コーデリアは消えてなくなりたいのです…
コーデリア嬢とお父様初登場
コーデリアは最初何を言われているかわからなかった。
美しいあの人が
目の前で告げている。
「婚約を解消しよう」と。
それからコーデリアは思い立った。
あぁ私はお姫様ではなかったのですね、と。
幼い頃お兄様に読んでもらった
魔女がでてくるお伽噺。
その魔女こそが私だったのですね、と。
***********************
コーデリアはそれから熱を出した。
王宮でも一件はお父様にも告げてはいない。
ルードリヒ殿下はうつくしい顔をゆがませ
折を見て、王様や王妃様にお話ししようと言っていたっけ。
泣きそうな顔で困った顔で
そう告げる元・婚約者殿の顔を
コーデリアは放心したように見つめていた。
だからってお父さまに隠していることができない。
婚約破棄はお父様の地位にも評判にも
悪い影響を与えてしまうかもしれない
こんな時もコーデリアはコーデリアだった。
骨の髄まで公爵家の娘。
コーデリアは小さい頃から仕えてくれている
第二の母のような侍女に告げた。
「お父様を連れてきて欲しい」と
幼い幼い娘の
瞳を紅くし
熱にうなされながらもしっかりとした告解に
ローゼンバル公爵は父親の顔で娘に告げた。
それでお前はどうしたい・・・?と。
その瞬間コーデリアの茶色の瞳から涙があふれた。
あのね、お父様、コーデリアはルードリヒ殿下のことが本当に本当に好きだったのよ
と。
「でもねコーデリアはお姫様の方でなかったの。」
魔女だったのよ、と。
それから泣きじゃくるコーデリアを
どれだけ公爵が抱きしめていたかはしらないが
眠りにつく前コーデリアは告げた。
だからね、コーデリアは早く殿下を忘れたいのです。
「お父様、コーデリアをどこか遠くにやってくれないですか?」と
***********************
その頃、ルードリヒは一人
王への謁見を求めいてた。
心にあるのは
先ほどの美しい愛おしい婚約者とのやりとり。
「父上、実はお話がございます」
ルードリヒは苦痛な心を隠し怜悧な表情でハドルド王の前でお辞儀をとった。
次話は父親同士の会話です