53/70
家が火事
さて。
あるところに、とても粗末な家がありました。その家は隙間だらけなので、冬にもなると冷たい隙間風がびうびうと吹き込んで寒くて堪りません。ですから家主である長介は風邪をひかぬよういつも家の中でたき火をして尻を温めているのでした。
あるときいつものように長介が尻を温めていると、村の者に所用で呼び出されました。仕方なく出向いて用事を済ませること、何やら火事だ火事だと騒ぎがあります。何だろうと見てみると、自分の家のある方角で煙が上がっています。
「これは大変だ、うちが燃えてら!」
慌てて帰ると案の定、長介の粗末な小屋がぼうぼうと火を立てて燃えています。たき火が燃え移ったのでしょう、もの凄い勢いです。村の者たちが見ている中に、大急ぎで駆け込んだ長介は、
「ああ寒い寒い。尻が冷えると風邪をひく!」
と言いながら、自分の家の火事で尻をあぶり続けたんですとさ。




