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報酬の確約と少しの苦戦

「有難う御座います!」


老人の霊は辛気臭い幽霊顔を少し綻ばせて感謝を述べた。 女の子の幽霊も無表情ながら、どこと無く嬉しそうに見える……まぁ、辛気臭いアンデッドなのはお互い様だけどね。

とりあえず、出発する前に出来るだけ情報を聞いて置かないと。 これが大事だって昔、冒険者の人が言ってた。


「とりあえず、その光精獣(ライトビースト)とやらが出現しやすい場所とか心当たりはありますか?」


老人によれば、光精獣はアングラール市街地の中心地にある、地上に続くエレベーターのある“メインシャフト”とか言う場所に配備される筈だったと言う。

今までも光精獣はそのメインシャフトの方から来ているらしく、今までこの避難壕(シェルター)の幽霊が市の中心部に向かおうとすると、必ず光精獣が現れたらしい。 そして、執拗に追いかけて来たが何故か避難壕に逃げ込むと、それ以上は追わずに引き返していったそうだ。


「とりあえず他に手がかりが無さそうだし、そのメインシャフトとやらに行ってみますか……って、その場所はどこ?」


「このシェルターを出てすぐの広場にアングラール市街の案内板が御座います」


「おっけ」


本当は土地勘のある案内人とか欲しかったけど、幽霊を跡形も無く消し去る光精獣が相手なら危険だし、案内板があるならセバスチャンに読んでもらえば大丈夫。


これで、聞きたい事は全部かな……あ、一つ大事な事を忘れてた。


「そうそう、お礼をするって言ってたけど報酬はなんでしょう? あたし達は、今は食うには困らない身(アンデッド)だから出来たらお金とかじゃ無いほうが良いんですけど」


最初に聞いとけば良かったかな? 老人は少し考えてから言った。


「我々は、武器が扱えない一般人ばかりで使用する事が出来ませんでしたが、この避難壕には一応外敵に備えて魔法の武器や道具などの備蓄が少々御座います。 どれも強力な物とは聞いております、宜しければそれを報酬としてお持ち下さい」


おお! 魔法の武器とは! あ、ひょっとして。


「その中に槍とかあります!?」


「確か大きな槍が一振りあったと……」


やった! これで口が無いから魔法が唱えられない魔法戦士(マジカルウォリアー)のメイちゃんの戦力が大幅に上がる!

あたしはメイちゃんと手を取り合って喜んだ。 よし! そうと決まれば善は急げだ! あたしたちは早速メインシャフトに向けて出発する事にした。


「思ったよりも入り組んだ造りで御座いますな」


避難壕から出てすぐの小さな広場に、老人の霊が言った通りアングラール市街地の案内板があった。

表示は当然、帝国共通語(インペリアルコモン)で書かれていて読めないので(まぁ、他の文字も読めないケドね!)、セバスチャンに読んでもらった。


アングラールは、地上(うえ)にあるアドベルグよりも少し小さな街のようだ。 例のメインシャフトを中心にクモの巣みたいに細かく道が広がっている。

この広場は一番街外れの壁際にあるらしく、少々歩かなければいけないみたいだった。


……


廃墟の通りをしばらく歩いていると行く手の道が不意に明るくなり、光源である光精獣が三体こっちに向けて凄い勢いで駆けって来るのが見えた。


「先ほど避難壕での話で、光精獣は光の魔法エネルギーの集合体である事が判りました。 私の耐魔法結界は闇属性の魔力由来ですので、光属性のみ完全な遮断が出来ません。 最初に光精獣の自爆を受けて吹き飛ばされたのは、その為で御座います」


うぇ、今そんな事言われても!? 確か光精獣(アレ)って大ダメージを受けたり死んだりしたら爆発するんじゃなかったっけ?


「左様で御座いますが、対処の術は御座います。 アーちゃん様、闇の瘴気を出来る限りお嬢様とメイちゃん様の周囲に集合させて下さいませ」


「ウォオオオオオオオオオオン!!」


セバスチャンの合図でアーちゃんは、あたしたちの周囲に闇の瘴気を集め始める。 周囲の瘴気が濃くなり、身体に力が湧いて来るのを感じる事ができた。


「これで光属性に対する防御力を上げ、更に回復力を上げてダメージを軽減します。 ですがこれでも完璧とは申せませんので、自爆の気配を感じたら速やかに距離を取って下さいませ」


もう光精獣は目の前まで迫っていた。 あたしは無言で頷いてセバスチャンを構え、メイちゃんも武術の構えを取る。

三体の光精獣は、きれいな横並びで走って来てたけど、あたしたちの手前で左右の二体が横っ飛びに移動して瞬時にあたし達を取り囲み、すかさず飛び掛ってきた。 速い!?


最初の正面から掛かってきた一体目を寸前でかわしたけど、二体目はそうも行かず、眼前に飛び掛って来た大きく開けた口を辛うじてセバスチャンで受け止めた。

うわ、結界と鎧と瘴気で守られてるハズなのに、肌にビリビリ来る。 かなり濃い光の魔力みたいだ。


メイちゃんも三体目の攻撃を何とか捌いたけど、腕に少しダメージが来たみたいで鎧の表面が少し焼け爛れたみたいになってる。 すぐに瘴気のお陰で回復して行くけど触れただけでダメージとか、その為に造られたとは言えコイツら本当にアンデッドの天敵みたいな奴らだ。


「メイちゃん様! お嬢様から離れると瘴気の効果を受けにくくなります! くれぐれも離れ過ぎませぬ様!」


メイちゃんはガチャンと頷いて、あたしと背中合わせに立って死角を無くした。

長引くのは不利だ、素早く片付けないと!


あたしは目でメイちゃんに合図を送る。 メイちゃんも、あたしの意図を察して軽く頷き……あたし達は同時に動き出した!


セバスチャンを限界まで延ばして、横薙ぎにブン回す! 同時に飛び掛ってきた光精獣は左右に飛んで両脇から飛び掛ってくる。

一見不利だけど、これで一体一体が離れる形になった。


瞬時にセバスチャンを短剣サイズに縮めて、右側の光精獣の懐に入り込む。

前足の爪が肩をかすったけど、これぐらいなら平気だ。 かまわず一気にセバスチャンを腹に突き立てた!


飛び掛った勢いが止められず、そのまま腹を裂かれる形になった一体目の腹から光が漏れ出す。

二体目があたしに飛び掛ろうとしてるけど、覆いかぶさる形になった一体目が邪魔で効果的にダメージを与えられない。


自爆する前に一体目を、二体目の方に蹴り飛ばして急いで距離を取る。 直後に一体目が自爆して、二体目を巻き込んだ。

さすがにすぐには安全な距離を取れずに、身体のあちこちが焼け焦げたけど瘴気のお陰で少しずつ回復して行くけど、どうやら今の爆発で瘴気が大分吹き飛ばされてしまったらしく、思ったよりも回復が遅い。

二体目は自爆に巻き込まれて多少はダメージを負った様に見えたけど、同じ光属性のせいか大きなダメージに至らなかった。

あたしと光精獣は距離を取って睨みあう形になったけど、いきなりあたしの後ろから三体目の光精獣が吹っ飛ばされる様にあたしの横をかすめて、二体目の近くに叩きつけられた。


光精獣にスキを与えない様に後ろを見ると、廃墟に散らばっている大きな角材を両手に持ったメイちゃんがこっちに走ってくる。

どうやら、あの角材で三体目をブッ飛ばしたみたいだ。 なるほど、アレなら相手に触れずに攻撃できる!


再びあたし達と光精獣が睨みあう構図になった。 アーちゃんが必死に呻りながら瘴気を集めているけど、まだ回復には十分な濃さにはならない。

ここで決着を着けるべきだろう。 どうやら向こうも同じ考えらしく、どっちも同じタイミングで駆け出した。

あたしはまず長剣(バスタードソード)サイズのセバスチャンで相手を牽制して、間合いを取りまた短剣サイズに戻して腹を狙う。

一体目を倒したのと同じ戦法を察したのか、飛び掛る直前で踏みとどまり後ろに横に跳ぼうとした。


でも、これはフェイント! すぐに剣を目一杯伸ばして、横に構えたまま突っ込む。 光精獣は、急に間合いが変わったせいであたしの攻撃を避けきれずに、肩口を深々と抉られた。

これで、致命傷! あたしはセバスチャンを引き抜く代わりに刀身を最小まで縮めて、同時に一気に飛び退いた。


メイちゃんは自分の身長ほどもある角材を槍の様に構えて光精獣の攻撃を受け流し、素早く距離を取って素早く角材を構える。

そして飛び掛ってくる光精獣に臆する事無く正面から突っ込んで、正確に大きく開けた口の中に角材を突き入れる! そのまま角材を光精獣ごと横に身体ごと回転する様にブン投げて、廃墟の壁に叩き付けた。


直後に光精獣は自爆したが、遠くに投げたお陰でメイちゃんはダメージを受けなかった。


ちょっと危なかったけど、なんとか光精獣を撃退した。

あたしとメイちゃんはハイタッチで、勝利とお互いの戦いぶりを称え合った。








正直、サブタイを思いつくのに時間がかかる……

いずれ、改稿する際にサブタイを一新するかもしれません。


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