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牛の鼻ぐり

 さて。

 あるところに、長介という男がおりました。あるとき、ちょっと金もうけがしたいと考えた長介は、一計を講じて町へ繰り出しました。

 訪れた先の店で、長介は店主へ向かって訊きます。

「なあ店主、ここに牛の鼻ぐりは置いてるかい。あったらあるだけくれないか。金はいくらでも払うから」

 しかしそんなことを急に言われても、牛の鼻ぐりなどひとつも置いていません。それを聞いた長介はさも残念そうな顔をして、もし入荷したらいっとう初めに売ってくれるよう念を押してから立ち去りました。そして、それと同じことを次の店でも、その次の店でも、次の次の店でも繰り返しました。とうとう町中の店を一軒残らず訪ねて、牛の鼻ぐりを求めて歩きましたが、結局ひとつも手に入ることなく、しめしめと長介はほくそ笑みました。

 翌年、長介は町へ出て、冬の間中ずっと作りためていた大量の牛の鼻ぐりを籠に背負って、町中を売り歩きました。

「えー、牛の鼻ぐり、牛の鼻ぐりにござぁい。牛の鼻ぐりはいらんかねー」

 この売り声に、町中の店が飛びつきました。昨年、大金を積んで牛の鼻ぐりを購入しようとしていた者がいたのです。今のうちに在庫を仕入れておけば、またあの男が来て買っていくやもしれません。これは金儲けの好機です。そう考えた店主たちは、目の前で牛の鼻ぐりを売りさばいているその男がまさしく昨年牛の鼻ぐりを大量に買い求めていた長介であるとはつゆほども知らず、ありったけ買い占めました。

 そんなわけで、長介は見事に金を儲けましたとさ。


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