表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぱーそなる・こんぴゅーた  作者: キタキツネ
1.変わりゆく日常
3/3

02 騒動

 紀ノ国学園。日本有数の成績を誇るこの学園には中等部と高等部が存在する。

 俺はこの学園の高等部1年生。

 中等部と高等部は校舎が向かい合っており、つい数ヶ月前まで中等部に通っていた俺は、時々校舎を間違えそうになる。

 俺が学園に通うのは、勉強のためではない。もちろん機械のためだ。

 中等部で出会った結城とはウマも合うし、結城が金持ちのため、最新の機械をよく触らせてくれるのだ。

 今日も最新の機械を持ってくるらしい。


 教室に鞄だけ置いて、用務員室に向かう。

 この学園には常駐の用務員は居らず、空き部屋になっていたところを使わせてもらっている(結城の力で)。

 

 ドアノブを開くと、鍵は開いている。どうやら結城のほうが先に来ていたようだ。


「おはよう、結――」

 挨拶しつつ、ドアを開けて。


 ・・・・・・白だった。


 いや、目の前がではなく、結城の下着の色だ。

「え、あ! 隆也! もう来たの?」


 四つんばいになっている結城が、こちらを向く。

「丁度よかった。部品落としちゃって・・・・・・隆也?」

「あ、あぁ」


 パンツが丸見えの結城は、それに気がついていないようだ。

――結城 朋。俺の唯一と言っていい女子の友人だ。髪はいつもぼさぼさで、ところどころ髪の毛がはねている。視力が悪いらしく、分厚いレンズの眼鏡をかけており、はっきり言ってダサい。フローラルの香りというよりオイルの香りがしている女の子だ。あまりに無防備すぎて、こうやってパンツが見えてしまうことも時々ある。なんとも心配だ。実家がお金持ちだが、見た目のこともあり、付き合いやすい(なお男受けは悪く、浮ついた話は聞いたことない)。


 パンツは出来るだけ意識しないようにして、結城の隣に行く。


「この辺に転がっていったみたいなんだけど」

 

 再び四つんばいになって床を探し始める。

「どんな部品なんだ?」

 結城の隣で俺も四つんばいになる。


「えっとねー」


 言うが早いか、結城は勢いよく立ち上がる。おかげで再びパンツが見えてしまうが、気にしない。

 机から小さな部品を持ってきて。

「これと同じのだよ」

「ずいぶん小さいな。これ見つかるのか?」


 大きさでいえば5mmほどだろうか。探すには一苦労しそうだ。


「大丈夫。隆也が見つけるでしょ?」

「俺頼りかよ」

「だって、隆也頼りになるし」


 そう言われてしまうと、なにも言えなくなる。

「わかった。何とか探そう」


 ――30分後、無事に見つけたが、結城が最新の機械をばらばらに分解していたため、組み立てるのに苦労して、時間が無くなっていたのだった。


「気になるのはわかるが、その分解癖なんとかしたほうがいいぞ」

「隆也が来る前には組み立てる予定だったんだよ」


 結局最新の機械のお披露目は昼休みに持ち越しになった。


 結城と教室に向かいつつ、

「そういえば今日は随分と早く来たんだね。いつもならパソコンいじりでもっと遅く来てたのに」

「そうだな、ちょっと問題があってだな」


 結城になんと説明しようか考えていると、いつの間にか教室に着いていた。


「なんていうか、言いづらいから昼休みに話すよ」

「そっか、わかったー」


 こういう気の使えるところも結城のいいところだ。


 予鈴が鳴り、席につく。俺の席は窓側の後ろ。ちなみに結城は正反対、廊下側の後ろだ。


 担任の緒方 茜先生が教室に入ってくるのと同時に、クラス委員長が号令をかける。


「はい、おはようございます」

 緒方先生は、まだ教師になって日が浅く、しかし真面目な性格で人気がある(美人というのも拍車をかけていた)。

「今日は、転入生が来ています。」

 一瞬で教室内がざわめく。いつもなら緒方先生が注意するのだが、なぜか今日はしない。

「――では、入ってきてください」


 入り口から、二人の女生徒が現れて、教室内が静まり返る。

「――なっ」


 その二人には見覚えがあった。皆が同じだっただろう。

 正確に言えば、皆は一方のみを見知っていて、俺だけは二人とも知っているというか。


「「い、市ノ瀬カンナ!! が、二人!?」」


 教室中が騒ぎ出す。

 教室に入ってきたのは、市ノ瀬カンナとリナだったのだ。


「あ、隆也さまー」

 あとから入ってきたほう、つまりリナが俺に手を振る。

「あ、バカっ・・・・・・」


 教室中の視線が俺に向けられる。


「「たかやぁーーーーー!」」

 教室中の男子が詰め寄ってくる。女子はきゃーきゃー叫びつつリナとカンナに寄っていく。

 教室はカオス状態だった。


 俺は男子にもみくちゃにされながら、今までの日常が崩れ去っていくのを感じていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ