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少し変わった大学生活  作者: 石田いづみ
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トンネルの向こうの小屋

まだ、寒さの残る春の夕方、俺たちは集まった。あまりたくさんの人数がいても役に立たないということで、俺、森野、吉住、ゆずなの四人で小屋に向かうことにした。何の木なのかわからないが、トンネルの中を覆い隠すように茂っていた。俺たちは車を止めると、今回の作戦を確認することにした。

「とりあえず、俺が小屋の中で見守る。森野が小屋の外、吉住が車で待機して、ゆずなちゃんが小屋の中と周りを撮影して終わりということでよろしく」

「俺は車の中か、あんまりおもしろくないな」と不服そうに吉住が言うと

「俺たちはまた今度くればいいじゃん。」と森野が茶化すように言いゆずなちゃんを怖がらせないようにくだらない笑い話を話していた。

「何にも見えなくなる前に、終わらせるか。先は言って危ないもんとか見て待っとくわ。」と俺が言うとみんななにも心配していないような態度でいってらーと言われた。今からかなりやばい心霊スポットに一人で確認に行くのわかってんのかなこの人たち。森野に至ってはスマホでツイッターしてやがるこの野郎呪われろと思っていると震えたかわいらしい声で

「大丈夫ですか?」

「大丈夫慣れてるから」と俺が言うと

「そうそうこいつこういうとこ大丈夫なやつなんだよ」と森野がいい

「なんかあったら迷うことなく俺らではなく西野のとこ行くんだぞ」と吉住が言うとゆずなは不思議そうになんでと聞いてきた。俺は、なぜかわからないが心霊スポットが怖くない、というより幽霊自体が怖くない。もちろん信じていないわけではないし、暗い所やじめじめしたところもあまり好きではない。しかし怖くないのだ。大学一年の時、知り合ったやつらにいたずらで置き去りにされた時も一人でそいつらが迎えに来るのを待ち車を奪って、逆に置いて帰ってやった。その噂のせいで俺はこのサークルにいるのだがと思っていると森野が

「俺、度胸だけは人間離れしてるから幽霊も寄ってこないのよ」と笑いながらゆずなをみんなで励ましていた。このときみんながゆずなを元気付け励ましていた。俺は、

「じゃ、行ってくる。大丈夫なら連絡する。大丈夫じゃなかったら戻ってくるわ」とへらへらしながらいい車から降りた。

トンネルの前に立って改めてみるとずいぶん不気味なトンネルだった。立った20メートル足らずの小さなトンネルのはずなのに、トンネルの向こう以外真っ暗で、少しカビとほこりのにおいがひどかった。トンネルの中は、一つだけ奇妙な落書きがあった真っ暗なこの場所でどうしてこの落書きがはっきり見えるのか少し不思議だったが、まあ誰かが蛍光入りのスプレーで書いたのだろうと気にせず小屋まで歩いて行った。小屋は拍子抜けするくらい普通の小屋だったトタンでできた物置のようなものとドアと窓が一つだけの小屋だった。なぜか窓は割られていなかった。そして奇妙な生活感があった。周りにあるものは線香とたくさんのライターこの時点で完全にやばそうな感じだった。これ人住んでますやんと独り言が出てしまうほどだった。普通の人間ならば注目するところはそこじゃないと突っ込みそうなところだが俺は気にせず、窓から中をのぞいてみた。驚いたことに、小屋の中には机と鏡しか置いていなかった。うっそうと生い茂る草むらの中でその景色は、かなり異様だった。ドアは南京錠がかかっており入れない。俺は奇妙であると同時にかなり面白そうであると思ってしまった。迷うことなくラインで電話を掛けた。

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