第一話
―――――愛しの自室は失われたのか。
日常が壊れるのは、何時だって簡単だ。災害や事故、人間が起こす事件でさえ人々の日常を奪い去っていく。
分かっているつもりだった。だから、後悔の無いように生きてきた自信がある……はずだったけど。
「そんな、何の前触れもなく!ってか私に何があったッ!!」
「…んぅ?おはよ、私に何かあったん?」
少女の声に反射的にがばっ、と見知らぬ布団を蹴り飛ばし身を起こす。声の主はベッドに凭れ掛かり此方を見上げていて、除きこむ大きな透き通る琥珀色の瞳と視線が交わった。
「そーれ、私が聞きたいんですけどッ…て、んん?」
ゆっくりとした動作で立ち上がる少女をジト目で睨みつつ、ぼそりと毒を吐いた……のだが。静かな部屋に響いたのは、確かに自分が発した毒突きでありながらそうでない――聞いたこともない少年の声であったのだ。
「あ、あー……えっ!?」
両手で頬に触れ、慌てて胸に手をあてる。サイズには結構自信があったのだ、見るだけで分かるが確認。そして無い。下は…確認したくない。
真っ青になりながら顔を上げると、深い緑色の髪を揺らしながら可愛らしく首を傾けていた少女がはっと両手を合わせて閃きの表情を浮かべた。
「もしかして私さん、オンナノコだったん?」
* * * * *
一話、もう少し続きます。中途半端な常態で申し訳ないです;