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瓶を買う
さて。
あるところに、長介という男がおりました。あるとき長介は町で瓶を眺めていて、めぼしいものが見つかったので、まずは三十銭を支払って三十銭の瓶を買いました。
それからすぐにそれを、隣の六十銭の瓶と替えてくれと店主に言いました。
「それは構わないが」店主は長介に言います。「それなら残りの三十銭を払ってくれ」
しかし長介は澄ました顔をして瓶を取り替えると、しれっと言いました。
「何を言っているんだ。おれはあんたに三十銭を先に支払い、今三十銭の瓶を渡した。これで都合六十銭だ。だからこの六十銭の瓶はもらっていくよ」




