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少し変わった大学生活  作者: 石田いづみ
3/8

ゆずなの憂鬱

この女の子はゆずなちゃんというらしく、最近このあたりに引っ越してきたとのことだ。しかしよくある話でよそ者といじめられてしまい、クラスの人気者のグループに一人で心霊スポットに写真を撮ってくるよう命令され怖くて帰り道で泣いているところを、山内にここの話を聞いたらしい。たしかにランドセルこそきれいだがちらりと見える教科書やランドセルに貼ってあったのであろうシールは汚く剥がされていた。

渋い顔をしながら「女の子にしちゃ過激ないじめだね」と吉住が言うと

「俺怖いの苦手だから心霊スポット一緒に行ってやってよ得意でしょ西野」と山内が整った顔で拝むように頼んできた。

「この野郎完全に人任せじゃねーか」というと森野が

「いじめのグループを大人がいじめちゃう?」などと犯罪まがいのことを言い始めたので金田が

「それじゃ俺たちつかまっちゃうじゃん」というと森野は黙った。なんやかんやこの依頼を受けることは決定したらしい。

「その依頼俺たちが解決してあげるよ」というと曇っていた顔が晴れ渡りかわいらしい笑顔で

「ありがとうございます」と言ってきた。と同時に

「おねがいの報酬ってどうすればいいの?」とまた曇った顔で聞いてきた。

「いつもは学食やご飯をおごってもらうことになっているけど」と金田が言うと

「小学生だしそこら辺をどうするかだな」と吉住がうーむとうなった。

森野がはてな顔で「無償でやらないの?」というが

「それだと依頼を頼む側が不安でしょ、それにこういうのはきちんとしないと不安が取れないよ。俺ら知り合って間もないのに」

「お金は少しならあります。助けてください」と泣きそうになりながらゆずなちゃんが言ったところで週刊誌を読み終えた森野が

「学校でどう過ごしたいの?」と尋ねた

「いじめられたくない、友達がほしい」

「じゃあ俺たちは今から友達だ。友達からは報酬は受け取らない。助け合いだからな」俺は初めて、森野がキラキラした金髪よりもかがやいて見えた。

「それで決定ね。これからどうしようか」

「その写真撮るのはいつまでなの?」と吉住が驚いた様子も見せず尋ねた。こいついつも冷静だなーと考えていると

「今週の土曜日」と答えた。今日が木曜日だから明後日か時間ねー

「心霊スポットはどこにいくの?」

「トンネル向こうの小屋ってところ」聞いた瞬間まじかよと思った。なぜならそこはつい最近でも自殺の死体がでたり、周りは首を吊ったであろうロープが散乱している。聞く限り本物の心霊スポットだった。

「やばいとこじゃん」と大笑いしながら山内いい普段は冷静な吉住も「行きたいな面白そうだわ」とのりきになっていた。おい山内お前いかないつもりだろ?絶対連れてくからなと心に固く誓った。

この言葉が本格的に怖がらせたのかゆずなちゃんは泣き始めてしまった。

「そこには一人で行って一人写真撮ればいいの?」と俺は尋ねると小さくうなずいて答えた。吉住がハンカチと缶ジュースを渡しながら

「それはよかった。それなら俺たちがついていける。この際いじめっこをぎゃふんといわせてやろう」

「そうだな、でもそのあと疑われたらどうするの?」ともっていたお菓子をゆずなちゃんにあげながら言った。すると森野が

「その辺は任しとけ。女の子が一人でそこに入っていったって噂流すよ」

「俺らが手伝えるのはここまで。ゆずなちゃんどうする?」

「やります。もういじめられたくない」

「勇気があると思われるより不気味に思われるかもしれないそれでもやる?」

少し考えながら涙で赤くはれた目に力を込めて

「それでもいじめられるよりましあの人たちを見返したい!!」

「わかった俺らに任せろ」

こうして俺たちの小学生のために心霊スポット探検の依頼が始まった。

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