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MAGIC BOOK

 前回でてきたMAGIC BOOKについて説明しよう。


 MAGIC BOOK。それは、選ばれしものしか使えないという幻の本。今やおとぎ話になろうとしているもの。MAGIC BOOKはこの世に一冊しかないと言われており、その主人とされるものが現れるのは1000年に1度だからだ。そして、本が主人を選ぶ。

 今回は、真が主人に選ばれた。それは、真の境遇も関係してくる。


 MAGIC BOOKは、神々を召喚させることができる本だ。何百人もの神々が集められている。その主人となったものは、神々を自由に召喚し、使うことが可能。そんな偉大な本が、どうして真の手にあるのか、今からお話しよう。


 燃え上がる王宮を背景に、木々がうっそうと茂る森林の中、2つの人影が移動している。10歳くらいの少年と、8歳くらいの少女の兄妹。2人は走っていた。汗だくになって、ずっとこの森を走り続けている。兄は妹の手を引き、ふらふらになりながらも必死に走る。兄妹の顔は青ざめ、苦しそうだ。一体何があったのか。

 走り続けていたため、ついに力尽きてしまう兄妹。妹が座り込む。兄の方も、一度立ち止まると、我慢できずに膝をついて荒々しく呼吸する。


「お兄、様・・・。お父、様、お、母様、は、ど、こ?」


 妹が、途切れ途切れの言葉で必死に兄に語り掛ける。兄は、


「いない。いないんだ。ごめん。ごめんな。みんなを、助けられなかった・・・」


 妹を抱きしめ、兄は泣きそうになりながらそう言い続けた。

 何が兄をそんなに苦しめるのか、妹にはわからなかった。

 その時。草木の中、何かが動いている気配が。

 兄妹の体は恐怖で固まる。


「みぃつけた・・・♪」


 若い男の声。男は、恐怖で固まっている兄妹をみて、近づきながらまた言葉を発する。


「ほんと、めんどくせぇ。お前らが逃げるから俺、疲れたじゃん。もう逃げんなよな」


 軽い口調で話す男。

 兄は男をねめつけた。


「おいおい、そんな怖い顔でみんなよ。気分悪いじゃん」


 男は妹をかばうように立っていた兄を、横から蹴りつけた。

 まだ小さい兄は、一瞬にして吹き飛んだ。


「うっ」


 思わずうめき声をあげる。


「ふっ、いい気味だよなぁ。この国の王子さんがこんなあっさりと俺らテロリスト集団みたいなよくわかんないやつに蹴っ飛ばされてうなってんの」


 この言葉の通り、この兄妹はこの国の王子、王女。王、王妃をテロリストに殺され、王宮を燃やされ、かろうじてここまで逃げてきた。


(俺が、俺が無力なせいで、父上や母上を殺され、妹まで、守れないなんて・・・)


 兄は歯を食いしばり、涙目になり目を閉じる。

 その間にも、妹は男に魔法を向けられ、何も出来ずにすくんでいる。


(なんでもする。妹を守るためなら、なんでも。だから、誰か、なんでも、いいから、俺に力を・・・!)


 心の中で願った。その直後。ぱっとあたりが光りに包まれた。だが、そんなことはありえない。真夜中の森でだ。

 あたりを見回すと、何もないただの空間。


『力が、ほしいのですか』


 急に声が頭の中にふってくる。


「だ、誰だっ!」

『私は、女神『ARUSYUNA』。そなたに、力を与えしもの』

「女神? 力、だって・・・?」

『ええ。私はMAGIC BOOKの創始者。MAGIC BOOKは、貴方を主人に選びました。MAGIC BOOKは、そなたの力となりうるもの』

「本当か!?」

『もちろんです。ですが、其方の力となるには、そなたの魔力をもらい、そして感情を奪います。その大事将が、其方には払えますか?』

「払える、払えるとも。妹を救えるならば、俺はどうなったっていい」

『・・・わかりました。では、正式な主人として我を正しい道へ導いてください。|Can I swear《誓えますか》?』

swear(誓う)


 会話が終わった瞬間、兄は目覚める。

 MAGIC BOOKを手にして。

 ふらりと立ち上がった。


「あぁん? まだ生きてたのか。・・・今度こそ、とどめさしてやるよ」


 立ち上がった兄を見て、男は半ばキレながら叫ぶ。

 だが、兄の目から恐怖は消えていた。


「お、らぁぁ!」


 叫びながら男は兄に襲い掛かる。

 それでも兄は動じなかった。


「太陽神『SAN』。希望は打ち消す傲慢なこのテロリストを、抹殺しろ」


 唱える兄。

 すると兄の後ろに光る何かが出現。その光は男を消し去った。

 そして、静かな夜に、この声がこだまする。


「お前は、なに、もの、だ・・・」


 それは、男の最後の言葉。

 兄は何もない虚空に応えた。


「俺の名は、(しん)国府宮 真(こうのみや しん)。MAGIC BOOKを持つ、選ばれた者。俺は、妹に手をだしたお前を、許さない」


 言い終えた兄・真はその場に倒れた。

 妹はその光景を目にしてから力尽き意識を失う。

 兄はMAGIC BOOK自身の判断により、主人を守るという意思に従い、坂原 洋介(さかはら ようすけ)という名の、後に真の師匠となる人物のもとへ、真だけを移動させた。

 妹は、燃え続ける王宮を背景に、静かな夜とかした森林の中で眠っているのだった――。



 それが真とMAGIC BOOKの出会い。

 彼は妹を守るため、自分の魔力と感情(完全に消えてはいない)を引き換えにMAGIC BOOKを手に入れた。それから真はMAGIC BOOKを使い妹の無事を確認。だが、自分だけ逃げ自分を卑怯者だと思って悔やむ真は妹を迎えに行けなかった。

 そのまま月日は流れ、師匠・坂原 洋介に身分を隠すため名字を貸してもらいたくさんのことを教わり、真は高校生に。



 師匠・坂原洋介について。

 坂原 洋介は有名人。


 大戦争というものがあった。その戦争より、多くの人々は兵士となり戦争に駆り出された。その多くの兵士は空しく亡くなっていった。

 その戦争で生き残ったのは3人。たったの3人。

 その3人は国へ帰ると自分たちの戦力をもち、それぞれ組織を作り上げた。それぞれ組織は国の為に働いた。いわば軍人。戦争だけではない。災害時などには現地に駆けつけ、テロリストたちや犯罪者の凶悪犯の相手をしに行く。他にも人々の助けになることを行っている。

 3人の名は坂原 洋介。村本 篤武(むらもと あつむ)武山 雄二(たけやま ゆうじ)。三代将軍と呼ばれている。その3人の名は、いつまでも語り継がれていくだろう。


 という話がある。坂原 洋介はその1人だ。そしてその坂原にお世話になっているのだからもちろん、真も組織に入っている。MAGIC BOOKを持っている真は、隠れながらも手戦力と言っても過言ではない。



 それが、今までの出来事。そして、これから起こりうることに大いに関係がある。

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