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混戦と復活した魔王

接続障害だそうで、とりあえず書けた所まで投稿します。

回復次第、加筆修正いたします。

……とか言いながら遅れて申し訳ございません。 とりあえず加筆いたしました。


あと、第20部分までの目に付く限りの誤字脱字や記述の誤りを修正しましたが、ストーリーに変更・変化は御座いません。


ご迷惑をお掛けします。

あたしの号令で、幽甲冑(ゴーストメイル)の軍団が一斉にニコラスのモンスター軍団に突撃して行った。 大広間はたちまち怒号と戦闘音の喧騒で満たされて行く。


「でぇぇい!」


あたしは棍棒を振り上げて襲い掛かって来た喰人鬼(オーガー)の首をセバスチャンで刎ね飛ばし、返す刃で闇鬼畜族(ダークオーク)の腹を叩き斬った。

傍らのメイちゃんも闇の瘴気で作り出した黒い槍で、次々と魔族を屠る。 先行しているユーちゃんも、舞う様な優雅な動きで九叉大蛇(ヒュドラ)の首を次々に落として行った。

でも、新手の魔族やモンスターは次々と現われ、あたしたちは一向にニコラスにたどり着けないでいた。


「完全な混戦になりましたな」


手元のセバスチャンがあたしに告げる。 むぅ、幾ら何でも号令が大雑把過ぎたかな?

でも、最上階をほぼ丸ごとブチ抜いた広大な大広間とは言え、両方の軍勢がもみ合えば幾らなんでも手狭になってしまう。 どんな号令を下した処で、どの道混戦は避けられなかったと思う。

今の所、戦況は五分五分……ややあたし達が押しているくらいかな? このまま力ずくで押して行こうと考えた時、再び大広間に魔法の火花が飛び散って、新たなモンスター達がニコラスのいる機械の祭壇の周囲に現われた。


「ちょ!? そんなのアリ!?」


「そりゃあ、アリですよ。 自動迷宮造成機(ダンジョンツクーラー)のモンスター召喚機能は、ほぼ僕が掌握していますから。 広間のスペースの問題が無ければ巨人(ジャイアント)(ドラゴン)の群れを呼んで、手っ取り早くケリを付けられたんですがね」


余裕をみせるニコラスに、あたしは思わず歯噛みしてしまう。 数の勝負じゃ、こっちが不利か……見れば味方の幽甲冑軍団も次第に数で押され始めている。


「何とかしてニコラスの所に辿り着いて、新たな召喚を止めさせなければなりません」


セバスチャンの言葉にあたしも肯いた。 とは言えどもどうすれば……と考えてると、ユーちゃんが魔法で目の前の魔族を吹き飛ばしながら首だけこっちを向いて叫んだ。


「シネルさん! メイさん! ここに来て少しだけ持ち堪えて下さいな!」


「え? 何か手があるの?」


「いいからお早く!!」


はいぃぃぃ! あたしとメイちゃんは、ユーちゃんの剣幕に押された勢いで前進してユーちゃんに合流する。 そこで、あたしが楯を出して魔族の攻撃からみんなを防ぐ一方で、メイちゃんは氷大嵐(アイスストーム)の魔法で周囲のモンスターを纏めて吹き飛ばした。

それによって出来た間隙を縫ってユーちゃんは手短に呪文を唱えた。 次の瞬間、彼女の身体は宙に浮かび上がり、それから凄い速さで台座の上のニコラス目掛けて文字通りに飛び込んで行った。


「あれは上位飛行(フライハイ)の魔法ですな。 短距離ですが、通常の飛行(フライ)よりも高速で空中移動が可能で御座います」


「なるほど……って、待ってユーちゃん! 一人で先行したら危険だって!!」


叫ぶあたしに構わず、ユーちゃんはニコラスの頭上から飛びかかって一気に聖剣をヤツの脳天に振り下ろす。 でも、その直前にザビーネが幾つものダーツを高速で飛ばして迎撃にかかる。

ユーちゃんも耐魔法結界を持っているので、あたしと同じように物理攻撃との合わせ技で対抗した様だ。


でも、ユーちゃんは華麗な剣さばきとビキニアーマーの防御力にモノを言わせてそれを全て防ぎきり、そのままニコラスの脳天目掛けて斬りかかった。


「グハッ!!」


咄嗟に回避したニコラスだったが、どうにか脳天への一撃は免れたものの肩に斬撃を食らって悲鳴を上げながら床に倒れた。 致命傷にはならなかったみたいだが、かなりの手傷みたいだ。


「これまでですわね」


ユーちゃんはニコラスに剣を突きつけて宣告する。 一方のニコラスは、尻餅を突いた姿勢のまま無様に後ずさって命乞いを始めた。


「ままままままままままって下さい! 僕はこの通り重症を負って戦えません! 降伏しますから命だけは! 勇者様なんでしょ? ここは一つ慈悲のある所を見せてください!」


「なにをこの期に及んで見苦しい……」


「いやいやいやいやいや、僕はこの通り無抵抗ですよ? 勇者様ともあろう御方がそんな相手を斬り捨てて何の誉れが有りましょう?」


「オマエが嬲り殺してきた無抵抗の少女達は何と言うかしら?」


「無抵抗って訳でもありませんでしたよ? 咥えさせようとしたら噛み付かれたし……いえいえいえいえいえいえいえいえいえそんなに酷い事はしてませんから、どうか! どうか剣を収めて下さい!」


ニコラスの無様すぎる命乞いは、ユーちゃんの怒りの火に油を注ぐ以上の効果を持たなかった。 そのままユーちゃんは聖剣をニコラスに向けて振り上げたが、尚もニコラスは半泣きで説得を試みた。


「これだけ頭を下げてもダメですか!? ……だめでしょうね。 あ、好きな食べ物って何か有ります?」


「……茄子ってどうやって食べても美味しいですわね。 で、この時間稼ぎに意味はありますの?」


「それがあるんですよ」


え?


と思った瞬間、背後の機械から一本の太いパイプコードが音を立てて飛び出して、まるでムチの束みたいにユーちゃんを打ち据えた。

ユーちゃんはそのまま台座の端まで吹き飛ばされたけど、どうにか転落はまぬがれて体勢を立て直す。

ニコラスは、さっきまでの卑屈な態度が嘘だったみたいに……まぁ、嘘だったんだろうけど、余裕の態度で立ち上がりながらあたし達にお得意の芝居がかった仕草で能書きをたれ始めた。


「皆さんはモンスター軍団の召喚が奥の手と思ったのでしょうが、まだまだ奥の手は隠していたんですよ。 ……ご紹介しましょう、これが僕の最後の切り札“復活した魔王様”です!!」


ニコラスの能書きと共に、巨大な機械が振動を始める。 そして機械の上部から蒸気が音を立てて噴出すと、機械の一部がゆっくりと両開きの扉みたいに開き始めた。

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