偽造ー死亡ー転生(2)
それが亜紀の最後の女の子の姿だった。
俺は動けなかった。心の中では焦っていたのだが、
体が動かなかった。動作を拒否していた。自分で、自分の行動を。
「行くわよ、淳!」
いつの間にか俺の名前が「篤」から「淳」になっていることはほっとこう。
『うん』
と答えた。でも、行きたくなかった。だって、お母さんが葬儀屋らしき人と話しているのを見たからだった。
「はい……あ、あの……分かりました。はい失礼します」
車に乗っている時も電話していた。
俺には怒りがこみ上げてきた。相手は、身内が亡くなった…かもしれないというのに、電話を絶やさず。
このソプラノの声で怒っても怖いと思わないだろうけど……
やっと着いた。病院に。
亜紀は大丈夫なのだろうか。混乱してきた。
「あ、あつ……」
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『ムゥぅぅぅ〜〜……⁉︎』
こ、この聲は…お、男の子みたいな感じ…
ななななななな!う、嘘〜……
わ、私、どうなったんだっけ。えっと、お姉ちゃんに見送られて、交差点に差し掛かったときに…
ん…でも生きてるしなぁ。
ん、なんか変な感じだなぁ。ん?んん?な、な、な、なぁ!
「亜〜紀〜ちゃん!」
だ、誰だぁ!
『だ、誰ですか!』
「誰って、悪魔だよ〜!!」
?????????????????????あ、悪魔?
あくまなんてありえない存在だとおもってたんだけど…
『悪魔?』
「そーだよー!」
軽いな…
『あ、まさか、私をこんなにしたのは…』
「そーだよー!あと、きみのお兄ちゃんもだよ〜!」
お、お姉ちゃんも!
『うーん、女の子の姿に戻して!』
「同じこと言うんだね。ま、無理だけど。前は可愛かったから、家の近くで出してあげるけど。」
うーん。やらしいやつだ!
「家の近くでおろしてくれる」か……?どういうこと?
ガチャっ!
あ、ほんとだ、家の中にいる…
急ごう!
「きみ、いま、スッポンポンだよ!」
へ…
『ぎゃーーーーーーーーーーーーーー!』
「うっさい黙れフルチンやろう!」
悪魔に言われたくないわ。