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ある晩の出来事

「ミズキっ!ちょっと待ってよ」

「んだよっ!付いてくんなよ!」

「だめだよ、バイクなんて危ないじゃないっ!」

「大丈夫だって言ってんだろっ!離せっ」

「きゃぁっ!!!」

「ミサキっ!?ちょっ!」


ズダダダダダダダダッゴンッ



男子校に通っている双子の弟が良くない友達とつるんでバイクで集会に参加すると言っているので自宅の2階の廊下で全力でひき止めていたんですが、弟に振り払われた弾みで階段から落っこちちゃいました。

私は病院に運ばれましたが頭を強く打っていて、即死でした。

それを深く後悔した弟は姉が死んだという事実に耐えられず、同じ晩にバイクで自損事故を起こして姉の後を追って死んでしまいました。


と、ここまでが、よくある姉弟喧嘩から、悲惨な事件に発展するまでの話なんですが、この後が問題でして。


亡くなった後って本当に、幽霊になるんですね。

ふよふよ浮きながら自分の死に顔を眺めていたら、弟のミズキが霊安室の壁をすり抜けてこれまたふよふよと浮いてやってきたではありませんか!


「み、ミズキ?なんでふよふよしてんの?」

「ミサキ・・・ごめん。俺、こんな事になるなんて思ってなかったから・・・」

「いいよ、いいよ!落ちたのがミズキじゃなくて良かったよ〜」

「まぁ、ぶっちゃけ俺もさっき死んだんだけどさ」

「はぁぁぁぁ!?なんで!?えっ?だからふよふよしてんの?」

「だって!ミサキが居なかったら、俺、どうやって生きていったらいいんだよ・・・」

「えー?あんなに邪険にしてたくせにぃ?」

「しょうがないだろ!反抗期ってやつなんだから!」

「も〜、ミズキは昔からアタシの事大好きなんだから〜。・・・後を追って死んじゃうくらい・・・ばかね。ミズキ」


私はミズキを抱き締めました。

幽霊になって気付いたんですが、触りたいものは触れるし、透き通りたい物は透き通れるんです。不思議ですよね!


「あ、お二人とも居ました居ました!もぉ〜探しましたよぉ〜!」


声の主を探してキョロキョロと辺りを見回した所、天井から天使っぽい風貌の女の人がニョキッと出て来ました。


「ご姉弟とても仲が良いんですね!えっとですね、麻倉ミズキさんとミサキさんですね?」

「あ、はい」「はぁ」

「私、天界から来ましたアニーと申します〜。今回、私の研究対象にあなた方が選ばれましたぁ〜」

「え?研究・・・対象ですか?」

「そうです〜。研究対象になってくださるって条件で生き返る事が出来ますけどどうなさいますか?」

「え、生き返れるんですか?なら、ミズキだけでも生き返らせてください!」

「ミサキ!だから俺はお前が居ないとっ」

「お二人とも生き返らせてあげますよ〜」

「「えっ、ほんと?」」

「はい〜☆私の研究にご協力頂けるのなら、事故直前のあの瞬間までお戻しします〜」

「研究って何をすれば・・・?」


それにもよるというか、そもそもこんなうまい話があるわけ無いじゃない。


「お二人には今までと同じ生活を送って頂くだけですけど〜。そして、私はそれを時々観察させて頂きます〜」

「ぷ、プライバシーとか気にしちゃいますけどっ」

「あ、大丈夫です〜。生き返りましたら研究うんぬんはお二人の記憶から消去しときますんで〜」

「えぇ〜?どうする?ミズキ」

「生き返れるならいいじゃん」

「じゃ、じゃぁお願いします・・・」

「はぁ〜い♪任せてくださぁ〜い☆では、いきますよおぉぉ〜。えいっ」


お願いしますと言ったあと、一瞬アニーがニィッと不敵な笑みを浮かべた気がしましたが、すぐに光の渦に巻き込まれた感覚が襲ってきたのでそれ以上何も考えられなくなりました。





「ミズキっ!ちょっと待ってよ!」

「んだよっ!付いてくんなよ!」

「・・・・・・・・・あれ?」

「・・・・・・・・・これってあの時か?」

「あは・・・、とりあえず階段から離れようか」


私は2階の階段から1階の廊下を眺めてぶるっと身震いをしました。もう、惨劇はごめんです。


「そ、そうだな。ミサキの部屋に行こうぜ」


私の部屋に行き、私は自分のベッドにミズキはクッションの上に座ってお互い大きな溜め息を吐きました。


「「はぁぁぁぁぁぁ〜〜〜」」


生き返る事が出来た事の嬉しさはありますけど、色々なことがありましたのでどっと疲れが押し寄せてきました。先程まで私達死んでいましたしね。


「とりあえず、生き返れて良かったねぇぇ!ミズ・・・キ?」


私はまじまじとミズキを見ましたが、目の前に居るのは多分私。


「あれ?何で俺がそこに居るんだ・・・っておい!」


目の前の私も違和感に気付いたようです。そこで私も改めて自分の身体を見ました所・・・あれ?ミズキとお揃いの革ジャンと革のパンツを履いていますよ?


「えっ!?こ、これミズキの身体じゃない!」

「俺っ、スカート履いてるじゃんっ!って事はこれ、ミサキの身体かっ!?」

「「身体間違ってる〜〜〜!!!!!」」


私(中の人:ミズキ)が片手で襟首を広げて『目視』で、もう片方の手で揉んで『触感』でと、胸の有無の確認をしています!!


「うわっ!谷間っ・・・やっべ!やわらけぇっ!!」

「ちょっと!ミズキ!変なトコ見たり触ったりしないでよっ!」

「ちがっ!確認だよ!確認!」

「いやぁぁぁぁ!だめぇっ!わぁぁぁぁぁぁぁっ!」


ドサッ


「あ・・・」


ミズキの暴走を止めるべく揉み合いの果てに、私が私(中はミズキだけど)に覆いかぶさるという不思議な現象が起きました。

この身体はミズキの身体なんだわ・・・。男の人ってこんなに力が強いものなのね・・・。

それは死んだ日(あの日)に身をもって経験しましたけど。


「ご、ごめん」

「いや、俺も調子に乗ってごめん」


なんか客観的に赤面した自分を見るのはなんかの罰ゲームみたいでなんともいえません。


「とりあえず、明日からどうしよっか・・・?」

「ドラマとか漫画なら入れ替わっても誰にもバレずに生活・・・とか出来るけど、俺ら双子って言っても2卵性だからなぁ。顔はそこそこ似てっけど体格が違うし・・・そんな都合よくはいかねぇよな」

「じゃぁ、やっぱりアタシがミズキの学校に通って、ミズキがアタシの学校に通うしかないよね?・・・ってミズキの学校ってバリバリのヤンキー男子高校なんですけど!?良くない友達ばかりで怖いんですけど・・・!」

「ちょっと待て!お前の学校だって女子校じゃねぇか!!しかもお嬢様学校・・・」


そうなのです。家の両親の子育てのモットーは、“女子は女子らしく、男子は男子らしく”なので、私とミズキは中学校からずっと女子校・男子校に通っているのです。


「とりあえず、明日は学校休んで交友関係とか校則とか教えあおう!じゃないととても不安で不安で・・・」

「わかった!俺部屋に戻って集合写真とか探してくるわ」

「あ、待ってミズキ!!」

「なんだよ?」

「・・・・・・トイレ行きたい」

「はぁ!?行って来ればいいじゃねぇか」

「だって!!触れないじゃない!!!」

「あのなぁ・・・」


ミズキとトイレに一緒に行って、ミズキにアレを持ってもらって事なきを得ましたが、ミズキが居ない時にトイレに行きたくなったらどうしようというのを考えたら頭が痛くなってきました。


男子校なんて怖いよ〜!ましてやヤンキーとか。今までそんなのには無縁の穏やかな生活をしてきましたのに・・・私達はもう、もとの性別には戻れないのでしょうか!?

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

一週間に2、3回更新出来たらな、と思います。

よろしくお願いします。

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