入って、一般の部でもベスト・エイトまで行ったのよ」


「そうでしたか……」


「ちなみにデニスは一般の部でもベスト・フォーまで行ってるわ」


「そこでもブラッドリーは悔しい思いをしたということですね?」




 それが本当なら、ブラッドリーはきっとデニスに並々ならぬ気持ちを(かか)えていたことになる。


お読みいただき、ありがとうございました。

よろしければブックマークや下の【☆☆☆☆☆】をタップして、応援いただけたら嬉しく思います。

今後もみな様に気に入っていただける作品作りを心がけようと思っていますので、よろしくお願いします。


本日は複数回投稿を行なっていますので、話数をお間違えの無いようにお願いします。


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