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諸事情により

翌日ー

朝ごはんとお弁当の準備をして着替えを済ませると、ミズキを起こしに行くのが日課になっています。


「ミズキー!朝だよ〜!入るからねー!」


ミズキは朝が弱い。私が起こさないといつまでも寝ていられる子です。

私はミズキの身体をゆすり、声をかけました。


「朝だってば〜」


ミズキのベッドでゆさゆさ揺れるミサキ(私)の身体。なんか変な感じです。


「んー・・・。ミサキ・・・」

「わぁぁぁ!!」


ゆさゆさゆする私の手を払い、ミズキが私に抱きついてきました。


「ちょっと!寝ぼけてないで起きないと遅刻しちゃうよー」

「んぁ?・・・あれ?ミサキ何してんの?」

「何してんのじゃないでしょー!早く離しなさい!」


ミズキは、寝ぼけまなこをシパシパと瞬きして私の顔を見つめる事数秒ー


「うわっ!本当ミサキ何してんだ!?」


顔を真っ赤にして私を突き飛ばすミズキ。・・・おい!(怒)


「いったぁぁ!もー!寝起き悪すぎだよ!」

「ご、ごめん!寝ぼけた!」


私は突き飛ばされて尻餅をついてしまいました。

お尻をさすりながら起き上がりミズキの部屋から出た所でミズキが今日学校を休みたいと言いました。


「なんか、腹いてぇし、腰いてぇし生理始まったみてぇ」

「えっ?大丈夫?」

「女って毎月こんな思いしてんのか?・・・超だりぃ」

「そうだよ!女の子は大変なんだから。じゃぁ、ご飯にラップしとくから起きれたら食べて。痛み止めも置いとくね」

「ミサキ・・・。ミサキも学校休んでよ」

「何言ってんの!アンタしょっちゅうサボってたから、単位ギリギリでしょ!」

「ううー・・・」


私だって行きたくは無いけど。留年したら即アメリカだもん。私がミズキの身体で居る限りは絶対留年なんてさせないんだから!

ヤンキーなんて怖がってらんないわ!


気合を入れて、学校へ向かいました。相変わらずヤンキーだらけ。でも、朝から規則正しく学校に来てるヤンキーは根が真面目なのかなって思いました。そう思えば少しはヤンキーに対するイメージが変わるかもです。


教室にチャラそうなヤンキーが入ってきました。

あ、隼斗くんだ。隼斗くんも朝から学校に来てる真面目なヤンキーですね。


「よぉ、ミズキ!」

「あ、おはよう、隼斗くん。昨日ミサキが隼斗くんに感謝してたぜ!庇ってくれてありがとって」


私は素直に昨日感じた自分の気持ちを隼斗くんに伝えました。


「えっ!ミサキちゃんが?そ、そっかぁ。でも、ミズキがミサキちゃんの話すんの珍しいな!」

「えっ、そうだっけ!?」


え?やっぱりお姉ちゃんの話は学校でしないもんなのかな?


「そうだよ。よくお前ん家で遊んでたのに、俺が、ミサキちゃん好きかもーって言ったら急にミサキちゃんの話しなくなったし、家にも呼んでくれなくなったじゃんかー!」

「えっ!?」


隼斗くんが私の事、好きって・・・。

ミズキが隼斗くんを家に呼ばなくなった理由は私!?

えー?


「おい、何でお前が顔を赤くしてんだよ?」

「や、な、何でもない!」

「なぁ、ミサキちゃんのタイプってどんな?」

「えっ!?あ、ミサキは真面目な人が好きらしいぜ」

「あちゃー、じゃぁ俺らみたいのはNGかぁー。俺、こう見えて好きになったら一途なんだけど」

「そっ・・・、そうなんだ」


うわぁぁぁぁぁ!ミズキ、隼斗くんのこと何も言ってなかったじゃない!

あぁぁ、私殿方に免疫無いですし、少しでも自分に好意があるかもって殿方初めてだから、顔から火が出そうなほど恥ずかしいです・・・っ!


「隼斗くんはまだミサキの事、すっ・・・好きなの?」

「おぅ!俺、ミサキちゃんが初恋だからな」

「ミサキのどこが好きなの?」

「んー、ミサキちゃんと小学生の時同じクラスだった時に俺身長低くてさ。女子にチビチビって言われてへこんでる時にミサキちゃんが俺に『小さくたって隼斗くんは隼斗くんだよ。隼斗くんはバスケットも上手だし、格好いいよ』って言ってくれて・・・。ミサキちゃんは優しいから、へこんでる俺を励ます為に言ったんだと思うけど、俺単純だからすげぇ嬉しくてさ」

「だって、隼斗くん本当に格好良かったもん!身長低いのとか関係無しにバスケで沢山点取ってたから」

「え?」

「あ・・・!えと。・・・ってミサキが言ってたの思い出したから!」

「あぁ、そっか。って事はまだ、俺にも少しはチャンスあるかな?」


そう言った隼斗くんが凄く照れくさそうで、私は心臓がドキドキして苦しくなってしまいました。

や、やだ。私ったら!隼斗くん見る度に意識しちゃうよ。


「あ、チャイム鳴った!じゃ、また後でな!」

「う、うん」


ヤンキー高校で殿方相手にドキドキしてるの、私だけだよね。

いくら私がドキドキしても殿方と付き合う事は出来ないのに。

かと言って私も女の子と付き合うのはちょっとね・・・。


んー、最悪ミズキとずっと一緒に暮らすしかないかなぁ。


授業風景も相変わらずで、先生が居ても、最早自習時間みたいな感じです。

外は体育の授業ですかね。

サッカーをやっているみたいです。ジャージが赤色なので3年生です。

あ、あの人凄く上手いな。すいすい敵のディフェンスを交してあっという間にゴールを決めました。

どこかで見覚えが・・・あれ?もしかして諒輔兄ちゃん?

面影があります。きっとそうですよ。

後で3年生のとこまで挨拶に行ってみようかな。


チャイムが鳴って、昼休みです。

私は、ミズキに具合はどんな感じか確認のメールをしました。


すると、直ぐに返事が返ってきました。


『ダメ。ミサキ早く帰ってきて!トイレに行くの怖い』


うーん。どうしたもんかなぁ。


『なるべく早く帰るね、トイレには小まめに行って!』

『・・・了解〜。今日はハンバーグにして』

『はいはい。ミサキちゃん特製ハンバーグね!』


メールのやり取りをしている間私は、周りを気にする事を忘れていました。

私のすぐ後ろに隼斗くんが居たのにも気づかずに。


「ミズキ・・・?メールの内容おかしくねぇか?なんで、お前がミサキって呼ばれてんの?」

「は、隼斗くん!え、な、何の事?」

「いや、お前が熱心にスマホ弄ってるから珍しいなって思ってつい、覗いてみたら内容が見えたから」

「や、やだなぁ!そうだ!入れ替わり!今、入れ代わりごっこして遊んでんだ!」

「ミズキ!なぁ、何かあったんなら正直に言ってくれよ?」


隼斗くんは私の苦しい言い訳を信じていないようです。

わぁぁ。私のバカバカ。いきなり怪しまれているじゃない。


「あのさ。昨日から変だなって思っていたけど、ミズキは俺の事、『隼斗くん』って呼ばないんだよね」

「えっ!?そ、そうだっけ?」


隼斗くんが私の呼び方に何の疑問も抱いてなかったみたいだったからそのまま呼んでたけど、やっぱり男の子同士で君付けはしないのかな。


「ちょっと、こっち来いよ」


隼斗くんは私の手を引っ張って教室を出ました。


「ちょ、ちょっと、隼斗くん?痛っ・・・」


隼斗くんは私の手を引っ張ったまま屋上を目指しているようです。

わわ、隼斗くん、ちょっと怖いです。


屋上へ上がり、ドアを締めると隼斗くんが怖い顔で私に向かって質問を投げかけます。


「わりぃ。教室じゃ話せない事かもしんねぇから、ここまで来てもらったけど。で、どういう訳?」


隼斗くんは一応こちらの立場を考えてくれたんですね。

ちょっと強引で怖かったですけど。

どうしよう。屋上の扉は隼斗くんが塞いでいるので、逃げる事は出来ません。もう誤魔化しきれませんし・・・。


「隼斗くん、騙しててごめんなさい。私は、ミズキの姉のミサキです・・・」

「・・・・・・」


私は、観念して隼斗くんに本当の事を話す事にしました。

隼斗くんはまだ怖い顔をしています。・・・うぅ。私生きて帰れますかね?

今回もお読み下さり、ありがとうございました!

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