問題を連れてくる男 山内
さて我々のサークルとは、言ったら幽霊部員ばかりの弱小サークルである。サークル名はフリーフォレスト通称FF。一応30年以上前からある由緒あるサークルらしいが、それほど人数がいないばかりか、問題を抱えた人間が駆け込んでいる大学の小さな便利屋のようなものになっている。俺がこのサークルに入ることになったのは、ほんとにたまたまであり、今となってはなぜあのときなんとなくこのサークルを選んでしまったのかと思っている。最近ではむしろ問題を抱えているのはサークルのメンバーのほうが多いのではないかと思う今日この頃である。
サークルの部室は文化棟の端っこの二部屋で一部屋はまだ入ったことのない開かずの部屋となっている。電気が通っているため、昔の偉い先輩方がテレビやらゲーム機やらマンガやらを大量に持ち込んでおり、暇をつぶすにはちょうどいいのだ。
俺たちが、部室についたときなぜか電気がついていた。
「なんで電気ついてるん?」森野が言いながらドアを開けるとそこには、なぜかそこにはランドセルを背負った小学生と本気でスマブラをしてぼろ負けしている山内の姿があった。
先に言っておくが山内はここの大学の生徒ではない、フリーターなのであるというか何しているのか先輩以外知らない。俺たちとは、というか俺たちの先輩に助けてもらい、それからちょくちょくこの部室に出入りしているのである。唯一知っているのは俺たちと同い年であるということだけだ。
「何やっての?山内」と金田が尋ねると
「いや図書館から帰ってる途中にな一人で泣いてたからここ連れてきた。」
誰でも彼でも連れてきちゃダメでしょてかどうやってこの部室に入ったんだよと俺が思っていると、吉住が俺の考えを代弁してくれた。
「てかどうやってこの部屋入ったんだよ?カギかかってたろ?」
山内は小さなカギを見せてきて
「これで開けた」
「なるほどね、いつ合いかぎ作ったんだよ」と驚く様子もなく森野が近寄り談笑し始めた。
まあ山内自体ここの主みたいなもんだから誰も気にしていなかった。ただ一つ思ったのは窓が開いており山内が見せたカギは部室のカギではなく自転車のカギらしき形状をしていたことである。お前窓から入っただろ不法侵入だぞ。
俺は、今回の依頼主であるだろうほっとかれている小学生を見た。なるほどかわいらしい女の子だ。
「ん?女の子?誘拐?」
と俺が言うないなや森野が
「不審者だー捕まえろー」と騒ぎ始めた。
男五人が小学生みたいに騒いでいるのがおかしかったのだろうか緊張していた顔がほぐれクスリと笑った。
「やっと笑ったかー怖くないぞ俺たちは」と森野が少女に話しかけた。
「どったのお嬢ちゃん?」金田が話しかけた。
「山内のお兄ちゃんが言ってたけどここは誰でも助けてくれるところ?」
「まあ俺たちができる範囲ならだれでも助けるよ。」とおれがかっこつけて言うと森野が
「いつもはそんなかっこいいこと言わないのにどうした?ロリコンか?」とはやし立ててきて話が進みそうになかったので今週号の漫画を投げて、俺たちはこのお嬢ちゃんの話を聞くことにした。