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初勝利と怪しい甲冑

荒れ狂う触手は床を抉り、壁を削り、壁際の明かりの幾つかを叩き壊した。

あたしは自分とは思えない動きで触手を掻い潜り、かわし切れない触手は、セバスチャンで切り裂いた。


凄い……


あたしは戦闘は全くの素人だ。 それが、こんな巨大な怪物を相手に一歩も退かないで戦えてる。

自分で言うのも何だけど、まるで一流の剣士か勇者みたいだ。


「グギガガガゴギギュガガガアアアア!」


屍喰巨蟲は奇妙な鳴き声を挙げた。 次の瞬間、こいつの頭上に巨大な火球が現れて、広間を明々と照らし出す。


「ギョアァォォオオォゥ!!」


号令じみた吼え声と共に、その火球があたしに向かって飛んできた。

まずい! これは避け切れない!!


「心配無用で御座います」 


セバスチャンの台詞と同時に、火球があたしの真上で見えない壁にぶつかる様に弾け飛んで消えた。


「私には高度な対魔法結界が内蔵されておりますので、この程度の魔法なら脅威では御座いません。 それよりも、あのモンスターは高位の魔獣で魔法を使う事も出来ます。 くれぐれも油断無きように」


「わかった(そっかぁ、あんなグロイ格好して魔法とか使うんだ。 ……あたしより賢いんだ)」


あたしは軽くショックを受けつつ、魔法が通じずに戸惑ってる様子の屍喰巨蟲に飛び込んでいった。

向こうも気を取り直して、斬り飛ばされた触手を何本か新たに再生させて、再び滅茶苦茶に振り廻してきた。 そのスピードはさっきよりも素早い。


「無駄な攻撃ですが、これでは胴体に辿り着けませんな。 御主人様、纏めて斬り飛ばしましょう!!」


セバスチャンが言うなり、あたしは触手の群れに飛び込んでいった……まるで剣に引っ張られるように。

そのまま、長剣を振り回して次々に触手を斬り飛ばすが、あたしは触手の動きをまったく目で追えていない。 それにも係らず、あたしは遅い来る触手を相手に一歩も退かずに戦ってる。


まるで自分じゃ無いみたいに。 これって……


判った! あたしが魔剣を振るってるんじゃない! あたしが魔剣に“振るわれてる”んだ!


いくらセバスチャンのサポートがあっても所詮あたしは剣の素人、それがいきなり一流の剣士みたいな動きをするのでどうもおかしいと思ったけど、これで合点がいった。 けど、これじゃどっちが所有者か判らない。

屍喰巨蟲はセバスチャンに斬られる端から触手を再生させて、セバスチャンはそれをまた次々と斬って行く。 あたしは自らの魔剣に半ば操られて引きずられるみたいに戦ってる。


「再生速度が落ちて来ましたな。 もう一息ですぞ、御主人様!」


「まって、セバスチャン! ちょっとペースがはやすぎ! なんか腕がヤバイっぽいんだけど!」


痛みは感じないけど、連続の剣戟で左腕がギシギシ言い始めている。 でもセバスチャンは構わずに攻撃のペースを上げていく。


「ちょっと聞いてセバスチャン! このままじゃ、腕がもげ……」



ブチッ



「もげたー!!??」


嫌な音を立てて、あたしの左腕が肘からもげて飛んで言った。 痛みが全く無いのはゾンビだからだろうか……って、まずい!

あたしは残った右腕に力を込めて、何とかセバスチャンがすっぽ抜けるのを防いだ。


「しまった! 申し訳ありません御主人様!!」


セバスチャンはそう言うと、刀身が縮み始めて片手剣くらいの長さになった。 こんな機能もあるらしい。

って感心してる場合じゃない! あたしは片手で扱い易い長さになったセバスチャンで、横薙ぎに飛んできた触手を捌いた。


グルルルァァァアアアアアアァ!!!


埒が開かないと思ったのか、屍喰巨蟲は巨大な胴体を伸ばすと一気にこっちへ圧し掛かってきた。 押しつぶす気!?


「いかん!」


セバスチャンに半ば引っ張られて横っ飛びに跳ぶ。 刹那、屍喰巨蟲の胴体が床を激しく叩きつけて広間全体が轟音を立てて揺らいだ。

天井からパラパラと小石が降って来る。


「今です、御主人様!!」


あいつは、床に巨体を横たえたまま、まだ起き上がっていない。 ダッシュして、一気に距離を詰める。

そのまま、まだ塞がり切っていない胴体の傷にありったけの力で剣を叩き込んだ。


ギャアアアアアアアアアア!!!


屍喰巨蟲は激痛にのたうち回るが、どうやら急所に攻撃が入ったようだ。 次第に動きが緩慢になっていく。 そのまま何度か剣を突き立ててようやく動きが止まった。


「やった……」


あたしは初めてモンスターを倒し(ほとんどセバスチャンのお陰だけど)たものの、勝利の余韻とかも無く床にへたりこんだ。 右手に握ったままのセバスチャンがあたしに詫びる。


「申し訳御座いません、御主人様。 御守りすると言って置きながらこの不始末、面目次第も在りません」


「え……? あ? 腕のこと? いいよ、セバスチャンが居なきゃ腕どころじゃ無かったんだし、あたしもセバスチャンに振り回されっぱなしってのも問題よね」


「勿体無きお言葉」


「もう良いって。 それよりも、飛んでった腕を探さなきゃ」


そう言ってあたしは、ゆっくり立ち上がると屍喰巨蟲の死体の方に歩いていった。


「えーと…… たしかここら辺で腕がちぎれて、それで広間の隅の方へ飛んでったから……」


あたしは、腕が飛んでったと思われる方向を向いて、そこに突っ立てる鎧を見つけた。

何かを手にしてこっちへガシャガシャと歩いてくる。 兜の面当ては開いたままだが、中身は何も無く黒い空洞のみが見えた。


「動いてる? カラッポの鎧が!?」


「あれは幽甲冑(ゴーストメイル)です! 一体ですが強力なモンスターです。 ご注意を!」


あたしが片手でセバスチャンを構えると、幽甲冑は驚いた様に足を止めて、おずおずと手にした何かをこっちに差し出した。


「あ、あたしの腕…… ひょっとして、拾ってくれたの?」


カシャン


あたしの言葉に幽甲冑は音を立てて首を縦に振った。


「えーと…… あなたは敵じゃない?」


カシャン


幽甲冑は、再び首を縦に振った。

初めて戦闘シーンとか書いたけど、何とも難しい……

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