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脇役の生活  作者: 木瓜
2/2

2.疑問

書いてみないと、気付かないことが多いのですね。

引き続き頑張ります。

 アクサの村に着いたカミル達は宿に入り、それぞれの部屋に入っていく。

 一階が酒場となっており、二階が宿泊する部屋だ。それぞれに旅装を解き、酒場に集まっていく。


「カミルはまだ来ないのか?」


 リーダーのオルカは疲れた体を解すように首を回しながら口を開いた。


「まだ見ていませんね、とりあえずテーブルも確保したことですし注文だけでもしておきますか。」


「とりあえず飲み物と、皆で食べれるものだけでも頼んどこう。あたしはもう限界…」


 到着したのが予想より遅くなった分、全員が空腹を訴えている。適当に注文して一瞬の静けさが訪れる。

一息ついたのちルッツがおもむろに口を開く。


「カミルは一体どういうつもりなんだろうな…」


 ヴァネッサが閉じていた眼を開く。


「どういうこと?」


「若くしてあれだけの腕があり、名前もある。人付き合いもうまくはないが、下手でもない。普通に考えれば固定のパーティーを持ち、もっと難度の高いクエストをこなし、もっと有名になっていておかしくない。

 いや、国軍の兵士になり出世を望むでもいいし、貴族に仕える事も可能だ。なぜ今の立場に落ち着いているのかが不思議でならない。」


「過去に何かあったとか?」


 オルカはそれを聞いて眉をしかめる。


「あまり詮索するような真似はよせ。ただあいつの過去は別に隠されていないし、ギルドもつかんでいる。

王都のスラム出身で両親はおらず、叔父に引き取られたようだ。確かホルストという名だったはず。

 それなりに知られた名前だ。今は引退している。」


「へぇ、そうなんだ。あまり自分の事話さないから、知らないこと多いよねぇ」


 コルトが少し考えこんでいるのをヴァネッサが気付いて肩をたたいた。


「どうしたのよぉコルト?」


「いえ、少し気になるというか、気付いた事がありまして。

 カミルさんは魔法を使えません。実際使ったことを見たことはありませんし、ただ…」


「ただ?」


「私はメイジですが実力はお世辞でも高くありません。魔力も多いわけではなく、経験も少ないのですが、

ただ一つだけ得手とすれば魔力を検知することがあります。そこで気になったのがカミルさんの魔力が活性化しているということです。」


 それの何が気になるのかわからない皆は顔を見合わせる。コルトは少し慌てて続ける。


「つまり魔法を使ったような形跡があるということです。魔法を使う者というものは魔力を循環させます。うまく説明するのが難しいのですが、魔法使う者独特の魔力の動き方があるのですよ。

 そこが以前から少し気になっているのですが… 」


 それに対して意見の持ちようがない皆は特に口を開くでなく、時間が過ぎていく。







 荷物を降ろして、外套を脱ぎ捨てる。そこそこ長い間使っている外套だ、いい黒色が気に入って使っていたが、そろそろ替え時かもしれない。皆空腹だ、急がなくてはと思い軽く顔を拭いて酒場に向かおうとした時、扉の外に気配がする。影を伝うと二人の気配が立ち止まっている。集中しようと思えば、何事もなく立ち去っていった。


「気にしすぎか…」


 苦笑しながら肩をすくめる。影を介して知ることが出来てしまう分、余計な事に反応してしまう。数少ないデメリットだ。俺の力は影を使うこと。影を伝って知ることや、影を渡って移動することなど多岐にわたる。自分では魔法の一種だと思っているが、古代語の詠唱が必要なわけではないし、儀式がいるわけでもない。精霊と交信するわけでもないし、神に祈るわけでもない。

 魔力を消費するので魔法と思っているが、既存の理に当てはまらないので確信が持てないのが正直なところだ。


 ただ影を渡る…つまり転移能力だが、これが一番力を秘匿する理由だ。古代語魔法で転移魔法は存在するが、高等魔法であり使用するものは限られており魔力の消費も膨大だ。詠唱も長いものらしく簡単に使えるものでは無い。

 俺の影を渡る魔法(?)は転移距離が短く前世でいうところの50mが限界だ。だが連続して使える上に魔力消費が古代語魔法と比べると少なく、詠唱もない。影がある事が条件なので何もない平野では使いにくいが、人ひとり通れる大きさがあればいいので使えないわけではない。


 冒険者として生きていくだけなら、目立ちすぎる能力だ。といっても確信はあるものの知られて何がどうなると考えているわけでは無い。具体的に危険を考えるわけでは無く、おおざっぱな感覚で秘匿している。

 生きていく先に何か目標があるならば、何か使命があるならば秘匿せずに生きれるかもしれないが、今の俺にはそれがない。つらいとも思えないが、何かむなしいとも感じている。


 何か張り合いの無い感傷を払い、扉を開けた。








「遅かったねぇ、もう始めてるよ。」


 俺の顔を見つけるや否や、ヴァネッサの声が聞こえる。木のジョッキを見ればなくなりかけている、酔いも少し回っているのだろう。


「悪いな、少し疲れていたようだ。」


「気にするな、待たずに食べているのだ。我慢が出来ずにいた、すまん。」


 ルッツはまじめな性格だ。神官ということもあるのだろうが、謝罪をせずにはいられなかったのだろう。


「しかしルッツさんや、リーダーはともかくとしても、カミルさんも口調が堅いですよね?」


「それはあたしも思うね。堅いというか老けてる?」


 珍しくコルトとヴァネッサの意見があっている。失礼な話だ…昔から言われていることだが。


「さて、俺もいただくとするか。」


 特に特徴のない料理を食べ、落ち着きを取り戻した時オルカがこちらを見ていることに気づいた。


「なあカミル。ヴァネッサも言っていたが、本当に俺たちのパーティーに入らないか?無理にとは言わないが何度も一緒にやってるんだ、気に入らないわけでは無いんだろう?」


「気に入らない事など何もないさ。ただ、このままでは駄目だとも感じているが、曖昧なままに入っても迷惑をかけるだけだしな。一度故郷に戻って考えてみるよ、何かしらの区切りがつくかもしれない。」


「故郷といえば、王都か。遠いな…」


「明日ギルドに報告が終われば、そこから向かうつもりだ。」


 それを聞いた皆が引き留めてくれるが、臨時のメンバーだ深刻さは無い。


「じゃあしばらく会えないな、なら今日が送別の宴だ。乾杯しよう!」


 オルカの大きな声に皆が応える。今夜は少し長くなりそうだ。





話の区切りが適当なのかがわかりませんね。

短すぎるのかな?

次は出会い。

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