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報酬の獲得と本筋への帰還

骸骨男は頭部を両断されて倒れたきり動かなくなった。 機械は相変わらず強い光を放っているが、まずはメイちゃんの元に向かう。


メイちゃんは光精獣(ライトビースト)二体と戦っていた。 瘴気の影響でダメージはある程度回復出来るけど、それでも鎧のあちこちが焼け爛れている。

光精獣の方は二体ともかなりのダメージを追っているけど、まだ自爆には至らない。 あたしが骸骨男に向かう間、どうしてもアーちゃんの濃い闇の瘴気の影響からは外れるので、自爆でダメージを追わない様に牽制で留めてもらってたのだ。

急いでメイちゃんの所に駆けつけ、メイちゃんの背後を取ろうとした一体の間に割って入り、そのまま同時に二体の光精獣に攻撃を仕掛ける。


あたしはセバスチャンを長剣の長さに変えて、駆け抜けながら光精獣の胴体を両断した。 そのままセバスチャンに引っ張ってもらって自爆圏内から離脱した。

メイちゃんも光精獣に強烈な突きを胴体に叩き込んで、すかさず蹴りを加えて遠くまで吹き飛ばした。 そのままメイちゃんも出来るだけ光精獣から遠ざかる。


次の瞬間、二体の光精獣が爆発して広場を束の間明るく照らし出した。


あたしもメイちゃんも、どうにか重傷は負わずに倒す事が出来た。

残るは機械の破壊だけとなり、再び機械の元にむかう。 あたしはもう動かない骸骨男の骸を見下ろしながら、セバスチャンに聞いた。


「でも、アンデッドを襲う光精獣が何でこの人だけ襲わなかったんだろう」


「おそらく、光精獣を合成する際に機械の操作によって自分は攻撃の対象から外していたのでしょう」 


「なるほど。 あと何で今更この機械で光精獣を作ったんだろ?」


「おそらく、このアングラールが自動迷宮造成機(ダンジョンツクーラー)によって迷宮と繋げられた際に、迷宮から魔力が供給されてこの機械が作動したものと思われます」


ふむ、魔法機械の仕組みとかよく解らないけど、そう言うモノであるらしい。 とにかくこの機械を壊せばもう光精獣は出なくなり、初仕事も達成出来る。


あたしは石畳に倒れてる骸骨を一瞥した。 彼もアングラールを救おうとしたのに、間に合わず逆に住人の亡霊を脅かす結果になってしまった。 こう言うのを皮肉な話って言うのだろう。


「ごめんね」


あたしは骸骨に一応謝ってからセバスチャンを台座の機械に振り下ろした。


……


「ありがとう御座います。 これでまた元のようにこの街で安らかに眠れます」


避難壕(シェルター)に戻り、幽霊の集合体に機械の破壊を伝えると老人の顔が浮かびあがり、何度もお礼を言った。


「で、その。 報酬なんですけど」


「そうでした。 魔法の武器や物品はここに貯蔵してあります。 どうぞ好きなだけお持ち下さい」


老人がそう言うと、広間の置くの壁の一部が音も無くスライドして開き入り口が現れた。 あたし達は喜び勇んで中に入った。


「うわぁ……」


ここもかなりの広さを持つ部屋で、幾つもの棚に武器や防具やアイテムが色々と並べられていた。 あたし達はまず武器から漁りはじめた。


剣……は沢山あるけどセバスチャンがあるからいらない、斧やメイスや弓矢なんかもあるけど使えない。

槍……槍は……あった!


メイちゃんの背丈よりも長い槍が棚の一番奥に仕舞ってあった。

穂先も柄も銀みたいな金属で作られていて、全体に綺麗な彫刻が施されている綺麗な槍だ。


「この槍もしゃべるのかな?」


「いえ、この槍にはインテリジェンスウエポンの命と言える中枢珠(コア)が入っておりません。」


中枢……? ああ、セバスチャンの柄にはまってる宝玉の事か。 まぁ、喋らなくても強そうで綺麗な槍だし良いんじゃない?

メイちゃんは頷くと槍を手に取る。 黒い鎧姿のメイちゃんに銀の槍がとても似合ってる。 あたしがそう言うとメイちゃんは恥ずかしそうに身体をガシャガシャとくねらせた。


で、どんな魔法が掛かってるんだろう? どっかに説明書は……あった。

あたしはセバスチャンによんでもらった。


「“破邪閃光の槍”……聖騎士が好んで使用する光属性の槍で、アンデッドに対して高い効果を持つ。 特に内蔵された魔力を全て開放すると、広範囲のアンデッドに一斉にダメージを与えられる“破邪閃光”の能力を一回だけ使用出来る……とあります」


光属性……対アンデッド用……ね。 あたしは槍の穂先に軽く触れてみた。


ジュッ!!


「あっちちちちちち!!」


「ウォオオオン!」


流石対アンデッド用の槍、ちょっと触れただけでアーちゃんの手袋の先とあたしの指先が焦げたみたいになった。 まぁ、すぐに回復するから良いとして、これどうしよう?


「光属性の魔力を帯びているのは穂先の部分だけの様ですな。 そこに触れたり破邪閃光の能力を使わなければ大丈夫でしょう」


取り扱いに注意すれば大丈夫か。 とりあえず代わりの槍も無いし、持って行く事にしよう。

とりあえず、他の棚も順に漁って行く。 あたしは生物のブレス攻撃に耐性があると言う“竜騎士の盾”を持って行く事にした。

更に投げ付けると爆発する“魔力弾”を幾つかと、高い所から落ちてもゆっくりと降下出来る“天使の羽”、その他の役に立ちそうな物を、幾らでも物品を収納出来るベルトポーチ型の“魔法鞄(インベントリ)”に詰め込んだ。


「さて」


あたし達はアングラールの幽霊達に別れを告げて、元来た迷宮への通路に引き返す事にした。 色々と収穫のあった寄り道だったけど、そろそろ本筋にもどらないと。

通路に入ろうとしたあたしの肩をメイちゃんがつつく。 振り向くとメイちゃんが廃墟の方を指差した。


そこにはあの女の子の幽霊が立っていて、少し気恥ずかしそうにあたし達に手を振っていた。

あたし達も、手を振り返してそれから通路に入っていった。 狭い通路を抜けながら、あたしはメイちゃんの方を向いて言う。


「いい寄り道だったね」


メイちゃんはカシャンと頷いた。


明日か明後日のどっちか、お休みするかもしれません。

可能なら投稿します。

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